第26話 「死の淵」 エリア:?
「……あれ、ここは?」
目が覚めたら真っ暗な空間にいた。
なんだろうこの空間、前にもどこかで見たような気が……デジャブかな?
「貴方は何をやっているのですか……」
突然、後ろの方から声をかけられた。
この声は……
「ルシフェルか?」
「そうですよ、悠さん」
なんと声の主は俺を異世界へと送った張本人である大天使ルシフェルだった。
状況理解が追いつかない。
なんで俺の目の前にルシフェルがいるんだ?
俺は異世界に送られたはずだが?
「悠さん、なんで私が目の前にいるのか考えているでしょう?」
さすがはルシフェル、俺の考えなんてお見通しってことか。
「それはもちろん」
「それは悠さんが死の淵を彷徨っているからですよ」
「はい?」
死の淵を彷徨ってる?
どういうことだ?
そもそも俺は覗きに失敗して………あっ。
「思い出したようですね」
そうだ、俺はオペレーションNOZOKIに失敗したんだ。
それでシルフィーたちに捕まって……その後は……
「その……後は……」
「石抱き、木場責め、水責め……拷問のオンパレードでしたね」
「うわぁぁぁぁぁっ!! 思い出したくねえ!」
俺は男性用の脱衣所で捕まったあと、両手両足を紐で縛られ拘束された。
そして、シルフィーたちから多種多様に渡る拷問を受けたのだ。
なんであんなにたくさんの種類の拷問知ってるの?
それとマリアさん。
めちゃくちゃ拷問を楽しんでたように見えたんだが……
ふぅ、とりあえず一旦落ち着こう。
変なトラウマ植えつけられたが落ち着こう。
叫び声をあげたところで傷は癒えない。
「はあ、はぁ……」
「落ち着きましたか?」
「ああ、なんとか落ち着いたよ」
「それはよかったです」
さて、発狂も収まったことだし本題に戻るか。
「ルシフェル、俺が死の淵を彷徨ってるってどういうことなんだ?」
「どうもこうも、悠さんは過度な拷問によって心臓発作を起こしまして……今、応急処置を施されてます」
「ガチのやつやん……」
どうしよう……俺また死ぬのかな?
シルフィーたちの応急処置なんてあてにならないし。
「悪いなルシフェル、魔王倒す前に死んじまいそうだ」
「いえ、その心配はありません。応急処置が上手くいったみたいで一命を取り留めました」
「マジか」
「マジです」
なんかもうよくわからないけど、死にはしないみたいだ。
「それじゃあ、悠さんを現実世界に戻しますね」
「あ、もう戻れるのね」
「はい。でも、現実世界に戻ったら激しい動きはしないで安静にしていてくださいね? 今日はゆっくり休んで明日に備えてください」
「それはもちろん」
正直、躰の痛みで激しい動きなんて到底できない。
自室でさっさと寝る。
「それでは扉を開きますね」
パチンッ
ルシフェルが指を鳴らすと、俺の目に白い扉が現れる。
指パッチン……なんかカッコいいな。
「この扉の中に入れば現実世界に戻れます」
どこで〇ドア的なやつか。
遠くの場所でも一瞬で移動できる有能道具である。
「サンキュー、ルシフェル」
「気にしないでください。……悠さん、魔王との邂逅に気をつけてください」
「魔王との邂逅?」
どういうことだ?
魔王が俺の目の前に現れるってことか?
それはマズイだろ。
「いずれわかります」
うーん、意味深なこと言われると気になるな。
「教えてくれよ」
「悠さん、自分で考えることも大切ですよ」
どうやら教えてくれないみたいだな。
なんか無理して聞いたら怒られそう。
「わかった、自分で考えてみるよ」
「ふふっ、頑張ってください。では、また会える日まで」
「ああ。またな、ルシフェル」
俺はルシフェルに左手を振り、右手で白い扉を開き中へと入っていった。




