第12話 「世界は違えど嫌なところは似ている」 エリア:貿易都市サウザン(中央通り)
宿を探していた俺は、街の中央通り沿いで見つけた宿屋に来ていた。
「一泊いくらですか?」
宿屋のおじさん店主に問いかける。
「銅貨5枚だよ」
おっ、安いな。
確かルシフェルからの手紙によると、宿屋は一泊銀貨1枚だったはずだ。
よし、この宿に泊まるか。
「一泊お願いします」
「あいよ。代金は銅貨5枚ね」
「これでお願いします」
先ほど露店で買った麻袋から金貨を1枚取り出し、おじさん店主に渡す。
「はい、お釣りの銀貨9枚と銅貨5枚ね。あと、これが部屋の鍵だから」
代金を支払った後、泊まる部屋の鍵を渡された。
鍵には105と書かれている。
きっと部屋の番号だろう。
「ありがとうございます」
俺はおじさん店主に一礼し、泊まる部屋へと向かった。
「105、105……おっ、この部屋か」
105号室を見つけ中に入る。
部屋の中に入ると自動で明かりがついた。
何やら天井に小さな魔方陣が書いてあるように見えるが、これが光源なのだろうか。
まあ、気にすることはないだろう。
部屋の中は質素な感じで入り口の近くに洗面所があり、他にはベットと机が1つずつ置いてある。
「何にもないけど寝るだけだし別に気にすることないか」
ずっと背負っていた錆びた剣と他の荷物を机の上に置き、ベットになだれ込む。
「1日半フルでで歩き続けたからな……さすがに引きニートには……辛い……」
相当疲れがたまっていたのか、俺はすぐに眠りに落ちてしまった。
1
「ひどい寝癖だ……」
朝になり目が覚め洗面所で顔を洗っていると、超サ〇ヤ人見たいな寝癖が付いた自分が鏡の中に映っていた。
「そいや風呂入ってなかったな……髪だけでも洗うか」
俺はひどい寝癖が付いた髪を洗面所で洗い始めた。
そして、気づいてしまった、濡れた髪を拭くタオルが無いこと……
「やっちまった、どうしよう……」
数分悩んだ結果、髪を自然乾燥させることにした。
別に大丈夫だよね。
髪の毛剥げたりしないよね。
……謎の不安を抱くことになってしまった。
「さて、髪も乾いたことだしギルド探しに出ますかね」
髪が乾いたあと俺は宿をチェックアウトし、ギルド探しを始めていた。
街のガイドブック曰く、貿易都市サウザンには数十のギルドがあり、街の東西南北様々な場所にあるらしい。
「近くにあるギルドから順に見ていくか」
今いる場所の近くにあるギルドから順に見ていくことにした。
2
「うちのギルドは魔法が使えないクズはいらないよ」
「あ、はぃ」
「ほら、クズはさっさと出て行け」
バタンッ
「……はぁ」
ギルドを出た俺は軽く絶望した。
「ギルドに入るのに魔法取得が条件とふざけんなよ! 魔法は資格ですか? 日本の企業と同じことしてるじゃねえか! 会社に就職するためには資格、資格って……」
魔法を覚えていないとギルドに入団できない。
まさに、日本の企業入社と同じだ。
資格がないから面接すら受けさせてもらえない。
異世界に来てまでこんなところで苦労することになるとは。
世界は違えど嫌ところは似てるのな……
「他のギルドなら魔法がなくても入団できるかもしれない、まだ希望は捨てちゃいけない」
俺は自分にそう言い聞かせ、他のギルドを探しに向かった。
……だが、現実はそう甘くはなかった。




