表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界×あたし  作者: 葉山
【第二章】ようこそ、勇者様
PR
68/71

05.出口がない迷路は不良品【Side彼女】


 自分で言うのもアレだけど、多分これきっと大丈夫だろうなーっていうのがあるから、そんなに急いで帰りたいとは思わないんだよね。時間の流れがちょっと違うみたいだから、家族に心配は掛けないとは思うし。

 ……まぁ、時折恋しくはなるけどね。そこは否定しない。

 一回経験したら、気が大きくなったってものあるんだろうけれど。


「別に、今すぐ帰らなくてもいいかなーって思ってるよ。さすがに、見た目に影響出始める前には帰るけど」

「っ、還る……のか?」

「いずれはね。でも、目処が付くまでは帰らないよ?」

「目処? ……ディー、何を企んでるんだよ?」


 企んでるとは失礼な!

 まぁ、でも結局はこれが一番聞きたかったことだから、結果オーライ?


「そのための、あたしからの最後の質問ね」

「お、おう」


 ビスの手がようやく離れて、互いに姿勢を伸ばした。

 真面目な話をする雰囲気っぽいけど、雰囲気だけね。あたしがこれからいうこと、もう、他人任せというか、投げた部分大きいから。


「あたしは、ビスやスバルのために、なにができる?」


 “契約”を結んだ二人に、何ができる?

 脱マダオ(まるでだめな以下略)のために、何をしたらいいんだろうって考えて、結局恩返しになるのかなーってちょっと思った。

 二人からは、契約を~、傍に~、仕える~以下小っ恥ずかしいので省略的なことを言われるんだろうなぁって、これまでのやりとりで予想はできる。ていうか十中八九言われるんだろうなぁ……、うぅ、予想できるようになったあたし、かなり慣れてきてるかも。


「何って、そりゃ」

「魔力云々に関しては、専門外だから論外ね」

「え? 論外なのか!?」

「論外なのです」


 そもそも、それあたし自覚ないし勝手に持ってかれるだけだし。


「最初は、帰った後の新しい契約者でも探しに行こうかなぁとか思ってたんだけど……」

「契約者はディーだけでいい!」

「っていう気がしたから止めてー」


 そこはやっぱり予想通りなんだよね。そんなに全力で言われるとは思わなかったけど。

 呆れたように息をついたら、それ以上にもっと深くビスがため息をついて肩を落とした。


「……ディーは、俺の心臓をどうしたいんだ?」

「別にどうもしたいと思ってないけど?」

「でも、さっきから驚かされたり安心させられたり、不安にさせられたりで、ディーの一言一言に俺振り回されてるんだけど。……実は小悪魔とかそんなだったりするのか?」

「ごめん、ちょっと一発殴ってもいいかな?」

「なんでだよっ!?」


 ディー酷ぇ! と項垂れるビスの頭をぽんぽんと叩いて、発言には気を付けようねーとだけ声かけておいた。

 言葉で爆弾落とすのは、むしろビスの方だと思うけどね。絶対。


「話戻すけど、ビスにはアズラスさんがいるじゃない? だから、スバルのことに関して、ちょっと相談したかったんだよね」


 スバルの話からすると、二人共……あれ? これ数二人? 二匹? まぁいいや。両方共希少種と呼ばれるウヌディさまに保護されている種族らしいじゃん?

 そういう点でどう守る……だとおこがましいかな。どう接していけばいいのか、戸惑った。

 うまくまとめられないまま、ビスに伝えると朝靄色のサラサラの髪を軽く揺らしながら、不思議そうに見上げてきた。


「ディーは、ディーのままでいればいいだけだろ?」

「すみません、ちゃんとした質問にもなってなかったけど、答えになってないよそれ」

「つっても、あいつらは希少種だからこそ自分たちの意思で仕える奴や付き合う奴を決めてるわけだから、俺らが変わらないことを一番望んでる。それだけ」

「それ、だけ?」

「おう。あ、あと強いて言うならあいつら自身を否定しないで、俺らの好きなようにやればいいだけだろ」


 ビスは、金朱の瞳を細めてそう笑った。

 そんな単純なものではないと思うんだけどな。綺麗事だけじゃ、世の中回っていきまセンヨ?

 なんて。そんな真っ直ぐな台詞に照れくさくなってしまったのは、仕方ない、よね?


「……それだと、やっぱやらなきゃダメかな。勇者様(笑)……」

「ちょ、勇者様(笑)って。最後あからさまにおかしいの付いたろ」


 あぁ、でもそれいいかも。

 ……なんて、呟きが聞こえたような気がするんだけど。え? 空耳だよね?


「ディーは、俺のために何ができるかって考えてくれてたんだろ?」

「ま、まぁそうなんだけど……」

「なら、ちょっと手伝ってくれよ」

「……出来る範囲でなら、構わないけど、さ」


 なんでだろう? 嫌な予感しかしないんだけど。

 ありがとな、と視線を合わせながら真っ直ぐに告げてくるビス。その瞳がわずかに揺れて、長いまつげが伏せられる。

 薄い唇が開いて、紡がれる言葉。


「本当は、帰らないで、ずっと傍にいて欲しい」

「っ!?」

「なんて思ってても、それは無理だろ?」


 ぷ、プロポーズかっ!? とか心の中で盛大に叫び吹いてしまったあたしの反応これ正解だよね!?

 儚げに微笑まれると、スミマセンごめんなさい申し訳ありませんでしたっ! って、全力で土下座したくなるよねっ! なんか、降ったようで申し訳ない!くっそ、この雰囲気と表情に弱い、かも……!

 これだから、顔だけはいい男はーっ! と盛大に取り乱すのは心の中だけにして。あ、顔がものすごく真っ赤になってるのは、みなかったことにしてください。


「だから、ちょっと手伝うだけでいい。久々に頭使って考えたから、たぶん、きっと、これで兄貴に踏まれなくて済む!」

「お兄さん踏んじゃうんだっ!?」


 どこのSM兄弟ですかっ!? あ、いや、ビスは喜んでないから違うんだろうけど!

 まぁ、でもいいか。

 さっきみたいな切ない顔されているよりは、ちょっとうざくても、いかにあの兄貴が容赦なくて人使いが荒いかを、全力で語ってくる方がマシだし。

 てい、とビスの額を小突いてみた。


「なんだよ?」

「なんとなく?」

「なんだそれ」


 変なディーだ。と笑いながら小突き返してこようとするビスの手を避ける。ムキになってぶつけてこようとするビスの手を、あたしまでムキになって避けて。

 やっぱり、シリアスよりもこういったくだらないことやってる方が楽しいよね、って。

 なんだか改めて実感させられた。



実感させられたのは主に筆者(ワタクシ)が、ですけどねっ!

もういいよ、お前らそうやってグダグダやってろよ、シリアスはもういらんわ。乙女なビスはクーリングオフしたいわーとか思ってます←


ちなみに、初期設定でちまっとビスの兄貴に『ただのドえす』としか設定書いてなかったくらいには、ビス踏まれて虐げられていじられるのは公式みたいですww

あともう一本続きます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