ep.15 文化祭マジックなんて存在しない
なんだかんだいって文化祭が楽しみで若干浮かれている男。そう、俺だ。
文化祭当日。俺は石井、桜井、中村と回っていた。神楽坂は午後に予定されてるミスコンとかの準備で忙しいらしい。周りが勝手にエントリーして選出されたとなると、かなり可哀想な話だ。実行委員の仕事はニ、三年生を中心にやっているらしい。一年生の仕事は文化祭終了後の会場の原状復帰チェック、ゴミの回収などなど。かなり楽だ。新聞部の仕事であるミスコンの候補者インタビューは…まぁあれはそれとなくやるとしよう。
「おい明月洸夜!あれを見ろ!キャバクラだ!」
石井が声を張り上げて俺の肩を掴んで勢い良く揺さぶる。
「おーほんとだ。ニ年八組のクラス。やけに賑わってるぞ」
中村が指差した方向を見ると、扉や壁がピンクのリボンやカーテンなどで飾られた派手なデザインの教室がある。
店の名前は…『過激な体験♡!?The Beauties of the Jade River』
一つだけわかる、あれは絶対に普通じゃない。
「確かに…俺らの文化祭には刺激が少々足りなかったのかもしれない」
桜井はそう言うと目を細め、顎に手を当てて二年八組の教室を見つめる。
俺も過激な体験とは何かと少々気になって教室を遠目で見る。教室から派手な音楽が鳴り響くと中からは悲鳴や絶叫が幾度となく聞こえてきた。
「いや俺らの文化祭はこれからだからな?」
「そんな連載終了の時に言うセリフみたいなことを言うな明月」
珍しく石井にツッコまれて俺は肩を落とす。まさか俺がボケ側に回るとは思いもしなかった。これからは気をつけていかなければならない。
「それで、行くのか?」
俺が三人に問いかけると石井、桜井、中村は顔を見合わせてにやりと笑う。正直に言っちゃうとこいつらのこういう所気持ち悪い。
「もちろん行くぞ、もしかしたら彼女作れるかもしれないし」
「石井そればっかだな」
「そんなに彼女欲しいならまず潔癖症を直せ」
「ついでに意味わかんない宗教やめろ」
石井はふっと笑い黙り込んで廊下を歩くのであった。俺たち三人はそんな石井の様子を見ていると、歩みを止めてこちらを振り向く石井。眉を上げて歯が見える満面の笑みで見つめてくる。
「俺はいついかなる時どんな状況でも、彼女を作るチャンスを伺う。今日は文化祭マジックってやつを信じるだけさ」
そう言うと『過激な体験♡!?The Beauties of the
Jade River』に向かって歩き出すのだった。
恋愛というものは最終的に傷つく道がほとんど。彼女ができてもその先がバッドエンドなら、俺は男友達とバカをやる方がよっぽど好きだ。
「なぁ、石井。なんで彼女欲しいの?」
「え?やるために」
こいつの彼女欲しい理由性行為だったんかい。よく恥ずかしげもなく言えたなと思いなら俺は感嘆とした声を出す。
「へー、やるために」
「さ、早く入ろうぜ」
俺たちは石井に言われるがまま『過激な体験♡!?The Beauties of the Jade River』に入室した。
教室の中は天井にミラーボール、時々爆音で流れてくるヒップホップ。そしてポップなモチーフのネオン管。いかにもパリピが好きそうな場所である。
俺、場違い感やばくないか。
「なぁ、帰らない?」
「ここまで来て何言ってんだ。ほら、行くぞ」
石井に背中を押され、俺の退路は断たれた。桜井も中村も目が本気だ。健全な男子高校生の下心は、時に判断力を殺すらしい。
「いらっしゃいませぇー!」
……ん?
