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異世界×あたし  作者: 葉山
【第二章】ようこそ、勇者様
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02.場の空気を読みすぎるのも考えもの【Side彼女】



「キミに一つの誓いをたてよう」


 ……誰?


「そう、それは私とキミを繋ぐためのもの」


 あたしと、あなた?


「だからどうか忘れないで欲しい。私がたてた誓いを」


 ねぇ、待って。


 あなたは誰なの?

 あたしとあなたは……














「待っ」


 って……あれ?

 思わず伸ばした手は、何も掴まない。そりゃそうだ、何もないもん。空気しか掴めない。

 ぼやける視界は何回か瞬きすることで、なんとかちゃんと見えるようにして。ぼんやりする頭で、何かを考えようとして……やめた。

 ぬくぬくとした暖かいお布団の中で目覚めたのなら、二度寝をするべきだとあたしは思うんだ。遅刻だろうがなんだろうが、いいの。そう、今あたしは眠い。超二度寝向きの状態。これはもう、寝るしかないでしょ。

 ぬくぬくのお布団にくるまって二度寝しようとした、そんな時。


「マスター、起きたか?」

「耳ぃいいいっ!!」


 耳元で囁かれるとか、それは反則でしょ!?

 くすぐったいって言うか、ごめんなさい二度寝しようとしたあたしが悪かったです!

 ひぃぃ! と叫びながら左耳を押さえて、あわあわと置きあがった。思わず目も覚めるよさよなら二度寝!


「耳?」


 声からして分かってたけど、うん!

 不思議そうに首を傾げるスバルが、猫耳をぱたぱたと動かしていた。


「スバル、前から言ったはずだよね! 耳元で囁かないでって! いや、むしろ距離近いって!」

「決して囁いたつもりではなかった。が、マスターが不快だと思ったのなら、申し訳ない。謝る」

「悪いと思っているなら離れようかちょっと!」


 そうだね、スバルキミちょっと近いんだよね! 前々から何回言っても直りそうにないから、半分くらいは諦めてるけれどさ! 拳二つ分の距離にその整った顔あるのは、心臓に悪いんだからね!

 毎回毎回、あたしの心はスバルに鍛えられているような気がする。こんな鍛え方とかいらないけど。


「マスター、身体に異常は?」

「異常? なんで? いたって健康だけど?」


 しいて言うなら眠いくらいかな。

 そうつなげると、スバルはそれならよかったと、どこかほっとしたような顔をしていた。

 どうしたんだろう……なんて。忘れてたけどほっとするのは当然だよ! なんで忘れてるんだ薄情だな! むしろツッコミのスキルどこかに落としてきたかなっ! いや、それはないか。ちゃんと今ツッコミはしてる。


「っ、スバルは、無事!? 大丈夫!? 何もされてないっ!?」

「大丈夫だ。マスターの願いはちゃんと叶えた」

「なら、良かった……」

「いいえっ! 全然よくなんかないですわ!」

「はいっ!?」


 ほっと、安堵の息をついたのも一瞬で、力強い否定の声に遮られた。

 え? て言うか、誰?

 ふわりと肩口で広がった亜麻色の髪に、興奮から赤く染まった頬。キラキラと輝く瞳からは、なんか、ビームとか打てそうなくらい強い眼差しを感じる。


「よろしいですか! あなたは仮にもマスターと呼ばれる身! ご主人様なのです!」

「はぁ、まぁそんなたいそれたものじゃないですけど」

「だが、マスターはマスターだ。俺のマスターはマスター以外にいない」

「さらっとこっ恥ずかしいこと言わないで!」

「恥ずかしいこと? だがこれは事実だ、マスター」

「スバルにはそう思わないかもしれないけど、あたしにとってはそうなの!」

「それならば、すまない。以後気をつける」


 あたしそんなたいそれたものじゃないから! 正直マスターとか、ご主人さまとか、そんなものでもないから! むしろそんな風に呼ばれたかったらメイド喫茶や執事喫茶にでも行くから!

 なんだかもう恥ずかしくて、今すぐ穴掘って隠れてしまいたいとか思ったりもするんだけれど。これを人に見聞きされているとか、何この羞恥プレイ。


「素晴らしい!」

「へ?」


 完全にドン引きされてるよ、とか思ったけど。

 あれ? 素晴らしい?


「これぞまさに従者の鏡! 美しき主従関係! 控えめな主人に誠心誠意尽くす従者の図、わたくしをたぎりにたぎらせますわ! あぁ、もぅわたくしをどうしたいのこのお二人はっ!」

「え?」


 いや、どうもいたしませんが。

 あれ? なんだろうこれ。どうしたんだろう彼女は。


「先ほどの距離の近さといい、あれですわね! お二人は主従関係であると同時にうふふふふ! これ以上は野暮ってものですわね! あぁでもあれですわ、これだけはしっかりとお伝えしなくては」


 がしっと、肩を掴まれた。

 あ、あれ? ちょっと、待って。あれ何コレ? 何でこの状態?

 怯むあたしの肩をしっかりと掴んで、彼女は興奮して息も荒くなりながらも、はっきりと言い放った。


「あなたはご主人さま。そして彼はあなたの従者。従者がご主人さまのために誠心誠意尽くした際には、褒めてやらねばなりません!」

「は、はぁ……」

「業界用語でご褒美と申します! さぁさぁ、ご主人さま、ご褒美をお与えになるのです!」


 ごめんなさい意味が分からないです。

 戸惑っていても、その人はさぁさぁ! とせっついて来るばかりだし、スバルに助けを求めても、どこか困惑したように首を捻るだけだし。

 スバル、それじゃぁ、本当にご褒美を望んでるみたいじゃないか、せめて否定して! ありがとうくらいはちゃんと言うから!

 どうしようか悩んだ挙句、ふと思った。


「えぇと、あの、その前に一ついいですか」

「その前にもなにもありません。さぁご主人さま!」

「ちょっと、“萌え”って言ってもらってもいいですか」

「いえ、そんなことよりも」

「スバルおいで。ご褒美、あげるから」

「萌えええええぇぇ―――!!」


 その一言で、名前も知らない彼女が、なんとなく分かった気がした。

 そりゃ、スバルも反応に困るわけだ。


本当は冒頭だけでやめるつもりでしたが、200字未満だったので。

書いてたらどんどこ増えましたははは……なっがい(遠い目)


いや、様々お話は書いてきましたが、彼女のようなキャラは一回も書いたことなかったので出してみたかったんです。

調子に乗って反省はしてる。でも後悔はしてない!



そして冒頭。

これ独立させたかったんです。これテーマだから!

一部から引き続いてテーマこんな形で表してます申し訳ない次頑張る!

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