第7話 「卒業式の気配――日常の中に混ざり始める“終わりと始まり”」
春の匂いが少しずつ濃くなっていた。
高校の廊下には、どこか落ち着かない空気が流れている。
「卒業式の準備、進めるぞー」
担任の声が響くたびに、教室のざわめきが少しだけ引き締まる。
柿沼榮助(18)は窓際の席で、その様子をぼんやり眺めていた。
(卒業、か)
実感は薄い。
だが確実に、“区切り”が近づいている。
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教室の空気は、いつもより少し騒がしい。
それは卒業式前特有の、浮ついた緊張だった。
榮助の周囲にも、いつものメンバーが集まる。
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■榮助の高校友人(組仲間)
・高橋蓮 (ムードメーカー)
・伊藤翔(ツッコミ役)
・松本悠斗(お調子者)
追加メンバー:
・大西颯太(スポーツ系・単純明快)
・木村拓也(冷静・成績上位)
・中野陸(軽いノリ・情報通)
・佐藤悠真(穏やか・聞き役)
・藤井康介(真面目・委員系)
・長谷川蓮斗(明るい・盛り上げ役)
・山田隼人(観察系・少し皮肉屋)
「なあ柿沼、卒業式のあとどうする?」
高橋が軽く聞く。
「別に」
榮助は即答する。
松本が笑う。
「またそれかよ!」
長谷川が割り込む。
「でもさ、マジで高校終わるって実感ねぇよな」
木村が静かに言う。
「実感は後から来るタイプだろ」
その言葉に、少しだけ空気が落ち着く。
榮助は窓の外を見る。
校庭の桜はまだ咲きかけ。
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一方、女子側も卒業式モードに入っていた。
教室の隅では、自然とグループができている。
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■榮助の高校友人(組仲間)
・水島結菜(明るい・情報通)
・橘美咲(現実派)
・小泉彩音(おっとり観察)
・遠藤里奈(鋭いツッコミ)
追加メンバー:
・佐伯雫(冷静で落ち着いた性格)
・藤堂奈央(社交的・ムードメーカー)
・宮本優花(真面目・委員長タイプ)
・白石芽衣(控えめ・優しい)
・西野紗良(明るい・恋バナ好き)
・片岡莉子(少し強気・しっかり者)
「ねえ柿沼ってさ」
結菜がまた始める。
「絶対彼女いるよね」
「いないって」
榮助は即答。
里奈がじっと見ている。
「……ほんとに?」
その一言が、少しだけ重い。
だが榮助は視線を外す。
「ほんとに」
それ以上は話さない。
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卒業式の準備は進む。
式次第、卒業証書の確認、座席順。
その中で榮助は、自分が“終わる側”にいることを少しだけ理解し始める。
(終わるのか)
でも、実感はまだ薄い。
⸻
放課後。
教室に残っていた高橋が言う。
「なあ、卒業したらさ」
「バラバラだな」
伊藤が先に答える。
「当たり前だろ」
松本が笑う。
「でもさ、またどっかで会うっしょ」
その軽さに救われるようで、少しだけ寂しい。
榮助は黙っていた。
⸻
帰り道。
マンションの前。
そこには菫が立っていた。
買い物袋を持っている。
「おかえりなさい」
いつもの声。
だが今日は少しだけ違う空気。
「卒業式、明日ですよね」
菫が言う。
榮助は頷く。
「はい」
その瞬間、少しだけ“時間の流れ”が現実になる。
⸻
夕食。
桜は元気に話し続ける。
「ねえねえ!おにいちゃん卒業するの?」
「するよ」
「すごーい!」
菫はそのやり取りを見ながら、少しだけ微笑む。
⸻
夜。
リビング。
菫がぽつりと言う。
「……明日、行きますね」
榮助は一瞬だけ止まる。
「卒業式?」
「はい」
その言葉に、榮助は少し考える。
そして言う。
「母親も来るので、挨拶お願いします」
その瞬間、菫の目が少しだけ動く。
「……お母様、ですか」
榮助は頷く。
「はい」
菫はゆっくり息を吐く。
「分かりました」
その一言には、少しだけ緊張が混ざっていた。
⸻
夜は静かに更けていく。
それぞれの部屋へ戻る前。
桜が眠そうに言う。
「明日……がんばってね……」
榮助は少しだけ頷く。
「……ああ」
ドアが閉まる。
その音は、いつもより少しだけ“重く”響いた。
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