今、明らかに声が低かった。ドスの利いた、腹の底に響くバリトン。
恐る恐る振り向いた俺の思考は、そこで完全に停止した。
立っていたのは、身長百九十センチはあろうかという巨漢だった。ピンクのミニドレスは肩幅に耐えきれず、背中の縫い目がミチミチと悲鳴を上げている。金髪縦ロールのウィッグの下には大木のような首と隆起した僧帽筋。頬には塗りすぎのチーク、瞬きのたびにつけまつげが風を起こす。そして両耳は、餃子のようにぐしゃりと潰れていた。
レスリング部の証、カリフラワー耳だ。
「おうおう、可愛い男の子が四人も!ようこそ、アタシたち『ザ・ビューティーズ』の楽園へ!」
ウインクされた。目にゴミが入ったのかと思うほど豪快なやつを。
「あ、あの……女子は……」
震える声で石井が尋ねる。
「何言ってやがる、ここにいっぱいいるじゃなぁい!」
巨漢が両腕を広げると、教室の奥から同じ規格の"美女"たちがぞろぞろと現れた。ミニスカのナース、チャイナドレス、メイド、バニー。全員が筋骨隆々で、全員が満面の笑みで、全員が化粧崩れ寸前だ。
『The Beauties of the Jade River』。翡翠川の美女じゃなくて猛者じゃねぇか。詐欺だ。
「レスリング部だな。あの金髪、去年の県大会で三位に入った主将だ」
桜井が冷静に解説する。今それいらない。
「帰る」
俺は回れ右をした。だが扉の前には、いつの間にかバニーガール姿の壁が立ちはだかっていた。
「待て待て、ウチは一度入ったら最低三十分は楽しんでもらうルールなんだ!」
終わった。
俺は母さん公認の特技である気配遮断を発動し、壁際に溶け込もうとした。
「隠れても無駄だ。アタシ、筋肉の気配には敏感なの♡」
筋肉関係ねぇだろ。
結局、俺たちは奥のソファ席に連行された。狭い。とにかく狭い。そこへ石井が真っ先にポケットからアルコールシートを取り出し、座面を拭き始める。この状況でも潔癖症を貫く姿勢だけは尊敬に値する。
「どうもミサキです!指名あざっす!」
まだ指名してない。
ミサキと名乗ったナース姿の体重九十キロ超が、ドスンと石井の隣に腰を下ろした。ソファが沈み、石井の体が斜めに傾く。
「お!イケメン!お前サッカー部のエースの石井だろ? 汗だくハグ、してあげる」
「あ、汗……? ハグ……?」
石井の顔から血の気が引いていく。
「ま、待ってくれ、俺は潔癖症で、その、気持ちは嬉しいが、汗という名の細菌の塊は、あの、あああ」
言い終わる前に、ミサキの丸太のような両腕が石井を包み込んだ。
「細菌がぁぁぁぁぁ!!」
絶叫。石井の悲鳴が教室に響き渡る。廊下で聞こえていた絶叫の正体は、これだったのか。
隣では中村が、チャイナドレスの"ルナ"に頭を撫でられていた。
「これは、涼しげな頭皮だ触らせてくれ」
「ぎゃあぃー!!」
奇声を上げて仰け反る中村。もはや条件反射だった。ちなみに中村は先ほど運ばれてきた"特製シャンパン(ただの炭酸ジュース・一杯千円)"を隙を見て水で薄めていたが、ルナに見つかって「お水割りにしちゃうのぉ? 通ねぇ♡」と感心されていた。やっぱりこの人頭おかしい。
桜井はメイド服の巨漢に、フォークで刺した唐揚げを差し出されていた。
「はい、あーん♡」
「…………」
「あーん♡」
桜井は数秒沈黙した後、静かに口を開けて唐揚げを受け入れ、そしてそっと目を閉じた。
「……せ、拙者、もう、お婿に行けぬでござる……」
桜井の頬を、一筋の涙が伝った。あの桜井が。
そして俺の隣には、あの金髪縦ロールの主将、マリアが座っていた。
