01.喜びはツッコミをも凌駕する【Side彼女】
「なんか、誰か忘れてるような気がするんだけど……」
「誰かって、誰だよ?」
「誰かわかんないから誰かって言うんでしょ」
「忘れてる奴なんかいたっけ?」
「……二人とも、ウヌディビティバルドゥが目覚める」
「マジか!?」
「あ、分かった……!」
「何がだ、マスター」
「……アズラスさんだ……」
「あ」
【第六節】喜びはツッコミをも凌駕する
頭がぱっくり割れるかと思った。
比喩表現じゃない。マジで。
「おおぉうあ……、ちょ、大丈夫? これ大丈夫なの? 脳みそとか出てないコレ?」
「見た感じなんともないから大丈夫だって」
「実行犯に大丈夫とか言われたくないいいたあああいいい……」
途中から何言ってるのか自分でも分からないけど、それでも何か言ってないと痛みで頭が持ってかれそうだ! いや、痛いのはその頭なんだけど!
えっと、簡単に事情を説明するね、うん。
そのウヌディなんとかかんとかさまっていう神様を起こすために、一発いれなくちゃいけなくなったあたし。
まぁ、そのウヌディさま起こせば地球に帰れるっぽいからいいかなって思ったし。
それで、昔の万博にあった某太陽の塔みたいな顔を殴らなくちゃいけなかったんだけど(て言うか殴るって言ってる時点でかなり神様冒涜してるよね)、面倒くさいからって、ビスに投げ飛ばされました。
で、あたしは頭からその顔に突っ込んで……
「今に至るというわけです、はい」
「は?」
おっと、つい口から出てしまったけど、まぁいいや。
「って言うか頭割れたんじゃないコレ!? 半端ない痛みなんですが、どうしてくれようこの痛み!」
「うん、まぁ俺にはなんとも言えねぇや」
ビスにそんな高度な役目を求めてないから大丈夫! って、いやいやそんなことが言いたいんじゃなくて。
「マスター」
頭を押さえて痛がっていると、スバルが静かに声をかけてきた。
「ウヌディビティバルドゥだ」
「は?」
「え、これがウヌディビティバルドゥ?」
は? があたしで、これが~がビスだ。あたしにこんな舌を噛みそうな名前はいえない。
と言うか、口が開いてふさがらないって言うのは、まさに今のあたしとビスのことを言うんだと思う。
「ウヌディビティバルドゥ?」
「あぁ、そうだ」
「この、もやしみたいで、ムー○ンにいそうなこれが!?」
「よく分からないが、ウヌディビティバルドゥだ」
いやいやいや、まさかそんな誰がこんな展開を予想できたでしょうか!?
まさに、まんまだよ。
縮小版奇妙な塔っぽいもの(仮)だよ。某太陽の塔がミニチュアになって動いてるよ!? 顔が妙にリアルなんだけど!?
白くて細長い、のぺっとした体って言うかフォルム。金色に輝くおっさんのどや顔。てっぺんにたんこぶ作ったこれが、まさかの神様ですか!?
「いやいやいや、何の冗談ですか?」
「冗談ではない。本物だ」
「ビス、お願いだから冗談って言って。嘘でもいいから!」
「え、や、マジで? あ、嘘……なのか?」
駄目だ、へたれに何言っても信憑性がない! もっとしっかりしてよね、ビス!
『デパデ、バルビディア!』
「うわああああ、何か喋った!?」
「てか、何語だコレ!?」
『ル・ビディルバゾ!』
「知らねぇよ!? なんなんだよ一体っ!?」
あたし以上にビビッてるのですが。いや、あたしも相当ビビッてるけどさ!
二人して半分パニック状態になっていると、妙に冷静なスバルが深く頷いていた。いや、なんでそんなに冷静でいられるの!?
「娘よ、感謝する。そなたはどこから来た? と言っている」
「そんな長い意味こめられてたのか!? って言うかなんでお前言葉わかるんだ!?」
ビスが珍しくまともなツッコミを入れている。あたしも同じこと言いたいんだけど、そんな場合じゃない。
今、どこから来たって、聞いた?
「地球から、この世界じゃない場所から」
スバルがあたしの言葉をウヌディさまに伝える。ウヌディさまが、頷く。
『ル・リリデラデイシュ!』
訳してもらわなくても、なんとなく意味は分かる。きっとそうだと思う。
「そなたをあるべき場所に還そう。と言っている」
ほら、やっぱり。疑ってすみませんでしたって、全力で土下座したくなるほどに嬉しい。頭が痛いことですらどうでもいいと思う。
「嘘じゃなくて、マジで本物なのかよ……」
ビスがどこか呆けたように呟いた。
それほどまでに、信じられなかった。まさか、この変な存在が神様だなんて誰が信じる?
それでも、帰れる。地球に帰れるなら、他には何も言わない。
そう、あたしは帰れるんだ!
あ、前回節終わり告げるの忘れて申し訳なかったです。
一応、ウヌディさまの言葉は無規則的ですが、ちゃんと単語の意味を現す言葉になっています。
文頭に“ル”が付くとあなた、みたいな感じで。
たっ、たまにはちゃんと考えるんですよ、一応!




