06.出口がない迷路は不良品【Side彼】
なんつーか、意外だったかもしれねぇ。
ディーがこの世界のことを知ろうとしている。知ろうとはしているけど、還る気でいる。
矛盾しているみたいだけどさ。でも、スバルのことは真面目に考えてるんだろう。
俺とアズラスとはまた違う主従関係だしな。正直、ディーがそこまで考えているとは思ってなかったけど。
……お前に言われたくないとか、きっと言われんだろうなぁと思うけどさ。
「ディーは俺らのそばにいればいい。消えてしまうのが、一番嫌だ。俺にしろ、あいつにしろ」
「……今ほど自分が枯れてる女でよかったと思うわー」
「枯れ? ディーはまだまだ」
「以下強制終了!」
「おふっ!?」
べしっと、口を勢いよく塞がれた。
って、おい! 鼻っ! 鼻まで塞いでんぞおいっ!
息ができねぇ! とべりり、と勢いよくディーの手を離すと、言葉には気をつけましょう、はい復唱! と妙に疲れたような声色で言われた。
大人しく復唱はしたけど、そんな変なこと言ったか俺。
「つーか、俺の質問答えてもらってないんだけど」
「へ? なんの?」
流しかけたのは俺だけど、でも理由、まだ聞いてないぞ。忘れんなよな。
ぶすっと唇を尖らせながら、そんでもってちょっとジト目になりながらディーを見つめた。
「なんで、出て行ったか」
「……そこは流したままで良かったんじゃないかな?」
「よくないっ!」
ちっと、小さく舌打ちをされたような気がするけど、ここは流さねぇぞ絶対。
「じゃあ、自分の胸に手をあててみて」
「こうか?」
「そうそう。それでゆっくり目を閉じて……、浮かんだそれが答えです」
「いや、わかんねぇよ!?」
だから、ハッキリちゃんと教えてくれって言ってんのに。分かんねぇからこうして聞いてんだぜ。
じぃっとディーを見つめて、そらされる視線を逃がすものかと追いかける。横向いたら横まで移動するぞ。反対側向いたら、ぐるりと顔掴んで向き合わせた。
「ディー?」
なんだよ、そんなに言いたくないのかよ。
不機嫌さを隠さないで真っ直ぐに黒真珠のような瞳を覗き込むと、ディーはしばらく視線をさ迷わせたあと、観念したようにふかぁくため息をついた。
「……放置プレイって、嫌いなんだよね」
「は?」
「役目も目的もないまま毎日を過ごすのって、三日が限界。あたしこのままマダオになりたくはないんだわ」
「マダオってなんだ?」
「説明面倒だから以下略―」
略された!? ていうか、意味分かんねぇ!?
「ディー、説明になってねぇんだけど」
「察して。今までの自分の行動に照らし合わせて察して!」
これ以上は恥ずかしいから言わない、とでも言うかのように目尻を赤く染めてぷいっと横を向いたディー。
察してって、無理があるだろ。
分かんねぇままなんだけど。催促しても聞こえませんーと耳を塞がれる。そんなに言いにくいことなのか……?
俺何かやったっけ? 自分の行動に照らし合わせて……と言われたから思い出してみるけど、分かんねぇぞおい。
だって、ディー迎えてから、愚痴聞いて、屋敷の奴らに紹介して兄貴を中心とした屋敷にいる奴らに釘打って牽制したら、山ほどの仕事を押し付けられてさばいてさばいてさばいて……。
あれ?
俺、あれからほぼディーと会ってなくね?
「……寂しかったのか?」
「どうしてそうなった!?」
噛み付くように叫び返された。ビビってのけぞったけど、そこは突っ込まないように。
ていうか、違うのか。
「どうしてって、考えたら俺ディーと初日以来ほぼ会ってねぇし。だから、構ってもらえなくて寂しかったのかなって」
「あたしはペットか」
ジト目で責めるように言われたけど、違うならさっさと正解言ってくれよ。わかんねぇよ。俺謎々とかそう言ったの苦手なんだぞ。
ディーは深く深くため息をついて、やっぱり視線は合わせられないままだけど、しぶしぶ口を開いた。
「今まで、好きじゃないけど学校行って勉強するってことをしてきた。それがないの。ないのは嬉しいけど、でも、ここじゃ何一つやることだってないし、娯楽だってない。何もできない。何もやることないってことが、嫌だったわけ」
「たったそれだけのことで逃げたのか?」
「それだけって、かなり重要なことなの! 人間堕落したら元には戻れないんだよ!? 太宰を読め太宰を!」
だざいってなんだよ。興奮しているのかちょくちょく“ちきゅう”の方の言葉を挟んできて理解できない。今のディーに俺ツッコミ入れる勇気なんかねぇよ無理無理。
でも、だ。
ディーが感情を強く出しているおかげか、魔力が活性化しているのが分かる。ここでは魔力を感じないと思ってたけど、そうじゃない。
さすがアズラス。たぶん、アズラスの言ってた通りで間違いないんだと思う。
大丈夫だ、これでここでもディーを守れる。
だから、安心してディーには勇者様でもやってもらおう。それで、兄貴だって、しいては領民のためにもなるだろ、多分。
「分かった、分かったからディー。落ち着けって」
「本当にわかってるの!? 男ってのはとりあえず自分が悪いことにして、わかってないけど場を収めようとしているって、何かのテレビで聞いたことあるんだよっ!?」
「つまり何が言いたいんだよ?」
「分かってもいないのに謝られても不愉快!」
……とりあえず、ディーをなだめることからなんとかしねぇとな。
今度から、ウザいって言われてもしっかり構い倒すようにしよう、と心の中で密かに誓いながら。
間が空きましたスミマセン。
一応、話し合いはここまで、ってことで次節いきまーす
なんだか続きの展開とかうまく書けなくて書いたり消したりしているので、ちょおおっと時間かかるかも?
《おまけ》
展開の都合上消えたワンシーン↓
「だから、どういうことかわかんねぇからハッキリ言えって」
「だが断る!」
「マスターは、構ってもらえなくてすねているだけだと思うぞ」
「は?」
「違うから! 全力で否定するけど違うから!」
ていうか、スバルお前いつ起きたんだよ。
むしろ話全部聞いてたのなら最初から出て来いっつーの。
いやいやいや、そんなことよりもだ!
「寂しかった、のか?」
「違うからっ! スバルも妙なこと言わない!」
「マスター、顔が赤い」
「気のせい! そんな言い方だと、ひねくれた構ってちゃんな子どもじゃん! 違うからッ! ビス、違うからねッ!!」
顔を真っ赤に染め上げて、必死で否定してくるディー。
そんな様子を眺めていたスバルとふいに目が合う。
これは、あれだよな?
「照れ隠しだよな?」
「そうだな」
「ここにあたしの味方はいなかった……!」
おぉう、と項垂れるディーだったけど、そんな理由で出て行ったってことなら、これから構い倒せばいいだけだろ?
ウザイって言われても、たとえ兄貴に書類を押し付けられても構い倒すからな、ディー。これから覚悟してろよな。
って、夢のワンシーンww
スバルここで出すとキリが悪いから泣く泣く削除したのですA^_^;)