「アタシ、あなたみたいな地味で儚げな子がタイプなんだ、気配が薄いところ、最高!」
褒められてる気がしない。
「肩、揉んであげるわねぇ♡」
マリアの手が俺の肩に乗った。次の瞬間、ミシミシミシ、と骨が悲鳴を上げた。
「いだだだだだだ!! 折れる! 折れます!」
「やだぁ、力加減間違えちゃったぁ!ごめんねぇ♡」
可愛くウインクされても、俺の肩は死んでいる。
こうして地獄の三十分が始まった。俺たち四人の悲鳴は絶妙なハーモニーを奏で、廊下の通行人をさらに増やす結果となった。呼び込みとしては大成功だ。
やがて、教室に鐘の音が響いた。
「お時間でぇす♡ ご来店ありがとうございましたぁ♡」
助かった。俺は魂の抜けた石井を桜井と担ぎ、中村を引きずって出口へ向かう。
「またのご来店、待ってるわよぉ♡ 次は指名してねぇ♡」
最後は可愛くしたつもりだろうが二度と来るか。
別れ際にマリアから名刺を渡された。『マリア』という文字の横に、なぜか巨大な手形がべったりと押されている。俺は名刺をそっと廊下のゴミ箱に捨てた。
廊下のベンチに崩れ落ちた四人の男。石井は全身を除菌シートで拭きまくりながら、虚ろな目で天井を見上げていた。
「……文化祭マジックなんて、存在しない……」
「お前が言い出したんだろ」
「俺の彼女作りの夢は、筋肉に……筋肉に……」
中村は自分の頭をさすりながら「まだ感触が……」と震えている。桜井は無言で窓の外を見つめていた。
「……忘れよう。全員、今日のことは墓まで持っていく」
「同感だ」
俺たちは固く誓い合った。男の友情というのは、こういう時に一番深まるのかもしれない。
――そんな地獄から数時間後。午後の体育館は、ミスコンの開演を待つ生徒や来場者でぎっしり埋まっていた。
俺は首から一眼レフを下げ、最前列の取材席に座る。隣にはノートを構えた有栖、その向こうでは御手洗先輩が「スクープの匂いがするわ!」と鼻をひくつかせていた。
だが、その前にやることがある。
「明月くん、神楽坂さんの一言コメント、開演前に絶対もらってくるのよ!」
御手洗先輩に背中を押されて、俺は舞台裏の控えスペースへ回った。
カーテンの陰にいた澪は、淡い水色のドレスに身を包み、パイプ椅子に背筋を伸ばして座っていた。いつもの髪はふわりと巻かれ、薄化粧もしている。それだけで、見慣れたはずの澪が別人のように見えた。
俺は無意識に息をのんだ。
「……何よ、その顔」
「いや、その……似合ってる」
「そ、そう。ありがとう」
澪は視線を逸らして、膝の上の小さなポーチを握りしめた。ポーチの口から、見覚えのある白いうさぎの耳が覗いている。
「それ、この前ゲーセンで取ったやつ」
「お、お守りよ。ラムネの代わり」
テスト前のお守り軍団の一員になったらしい。
「辞退届は?」
俺が聞くと、澪はポーチの奥から、くしゃくしゃに折れ曲がった一枚の紙を少しだけ出して見せた。
「結局、出せなかったの。……ううん、違うわね。出さないって、決めたの」
「そうか」
「文化祭、楽しむって言ったでしょう。逃げたら、なんだか負けた気がして」
その声には、迷いよりも覚悟の色が濃かった。
「で、新聞部としてのコメントは?」
「……楽しみます、って書いておいて」
「了解」
俺がノートに書き込むと、澪は不安そうに指先を弄び始めた。
「……ねぇ、明月くん。私、変じゃない?」
「変じゃない。いつも通りやれば大丈夫だろ」
澪はきょとんとしたあと、ふっと吹き出した。
「それ、球技大会の時も言ってたわね。口パクで」
「……見てたのか」
