第21話 「物置部屋が自室」 エリア:貿易都市サウザン(ギルド:輝ける星々)
「あんたの部屋はここね」
明日からみんなでアルバイト先を探すことを決めた後、俺はシルフィーにギルドの中を簡単に案内され、最後に2階の誇りをかぶった荷物が置いてある部屋に案内された。
この部屋が俺の自室になるらしい。
「おい、ここ物置部屋じゃねえか」
そう、俺が案内されたのは物置部屋だったのだ。
「仕方ないでしょ! ここしか空いてる部屋ないんだから!」
「他にも部屋あったじゃん!」
「あんたまさか私たちの部屋で生活しようって考えてたんじゃないでしょうね?」
あー、あの部屋はシルフィーたちの部屋だったのね。
男の俺に居場所はないのな。
「いや、そんなこと考えてない。もういいよ、俺はこの部屋で生活する」
苦渋の決断だった。
目から汗が垂れそうになるのをグッと堪える。
「わかってもらえてよかったわ」
はぁ、前途多難だなぁ……
とりあえずこの部屋の掃除から始めるか。
あー、空気の入れ替えもしないとな。
やること多すぎるだろ。
まったく……
「ね、ねえユウ」
「なんだ、まだいたのかシルフィー」
「わ、私が居たら嫌なの?」
「別に嫌じゃないけど」
てっきりもう自分の部屋に帰ったと思ってた。
「なんか用でもあるのか?」
「うっ、それは……」
なんで口ごもってるんだ?
なんか嫌な予感がするんだが……
「そ、その……ぁ、ありがと……」
声が小さすぎて聞こえん。
シルフィーはなんて言ったんだ?
「シルフィー、よく聞こえんかったからもう一度言ってくれ」
「だからその……ありがと」
なんでそんな声小さいの?
いつももっと大きい声で喋ってるじゃん。
「もう一度……」
「うるさーい! このバカァッ!!」
「ごふぁっ!?」
顔面に強烈なジャブが飛んできた。
クッソ痛いんだけど!
「あんたなんてもう知らない!」
床をドカドカと蹴り飛ばしながら、シルフィーは去っていった。
ここ2階なんだからあんな強く蹴り飛ばしてたら床抜けるぞ。
……はぁ。
「なんだったんだ一体……」
部屋は嵐が去っていき静かになった。
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「ふぅ……やっと終わったな」
数時間かけて掃除を終えた俺は、部屋に置いてあったアンティークな椅子に腰を下ろした。
椅子に座って壁を眺めると、大きな振り子時計がかけられていて、長針と短針が夜の九時を指している。
「時間の流れだけは変わらないんだな」
街や歴史、技術は違っても時間の流れだけは変わらない。
1日24時間なのだ。
「二週間か……」
俺たちのギルドに残された時間は二週間。
二週間以内に金貨500枚を稼がないといけない。
大体だが、日本円で500万円分くらいだろう。
冷静に考えると……いや、冷静に考えなくても無茶だということはわかる。
「はぁ、魔王倒す以前の問題だな……」
……これ以上考えても仕方ない、とにかく明日からバイト先を探さなければならないのだ。
今日は躰をしっかり休めよう。
「そういえば風呂ってどこにあるんだろう?」
シルフィーにギルドの中を簡単に案内されたが、風呂の場所は教えてもらっていない。
「シルフィー探しに行くか」
俺は椅子から立ち上がり、シルフィーを探すために部屋を出た。




