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剣さえあれば魔法なんていらない!  作者: 神桜
第1章 輝ける星々
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第27話 「照れ隠し」 エリア:貿易都市サウザン(ギルド:輝ける星々)

 

「ーーなさい!」


 耳元で誰からの声がうっすらと聞こえる。


 ん……誰の声だ?


 声に反応して目を開けるが、霧のようなものが視界を(おお)っていてて何も見えない。


「ーーきなさい!」


 躰が揺さぶられているのだろうか?

 微かな振動を感じる。


「ーー起きなさい!」


 うっすらと聞こえていた声がだんだんと大きくなり、視界を覆っていた霧も晴れていく。


 ああ、そうか。


「起きなさい、ユウ!」


 俺は死の淵から戻ってきたんだったな。

 思い出した、思い出し……うっ!?


 死の淵から戻ってきたことを思い出した瞬間、躰全体を言葉にできないほどの痛みが襲ってきた。


「う、ぐっあ! ごほっ、ぐぁ!」


 巨大な蛇に躰全身を締め付けられるような痛みが延々と続く。

 一向に収まる気配がないのだ。


「ぐはっ、ごほっ、ごほっ! ぐるしぃ……!」


 まともに言葉を発することすらできない。

 息をするのがやっとなくらいだ。


 なんなんだこの痛みは!?


 俺はもがき苦しむことしかできない。

 どうすることもできないのだ。


 これが覗きを行おうとした俺への天罰なのだろうか?

 酷すぎはしないか?


「ユウ!? い、今ラクにしてあげるから!」


 ラクにする……ああ、殺してくれるってことか。

 この痛みが消えるならなんでもいい。

 さあ、俺をーー


「殺し……んぐっ!?」


 殺してくれ!

 そう言い放とうとした俺の口元は、突然なにかに塞がれた。

 そして、無理やり空気が送られてくる。

 するとーー


「んぐぐっ!! んぐっ!?」


 ビクンッ!


 俺の躰が大きな痙攣を起こした。

 それと同時に塞がれていた口元が解放される。


「んぐぁっ、はぁ、はぁ……!」


 苦しい。


 だが、この苦しさは痛みによるものではない。

 息ができなかったことによる苦しさだ。


「はあ、はぁ……あ、あれ?」


 躰全体を覆っていた痛みが跡形もなく消えている。

 どういうことだ?


「……ま、魔力を送ったのよ」


「魔力?」


 魔法を使うためのMP的なやつか?


「魔力ってのは私たちの躰に流れる生命の源のことよ。いかに魔法に対して絶対的な耐性があるとしても、魔力の枯渇にはあらがえない。まさか、ユウがほんのちょっとのお仕置きで意識を失って魔力枯渇を起こしちゃうなんて思わなかったわ」


「えぇ……」


 あれでほんのちょっととか……なんなんんですかね……

 いや、ちょっと待てよ?


「もしかしてさっき口元が塞がれたのって、人工呼吸みたいな感じで俺に魔力を送ってくれてたから?」


 俺がそのことをシルフィーに尋ねると、ポンッという音を立てて顔がゆでだこのように真っ赤になった。


「ーー!? う、うるさい! 死んじゃえばかぁ!!」


「なんで!? 痛い痛い! 顔面殴らないで! ちょっ、みんな助けてくれ!!」


「元々あんたが覗きしたのがいけないんだから! もしまた同じようなことしたら今度こそ地獄に叩き落としてやるわ!!」


「ひぃぃ、ごめんなさい!!」


 この後、数十分もの間シルフィーは荒ぶっていた。

 シャルル曰く、照れ隠しらしい。

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