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第70話「静かな夜と、変わっていく距離」


桜(さくら)は夕飯を食べ終えたあと、榮助(えいすけ)の部屋のソファでそのまま眠ってしまっていた。


小さな呼吸が規則正しく続き、手にはプリンのスプーンがまだ握られている。


⸻


榮助はそっとその様子を確認し、タオルケットをかけ直した。


「……寝ましたね」


⸻


その声に、隣にいた菫(すみれ)が小さく頷く。


「今日はよく動いたからでしょうね」


⸻


部屋には夕飯の余韻が残っている。


・鶏の豆腐つくね(やさしい味付け)

・ほうれん草のおひたし

・じゃがいもと玉ねぎの味噌汁

・甘めの卵焼き(桜用)

・白米少なめ

・果物(みかん)


⸻


どれも派手ではないが、静かに温かい食卓だった。


⸻


榮助は食器を片付けながら言う。


「菫さん。今日は一緒にお風呂、入りますか?」


⸻


菫は少しだけ驚いたように目を瞬かせる。


「……桜は?」


「寝ています」


⸻


短い沈黙のあと、菫は小さく頷いた。


「……分かりました」


⸻


⸻


風呂場。


湯気がゆっくりと満ちていく。


仕事の緊張も、日中の疲れも、少しずつ溶けていく空間だった。


⸻


榮助は静かに言う。


「お腹の調子、大丈夫ですか」


⸻


菫は湯に肩まで浸かりながら答える。


「今のところは落ち着いてます」


「でも、少し疲れやすくなってきました」


⸻


榮助は頷く。


「無理はしないでください」


⸻


その言葉は、いつもより少しだけ柔らかかった。


⸻


菫は小さく息を吐く。


「……榮助さんは、本当に全部やろうとしますね」


⸻


「できることは、やりたいだけです」


⸻


少しずつ榮助は菫のお腹を確認しながら…


不意に菫さんの胸(むね)と乳首を手で触って揉んでしまったのだ。


⸻


顔を真っ赤になった菫は風呂を出たあと…

榮助は菫にバスタオルを渡しながら、落ち着いた声で言った。


「夕飯、まだ少し残っています」


「温め直してありますから、少し食べていきませんか」


⸻


・豆腐つくねの残り

・味噌汁(温め直し)

・卵焼き

・ご飯少量

・みかん


⸻


菫は少し笑う。


「ほんとに生活が安定してますね」


「あと… さっきの風呂場での私の胸に触る事は…… 」


⸻


「習慣です」


「すいません… 触りたかったです…… 」


「っん… もう榮助さんったら 他の人の前では辞めて下さいね。」


「分かりました。」


⸻


二人は桜の寝ている部屋の隣で、静かに食事をとった。


大きな会話はない。


だが、沈黙は不思議と心地よかった。


⸻


⸻


食事が終わる頃、菫は一度自宅へ戻る準備をする。


パジャマに着替え、荷物を整えながら言う。


「すぐ戻りますね」


⸻


「はい」


⸻


⸻


約10分後。


菫は再び榮助の部屋に戻ってきた。


桜はすでにぐっすり眠っている。


部屋の明かりは落とされ、静かな夜が広がっていた。


⸻


榮助は布団を整えながら言う。


「今日はここで寝ましょう。桜もいますし」


⸻


菫は小さく頷く。


「……そうですね」


⸻


⸻


寝室。


電気が消え、わずかな月明かりだけが差し込む。


⸻


榮助と菫は並んで横になる。


言葉はほとんどない。


⸻


ただ、隣にいるという事実だけが静かに存在していた。


⸻


やがて菫が小さく呟く。


「……おやすみなさい」


榮助も短く返す。


「おやすみなさい」


⸻


そして2人は濃厚な唇にキスをした。


菫も…


「………っん…… 榮助さん…… お休みなさい 」


「菫さん…… っん… お休み… 」


⸻


その夜、


三人の呼吸はゆっくりと重なりながら、


静かに眠りへと落ちていった。



最後まで読んでくださり、ありがとうございます!

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