05.裏切らない展開予想図【Side彼】
イライラする。なんかよくわかんねぇけど、イライラする。
こう、何かに八つ当たりしてしまいたいくらいに。
「……だぁああぁっ!! っとにもおおぉっ!!」
なんでディーが姿を消した事に気付けなかったんだろうとか、なんでいなくなるようなことさせちまったんだろう、とか。そんなことさせちまった自分が本当に嫌。マヂで嫌。
本当はこのイライラをその辺にぶつけようかと思ったけど、まぁ、あれだ。
ここはアズラスの背の上。
間違ってもアズラスには当てられないし(つか、当てたら命の保証は、ねぇ)その辺にぶっぱなしたら、どんな奴に当たるかわからねぇし。……それがお偉いさんだったら、俺生きてるか分からねぇもん。
「なんでこうなっちまったんだか」
「ぎゃぉぅ……」
「おいこらアズラス! これ見よがしにため息つくなよな!」
そう叫んだ側からまた一つ。
くっ、竜語はわからねぇけど、なんとなくアズラスが言ったことが予想できる。
『自業自得ですよ……』
間違いなく、そう言ったに違いねぇ!
あぁ、そうだよ! 確かにディーのことまで気が回らなかった俺が悪いんだけどさっ!!
……言われなくても分かってんだっつの。
「スバルの奴も止めりゃいいのに。っとに……」
あの馬鹿獣魔。そりゃ、あいつはディーの使い魔だから、ディーに従順なのは嫌でも分かるけど。でも、ディーは命令とかあんまりしねぇからな。十中八九自主的に付いてったんだろ。
「ったく……」
面倒臭ぇことに巻き込まれてねぇといいんだけどな。
あいつ、魔族にとって最高ランクの力の持ち主だしなー…。
「……」
なんか、自分で言っててなんだけど、めっちゃ不安になってきた……!
スバルがいるから、多分、いや、おそらくは大丈夫だろうけど!
でも、自分の契約者を……ディーを誰かに盗られるって、そう考えるだけでもなんか、すっげぇ嫌!
「アズラス、とっとと見つけちまおうぜ!」
「ぐるるる」
了解、とでも言うかのように喉を鳴らしたアズラスは、ゆっくりと降下し始めた。
白い雲を切り裂いて、冷たい風を一身に浴びながら。青い空から見下ろした地上は、どこまでも広がっているように見えるけど。それでも、見つけ出すに決まってんだろ。
「俺がいないとこで、余計なことに巻き込まれてんじゃねぇぞ、ディー」
深く被ったフードを押さえながら、俺は半ば願うような気持ちでそう呟いた。
アズラスは根っからの苦労人属性のようです。
まぁ、ビスの教育係になったときからそんな運命になっちゃったんでしょうね。ドンマイ、アズラス。
あと、うん。ビスがよう分からないです、この子なんなの本当に。
独占欲? 独占欲なのこれ? それとも、子どもじみたぼくのもんだい! なのかしら?