「見えてたわよ、ちゃんと」
澪はうさぎの耳をそっと撫で、小さく笑った。
「取材席にいるんでしょう?」
「最前列」
「なら、恥はかけないわね」
肩の力の抜けた澪に見送られ、俺は客席へ戻った。
開演の合図と共に、体育館が暗転する。スポットライトの下、司会の放送部員が高らかに宣言した。
「第45回、ミス翡翠川コンテスト、開幕でーす!」
歓声が爆発した。客席の後方では、水色のサイリウムを振り回す集団が「神楽坂! 神楽坂!」と地響きのようなコールを送っている。石井を筆頭とした神楽坂信仰教だ。昼間の魂の抜け殻はどこへ行った。柊浄慈まで最前列で祈りを捧げている。この学校ほんとにやばい。
候補者は全部で八人。三年の生徒会副会長、華道部の部長、なぜか落語を披露した二年生。それぞれの自己アピールが続く中、澪の順番がやってきた。
ステージ中央に立った澪は、堂々とした所作で一礼する。凛とした立ち姿に、体育館全体が息をのんだ。学年首席の完璧な令嬢が、そこにいた。
「一年二組、神楽坂澪です。本日はよろしくお願いいたします」
特技のピアノ演奏は、聴衆を黙らせるほど完璧だった。俺はシャッターを切りながら、この完璧さの下にどれだけの努力があるのかを知っている自分が少しだけ誇らしくなった。
そして質問コーナー。
「神楽坂さん! 好きな食べ物は何ですか?」
司会のこの質問に、澪の動きが一瞬止まった。額に薄く汗が浮かんでいる。
コンソメパンチと答えるべきか、否か。彼女の目が、迷うようにさまよう。やがてその視線が、最前列の俺を捉えた。
俺は小さく首を横に振った。それは二人だけの秘密だ。
澪はかすかに口角を上げ、マイクに向き直る。
「……ハチミツレモン、です」
一拍置いて、体育館が揺れた。
「ハチミツレモン!!」
「新聞で読んだやつだ!!」
「玉子焼き!! 玉子焼き!!」
誰かが叫んだのをきっかけに、体育館中に「玉子焼き」コールが巻き起こった。
そういえば、あの号外を書いたのは俺だった。懐かしいな。
澪の顔が、耳まで真っ赤に染まっていく。俺を見る目は、完全に殺意を帯びていた。
そして司会が追い打ちをかける。
「神楽坂さん、玉子焼きは上手に焼けるようになりましたか?」
「た、玉子焼きくらいなら、作れます……!」
絞り出すような声に、体育館は爆発的な歓声に包まれた。石井は感極まって泣いている。もう俺の知っている高校の文化祭じゃない。
隣で有栖が肩を震わせて笑っていた。
「洸夜、あとで絶対怒られるね」
「知ってる」
結果発表。グランプリは三年の生徒会副会長だった。そして準グランプリ、第二位。
「一年二組、神楽坂澪さん!」
二位、か。
あの日、成績表を見つめて震えていた澪の姿が脳裏をよぎる。だが、今ステージ上でたすきを掛けられた澪は、あの時とはまるで違っていた。悔しそうな顔ではなく、肩の力が抜けた、心から楽しそうな顔で笑っている。
俺は何も考えずに、その一瞬を切り取った。
ミスコンが終わったあと、俺と有栖は撮影データを持ってパソコン室へ向かっていた。
「はー、疲れた。でもいい絵撮れたじゃん」
「まぁな」
人気の少ない階段の踊り場で、有栖がふと足を止めた。
「洸夜さ、明日どうすんの?」
「明日? 明日はクラスのシフトと、一年の後片付けの分担確認と」
「そういうことじゃなくて」
有栖は呆れたように腕を組んだ。
「澪ちゃん、今日ので一気に有名人になったよ。明日は絶対、声かけまくられる。ファンクラブ以外にも、他クラスの男子とか先輩とか」
「そりゃそうだろうな」
