01.後回しにはツケが付いてくる【Side彼女】
この物語は、全年齢対象となっている
多少の暴力表現や
(契約者)愛要素が含まれているが、
至って健全な物語となるように努力しているらしい
まぁ、それだけはどうしようもないけれど
【第三節】後回しにはツケが付いてくる
「さぁさぁ! ご主人様はご褒美ですわー! これ以上わたくしの趣味の時間を削らないで頂きたいのですわ! こちらへどうぞご主人様ぁっ!」
そんな暴走気味の彼女に引きずられて、あたしは再びスバルと一緒に元の部屋に戻された。鼻息荒くそんなこと言われても、ドン引きものなのですが。いや、あたし貴女のご主人様と違いますから、ていうかこれ以上ご主人様とか呼ばれても困るだけなのですが本気で!
「スバル、どうしよう……?」
「マスターの好きにするといい」
スバルも彼女が苦手なんだよね、うん、それはあたしも同じだから。
悩みに悩みぬいた結果、あたしはなんとかひらめいた。これなら、たぶん、彼女を納得させられるご褒美になるだろうし、あたしもなんとか妥協できる範囲だと思う!
ソファーに腰かけて、期待した瞳でこっちを見る彼女を見ないように努力する。
「スバル、猫の姿になれる?」
「あぁ」
す、とスバルの体がぼんやりと輝いたかと思ったら、するすると猫の姿に変わる。いつ見ても毒々しい色だよね、紫色の毛並って。いや、猫可愛いからいいけど。
猫の姿になったスバルを抱えあげて、ひざの上に乗せる。
「まぁまぁまぁあっ!」
彼女が興奮したように立ち上がったのなんて、気にしない。気にしないであたし!
抵抗しないスバルは、あたしの膝の上で座りなおして不思議そうにこっちを見上げてくる。その背中をゆっくりと、なでる。
あぁ、あったかくてもふもふでなんて癒される愛玩動物なの……! 猫最高!
「スバル、お疲れ様でした」
癒されながらも撫で続けていると、スバルはごろごろと喉を鳴らして目を細めていた。あぁ、可愛いなぁ。
「うふふふふ」
彼女の声は、聞こえなかった。聞こえない聞こえてない。大丈夫これ空耳。
「胸のときめきが止まりませんわ。これは是非とも人の姿をしているときにして頂きたいのですが、これはこれで妄想力が高まりますわ……!」
「あのー、もしもし?」
「これはまさに、ひざまくらをしながら相手の殿方の髪をなでる行為と同じですわね! はぁあ、慈しみの視線を無防備な寝顔に向けているご主人様と従者……! なんたる! なんたることでしょう! これはしっかりと心に焼き付けておかねばなりませんわぁあっ!!」
「すみません、勝手に妄想で脚色しないで頂けませんかっ!?」
止めないと! これはさすがに止めないと!
彼女の中であたしがどんなキャラになっているか、本当に怖くて仕方ない! 知ったら負けな気がしなくもないけれどもさ!
……とりあえず、否定しても恥ずかしがり屋さんとかそんな感じで解釈されるから、彼女は放置することにして。
質素な調度品(比較がビスの豪華な屋敷のものとなってる辺り感覚おかしいのかもしれないけど)でまとめられた客室。そんな印象を与えるここは、元の世界で言えばちょっといいホテルの一室みたいな感じ。
魔族から逃げてたあたしは、スバルとここの人に助けられた。彼女が付きっきりだから動き回ることも何もできないけれど。とりあえず、ビスがいた地下牢に行くまでに何人もの人とすれ違ったから、わりとここには色んな人がいるんだなって思った。
「あの、助けて頂きありがとうございました」
「あ、あら? そんな構いませんのよ。困っている人間は皆助けあわないと、あのようなモノ共に抵抗できませんもの」
息も荒く悶えていた彼女は、すぐに持ち直してにっこりとほほ笑む。こうしていると、普通の女の子みたいで可愛いんだけどな。
「あなたも、大変でしたのね。それでも大丈夫ですわ、ここにいる限り、あのようなモノの元に引き渡すことなど行いませんわ」
「……えっと、あの、話が読めないんですけど」
「あらまぁ、ご存じないの? ここは魔族との契約破棄を望む人間が集まる場所ですのよ」
「へえぇー…って、うええぇえっ!?」
ちょっと待ってそれ初耳なんだけど!
契約破棄って、そんな簡単にできるものなのっ!?
あたしは思わず、自分の手首につけられたブレスレットを握りしめた。
恐ろしいことに、ディーはスルーしすぎてほとんど現状を知らないと言うことに気づきました。
っは、はは……今回は世界観説明とかそんな感じの部分になるのではないのでしょうか。
説明しようとしても、どうでもいいことばかり書いて話先に進まなくなるのは目に見えていますが、努力します。はい。
最後の常識という名のスバルがログアウトしてしまったので、どうなるかはわかりませんが。




