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異世界×あたし  作者: 葉山
【第二章】ようこそ、勇者様
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01.喉元過ぎ去れば黒歴史【Side彼女】


「このままじゃいけない気がする……」

「何がだ、ディー?」

「一次のテンションに身を任せたら、絶対後で後悔する……!やっぱ勇者様(笑)は辞退させ」

「んじゃ、巫女様(笑)」

「却下」

「なら、神様(笑)?」

「ウヌディさまいるじゃん」

「えぇー…、なら、もうお姫様(笑)とかでいんじゃね?」

「……もうやだこいつ」






【第六章】 喉元過ぎ去れば黒歴史






「今のキミが覚えていなくとも、僕は約束を守るよ」


 あぁ、またこの夢。


「たとえ、僕とキミが交わした約束ではないとしても」


 でも、今まで聞いてきた声とは違う。

 “私”じゃない、あなたは誰なの?


「あの方とあの人がたてた、大切な誓いだから」


 それに、その誓いって何?

 ねぇ、教えて。今度はちゃんと、聞こえるように。


「僕も同じように、―――――をキミに誓おう」






「二度寝でもみるとか、なんなの本当に……」


 頭を抱えたくもなるよね?

 何、巫女様(笑)有力説ですか。巫女勇者様(失笑)誕生ですか勘弁してください。


 同じ誓いなのに、今度は声が違うってどういうこと?

 “僕とキミが交わした約束ではない”って、誓いをたてた人たちが違うってこと? 一番最初に聞いた声とは確かに違うけど、“キミ”も“私”も別人ってこと?

 ていうか、なんか聞いたことがあるような声のような気がしなくもないんだけど、これ気のせいなの?


 それに、三回目の同じ夢なのに、たてた誓いについては全く聞こえないとかさ……。

 もう! 大事なところだけ聞こえればいいよ、前置き長いよ! 最終回まで誓いの言葉が明かされない、もどかしいドラマ仕立ての夢とかなんなのあたしの思考回路!?


「はぁー…」


 夢のこともわけわからないけど、いい加減目の前のことから現実逃避はやめようかな。

 嫌だけど。すごく嫌だけど! 直視したくないくらいに嫌だけどねッ!!


「だーかーらっ! ディーは俺の契約者云々抜きにしても同じベッドで寝るのはだめだっつーの! 道徳的に考えて!」

「だが、横にならないとマスターが気にする。人型ではないから道徳的には問題ないのでは?」

「問題大アリだってさっきから言ってんだろ!」

「……オルドビスは、羨ましいのか?」

「はぁあっ!? そ、そんなわけねぇだろ!?」


 うん、ビスもビスならスバルもスバルだった。

 当事者間に挟んで、そんないたたまれなくなるような話題やめてもらえないかな、本当に。居心地悪いんだけど。


 軽く状況説明ね。

 ビスと腹を割って話した後、精神的疲労がピークに達したあたしは二度寝することにした。むしろさせてくださいとベッドにダイブした時から、この二人の言い争いは始まっていたような……。ごめん、眠かったからその辺りはあんまり分かってない。

 二人のことは軽く流して二度寝を決め込んだら、まぁ、あの夢を見ましてー…。

 大事な誓いの言葉を聞こうとした時に無理やり起こされて、二人の間で大人しく現実逃避を決め込んでいた……って感じかな。

 状況説明っていうか、もう、自己確認に近いけど。不毛なやりとりに意識飛ばしたくもなるよね? ……ね?


「ともかくっ! 添い寝はダメだ、一緒に寝るのは問題ありすぎるッ!」

「マスターのそばにいないと守れない。だから当然の措置だ」

「いいんだよ、ディーはいつだって俺が守るんだから」

「今回マスターに愛想をつかされて出て行ったのにか?」

「ぐっ!? ま、まだ愛想をつかされてなんか、ねぇ……よな、ディー?」


 そこであたしに振らないでください。


「はいはい、大丈夫大丈夫」

「なんか投げやりなんだけど!?」

「気のせいだよ」


 気のせいってことにしておいて。あたしはスルースキルを磨くのに忙しいんだ。

 いや、そんなことはどうでもいいんだ。


「で、スバルも起きたから確認するけど。あたしは何をやればいいの? ていうか、ビスは何をするつもりなの?」


 自分の中で巫女勇者様(失笑)とか言ってたけど、わりと本気で勇者様(笑)させられるみたいだから、一応確認させて。

 無茶ぶりされてもあたしできないからねっ!?


「オルドビスは、マスターを利用するのか?」

「スバルそれ違う。一応、あたしが手伝いを申し出たようなものだから」

「ディー、一応って言うなよな」

「予防線くらいは張らせてよ、なんか怖い」

「怖いって、俺そんなに信用ないのか?」

「考えなしに動くことに定評があるビスに、どう信用しろと?」

「うっ!?」


 自覚はあるのね、自覚は。

 あたしは忘れてないからね、アズラスさんの背中から綱なしバンジーさせられたこと。ウヌディさまに向けて突き飛ばされたこと。

 誰のせいで痛い思いしたのか、ふふふ……自覚ないとか言ったらハッ倒すつもりだったからね。


「今回は頭爆発しない程度には、俺だって真面目に考えたから大丈夫だ」 

「スバル、信用できると思う?」

「難しいだろうな」

「アズラスは大丈夫だって言ってくれた!」

「なら大丈夫だね」

「この扱いの差……!」


 うなだれるビスだけど、そんなの当然でしょ。

 まぁ、アズラスさんが大丈夫だって言ってくれたのなら、多分、大丈夫だと思うけど……。


「それで、オルドビス。目的は?」


 スバルの言葉に、うなだれていたビスがしゃきっと背筋を伸ばして、真面目な顔をしてこっちを向いた。

 朱金の瞳を僅かに細めて、形の整った唇を開く。


「ここにいる人間たちを、うちの領民にすること」

「……はい?」


遅くなりました!!

ビスが真面目です。大事なことだから繰り返します。

ビスが真面目ですっ!!


そしてキリが悪いので次回も視点は彼女でお送り致します

……別に、真面目な彼視点を書きたくないとか、そんなことナイデスヨ?

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