03.出口がない迷路は不良品【Side彼女】
ビスと腹を割って話す。なんかそんな雰囲気。
うーん、脱走したのってそんなマズいことだったのかな。さっきなんか、捨てられかけた子犬みたいな雰囲気出してたし。……思わずほだされそうになったとか、ソンナコトナイデスヨ?
何にしろ、質問し合おうみたいな形にできたから、結果オーライ? スバルにはちょっと聞きにくいものだってあるしね。
あたしからでいいってことだから、遠慮なく教えてもらおうと口を開いた。
「とりあえず、地下からどうやって逃げ出したの? それなのに、どうやってここに来たの?」
「あれ? それ質問二つじゃね?」
「ビス、女の子に対して細かいことを突っ込んじゃいけないんだよ、知ってた?」
「知らなかった……!」
真面目に答えられてもって感じだけど、……まぁいいや。
「地下からは、きっとアズラスさんの力とかだよね?」
「おう。確かに、なんでだか魔力が感じないっていうか、そんな変な感覚に陥らせられるからな、ここ。力技使って出ようかと思ったけど、まぁアズラスが穴開けて出してくれたから、そのまま出た」
……結局力技に変わりないと思うんだけど。そのツッコミはしない方がいい?
アズラスさんの力って予想はしていた。じゃ、戻ってくる必要なんかないよねー…なんて思ったりはしたけど。
「で、対策して忍び込んできた」
「対策って……いや、説明はしなくてもいいけど。でも、別にここに戻ってくる必要なんかないよね?」
「何言ってんだよ? ディーを迎えに来たに決まってんだろ」
で、ですよねー。
そんな気はしていたけどさ。でもさ、でもさっ!
「ほら、ディー。帰ろうぜ」
「嫌」
このままじゃ、いけないって思ってるんだ。
目標は、脱・マダオ(まるでダメな女の略)!
ここにいてもダメだし、ビスと一緒に戻ってもダメだって、思ってる。理解ってる。
「……じゃ、俺の質問な」
ビスは一つ大きく息をついてから、ゆっくりと視線を合わせてきた。
「なんで、ここにいるんだ?」
「……なんでって、成り行き?」
としか答えられないよね? ここに来るつもりできたわけじゃないし。
「成り行きって、ディーはここがどういう場所かわかってるのかっ!?」
「あ、それだと質問二つ」
「男の子に対して細かいことを」
「細かいことを気にするのが女の子なんですー」
「男の子には適用しねぇのかっ!?」
なんだとぅっ!? と地味にショックを受けているビスには申し訳ないけど、これ勝手にあたしが言い出しただけだからね。別に男の子だと適用しないわけじゃないデスヨ? 多分。
「せ、せめて、どんな成り行きだったかくらは教えてくれねぇか?」
「うーん、と言われてもねぇ……。あたしも目が覚めたら、ここにいたって感じだし」
「え?」
あ、これだと言葉足らずだ。
「とりあえず、ビスの家を出て、転々と村っぽい場所をを辿って、人間の国の近くまで向かってたのは間違いないんだけど……。まぁ、そこで魔族の皆サマより手厚く襲撃頂きまして」
「う、スミマセンでした……」
「イエイエイエ。別にビスが悪いってわけじゃないからね? 魔族の、人が、えぇ、悪いわけでして」
「……魔族ってちゃんと聞こえるのに、ダブって俺がって聞こえる俺の耳がオカシイのか?」
あれ? と首を傾げながらも謝るビスに、ちょっとほくそ笑んだ。
なんだろう、男を振り回して手玉に取る悪女の気分。そんなつもりはなかったんだけどね。
「でも、ごめん」
「いいって。ビスのせいじゃないし」
「いや、俺のせいでもある。俺がディーのそばにいなかったから。だから、ディーを危険な目に合わせちまった。だから、ごめん」
守るって、言ったのにな。
そう続けたビスに、全力で土下座して謝りたくなった。
何この子ピュアなの? 天然なの? 知ってたけど!
なんか、悪女みたいだとか手玉に取るとか思ってごめんなさい……! 口には出さないけど!
「そんなこんなで、ここで保護してもらったからここにいるってことかな?」
「怪我とかねぇよな?」
「スバルがついてるから平気」
ビスはちょっとむっとしたみたいだけど、スバルのあの距離感教育さえうまくいけば、これ以上にないボディーガードさんだと思うんだよ。万能執事と言いかえてもいいかも。
まぁ、あたしには勿体無いくらいだけどね。
「次、あたしの番でいい?」
「あぁ」
「スバルって何者なの? ……ちょっと言い方が違うかな? 獣魔って、具体的にどんなものなの?」
「なんで、あいつのことなんだよ」
「知りたいから」
それ以外に何がありますか。
しれっと言い切ると、ぶうたれた顔された。何度目かわからないけど、子供か。
「獣魔って、俺もよくわかんねぇよ」
「うん。そんな気はしてたから、詳しい説明は期待してない」
「なんだよそれ!」
「だって、ビスだし」
理不尽だ! と喚くビスに、どう説明すればいいものか、とちょっと悩んだ。
スバルの話をまとめると、竜人族や獣魔って数が少ないからウヌディさま……いわゆる神様に保護されているってこと。これは世界の常識なのかなって思って。そしたら、世界の常識的に、獣魔ってどう思われてるんだろう? そう思った。
「……獣魔ってのは数が少ない種族で、だからウヌディビティバルドゥの守り手みたいなもの。魔力は扱えないけれど、どの種族よりも身体能力が高い。感覚が鋭い。そんなとこか?」
「へぇ、スバルは魔法使えないんだ」
「あぁ、魔力はゼロってアズラスが言ってた」
ですよねー。さすが教育者のアズラスさん。教え子はきっちり覚えていたようですよ。
アズラスさんにもしばらく会ってないなぁとか思ってると、ビスはそうそう、と続けた。
「これはディーの方がよくわかってると思うけど、獣魔の契約はウヌディビティバルドゥを守ることを前提としている。だから、ウヌディビティバルドゥに縁があるもの……だっけか? そういうのは全力で守るし、仕えるって種族だって聞いてるぞ」
……あれ? ちょっと待って。
「……参考までに、その縁があるものって例えばどんな?」
「俺の質問がまだなんだけど」
「細かいことは気にしちゃいけないんだよ」
あれ? 細かいのか? とまたもや首を傾げたビスだったけど、それでもこくりと頷いて、眉間にしわを寄せながら思い出してくれた。
「ウヌディビティバルドゥに使命を与えられたもの。力を与えられたもの……だっけか? 大体が世界革命とか戦争とかで名を挙げてるぞ」
どうしよう、シャレにならない。
巫女様(笑)とか勇者様(笑)とか、全く嬉しくもない称号が、軽快な足音を響かせて近づいてきた気がした。
……本当に、勘弁してください!
こういうのは連日更新にしたい、と思って頑張りました!
日にちを置きすぎると、続きってなんだったっけ?ってなりますよね?
……あ、自分だけですか恐れ入ります←
しかし、話があちこちに飛びます。困ったものです。
そして時折忘れがちですが、彼は説明が苦手です。なのに今回説明役という……。
どうしてこうなったww




