02.最後はお約束の展開で【Side彼】
疲れた。これ以上ないくらい疲れた。
「あーっ! なんっで、こんなに面倒くせぇんだよっ!」
「そりゃぁ、オルドビスが契約者を還したからだろう?」
うっ……、言い返せねぇ。事実そのままだから何も言えねぇ。
くっそ、同じ顔した、俺よりほんの数時間早く生まれた奴に言われんのは、やっぱ、すっっげぇ腹立つっ!!
「大体、魔族のくせに、甘すぎるんだよオルドビスは。獣魔走らせて、竜人族に後始末させてる甘々ちゃんだよ」
「ってめ、何様だよ!」
「君の双子のお兄様だけど?」
「っああ! マジでウゼえぇっ!!」
もう本当に嫌。かなり嫌。こいつと双子ってことが超嫌。
あぁ、家に帰ると必然的に立場が低いんだよな、俺。ヘタレヘタレ言われるけど、全てはこの環境が悪いと思う。
「はああぁ……」
無駄な体力使っちまった。余計に疲れる。
この後始末ってのが、疲れる一番の原因。二番目はクソ馬鹿兄貴が原因なんだけど。
何か、俺の思った以上に家族どもは契約者を期待してたらしく、落胆の腹いせにより、俺に面倒事を押しつけてきやがった。おい親父家長なんだから自分でやれよ。そんでもって、兄貴も真面目にやれよ。
……ああぁ! 書類の山が減らねぇっ!!スバルとかアズラスの力も借りてるけど、終わらねぇ……。
はああぁ……。
「ん? 何処行くつもり?」
「外の空気吸ってくる!」
「ふぅん。あ、コレ追加。まさか逃げないよね?」
「逃げるかっ!」
一言余計だっ! ったく、ったくぅっ! マジでムカつくっ!
俺は荒々しく扉を閉めて、怒りをあらわにずんずんと進んだ。
が、タックルするように突っ込んできたスバルに止められた。
「オルドビスっ!」
「んのわぁっ!?」
な、何だよ、この馬鹿力はっ!
あれ? こいつってこんなに力強かったっけ? 衝撃を受けとめきれなくて潰れちまった。情けねぇ。
俺が文句を言う前にスバルが肩に軽がると担ぎ上げ、そのまま全速力で走りだした。
……って、はあぁ?
「ちょっ、おい、何だよっ!?」
「時間がない」
「はぁっ!? 何の……ってそこ窓! んでここ五階っ!」
「近道だ!」
冗談かと思ったけど、マジで飛びやがったっ! 五階の高さから、躊躇も何も見せないで、勢いよく。
魔法とか、呪文なしで……うそだろっ!?
「うおあああああっ!?」
「黙れ!」
い、一喝?
すぐに地上に着く。
「ぐっ!?」
は、腹にくるっ! 重力が腹にくるっ!
そんな些細なことを気にもしないで、スバルはスピードをどんどんあげて走り続ける。
いや、あの、マジで苦しいんだけど……。あと、こんな情けない姿から解放してくんねぇ? マジで。
「ちょっ、マジで、なんなんだよ!?」
「あれが、見えるか?」
「はぁっ!? あれ!?」
ちょっと待て。あれって、少し先の空を急降下してる、あの、黒い、人影……?
あれは……もしかして……。
「いやぁぁぁぁぁぁっ!!」
あの、唐突に聞こえる声は……。
「ディー!?」
再びあいつはやってきた。
出会った時と同じように。
「だれかあぁぁぁっ! びすぅぅぅぅっ!!」
誰かとか言いつつ俺の名前を呼ぶなんてな。ちょっと照れくさくて、鼻を擦った。
とりあえず、俺はあいつの為に呪文を唱えた。
だから先に言いました。展開予想は裏切らないのです。
この節は短くなりますが、次で最後になります。
最後? え? 分量は長くなると思いますよ、十中八九。