「そんな中で、洸夜はぼーっと突っ立ってるつもり?」
痛いところを突かれて、俺は言葉に詰まった。
「明日、二人で回りなよ。洸夜から誘って」
「はぁ? なんで俺が」
「あんた以外に誰がいるの。夏休みに私が教えたでしょ、素直になれって」
有栖の声は、いつもの茶化す調子より少しだけ真剣だった。
「あと、『取材だから』とか『実行委員として』とか、言い訳つけたらぶん殴るからね」
「……なんでバレてるんだ」
「幼馴染だから」
有栖は笑った。階段の窓から差し込む夕日が、その笑顔を橙色に染めている。その表情の奥にあるものを、俺はまだ読み取れないままだった。
「お前は? 明日、どうすんだよ」
「私? 先輩に引っ張り回されるでしょ、多分」
有栖は俺の手から一眼レフをひょいと奪った。
「これは私が持ってってあげる。今ならまだ教室にいるよ。いってらっしゃい」
「お、おい」
「ほら、行った行った」
背中をぱしんと叩かれ、俺は階段を降りるしかなかった。
教室に戻ると、お化け屋敷モードに切り替わった内装の前で、たすきを掛けたままの澪がクラスメイトに囲まれていた。
「神楽坂さん、おめでとー!」
「玉子焼き最高だった!」
「もう、やめてってば……!」
澪は顔を真っ赤にしながらも、どこか嬉しそうだ。
シフト表の管理者である本人のシフトを、俺は完全に把握している。明日の午前で終わり。午後は空きだ。情報が筒抜けというか、俺が作った表なんだから当然だった。
クラスメイトの輪が解けた頃合いを見計らって、俺は廊下の窓際から澪を呼んだ。
「神楽坂、ちょっといいか」
「……何? 文句なら後で聞くわよ」
「文句はこっちのセリフだ。ほら」
俺は自販機で買っておいた缶を差し出した。
「二位のご褒美」
澪は缶に書かれた『ハチミツレモン』の文字を見て、じとっと俺を睨んだ。
「……また、これ?」
「他に何がいいんだ」
「……これで許してあげる」
澪は缶を両手で包み込むように受け取る。その頬は夕日のせいか、それとも別の理由か、ほんのり赤かった。
今だ。有栖の言葉が頭をよぎる。
中学のあの日から、俺は人と深く関わることを避けてきた。信じて、裏切られるくらいなら、最初から近づかなければいい。そう決めたはずなのに。
「あのさ」
「何?」
「明日、午後は空いてるよな」
「……ええ、あなたが作ったシフト表通りならね」
「一緒に、回らないか。その……二人で」
言った。言ってしまった。心臓がうるさすぎて、自分の声が遠く聞こえる。
澪は目を丸くして、缶を持ったまま固まっていた。数秒の沈黙が、永遠のように長い。
「……それは、取材?」
「違う。俺が、お前と回りたいから誘ってる」
自分でも驚くほど、まっすぐな言葉が出た。
澪は俯いて、缶をぎゅっと握りしめる。そして小さく、消え入りそうな声で答えた。
「……いいわよ」
「え」
「だから、いいって言ってるの。ただし、ルートは私が決めるから」
「了解」
「それと」
澪は顔を上げた。夕日を背にしたその笑顔は、球技大会の後に見せたあの笑顔と同じくらい、いやそれ以上に眩しかった。
「約束よ、明月くん」
「……おう」
自分から誰かを誘うなんて、いつ以来だろう。多分、これが初めてかもしれない。
廊下の向こうから、お化け屋敷の中で驚かされたらしい誰かの悲鳴が聞こえてくる。石井のような、中村のような。いや、あいつらは今頃、まだ魂が抜けているはずだ。
文化祭マジックなんて存在しない。石井が身をもって証明した。
だから、明日俺が澪と回るのも、魔法のせいなんかじゃない。
……多分な。




