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異世界×あたし  作者: 葉山
【第二章】ようこそ、勇者様
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06.裏切らない展開予想図【Side彼?】


 いくつかの気配がする。きっと、魔族。いや、間違いなく魔族の気配。人間だったら、俺の足に付いてくることはできない。

 くたりと力が入っていないマスターを抱えなおして、更にスピードを上げた。


「おいっ、待てよそこの奴!」

「止まらねぇと怪我するぜーっ!!」

「むしろお前らごと消し去ってやろうか!」


 下種な笑い声をあげながら俊敏な動きで追いかけてくる。

 既に正規の道は外れて、入り組んだ樹木の間を縫うようにして駆け抜けている。どこに向かうかは、分からない。

 なによりマスターの安全を優先しているから、それからのことは後で考える。


「追いかけっこは、いい加減終わりにしようぜっ!」

「っ!?」


 後ろで魔力のうねりを感じて、慌てて横に大きく跳躍した。

 ごぅっと、大きな音を立てて魔力の塊が先ほどまでいた場所を通り過ぎて行く。どこかの樹木に当たったのだろう。めきめきと音を立てながら木が倒れるような音が聞こえた。


「さぁ、命が惜しければとっととそいつを置いて行けっ!」

「断る」

「このっ、クソ生意気な……!」


 向けられる、いくつもの紅い視線。

獣魔は魔法が使えない。身体能力が、他の生き物よりも高くて、気配が鋭いだけ。だから、魔族とは戦いたくない。

 だが、立ち向かわなくてはならない。この腕の中で眠る、マスターのために。


「なぁ、お前ら。どうせお前らもそいつを狙ってんだろ? なら、ゲームをしないか」


 あくまでも自分が優位にあると思っている魔族の一人が、そんなことを言い始めた。どこかおどけた様子でそんなことを言うのだから、きっとろくなことじゃない。


「なんだよ、それ。どんなゲームだ?」

「すっげぇ簡単で、超楽しいゲーム」


 同じ魔族でも、オルドビスたちとは全然違う。


『全力で逃げてスバル、お願いします!』


 必死にしがみついてそう叫んだマスターは、この状況など知りもせず泥のように眠っている。疲れてるのに、無理するからだ。


「SSランクのそいつを、誰が手に入れられるかだ!」

「させやしない」


 いくつもの魔力のうねりを感じて、マスターをしっかりと抱えなおした。それから、ぐっと足に力を込める。足の筋力を最大限使って、逃げ切る。

 それが命令をあまりしないマスターの、数少ないお願いだから。

 必ず、成し遂げてみせよう。


あんまりにもスバルが気に入りすぎて、初めてスバルの視点で書きました。

だから、彼? 表記にしています。

いや、本当にスバル好きなんですって。大丈夫、贔屓はそこまでしないつもりです。皆好き皆愛してる。


オール ニーディング ラヴ!


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