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第68話 「創設者の記憶――龍雷神とGRT48の原点」


龍雷神・社長室。


重厚な扉が静かに閉まると、外の喧騒とは完全に切り離された空間になる。


⸻


そこには社長・黄金(おうごん)と、社長夫人・山本彩香(やまもと あやか)、そして取締役・柿沼健二郎(かきぬま けんじろう)がいた。


⸻


空気は落ち着いているが、話題は少しだけ“過去”に触れていた。


⸻


健二郎が資料を机に置きながら、ふと口を開く。


「社長……少し気になっていたんですが」


⸻


黄金が視線だけを向ける。


「なんだ」


⸻


健二郎は少し言葉を選びながら続ける。


「GRT48グループの創設者って……」


「社長の中学時代の、2個下の後輩でしたよね?」


⸻


一瞬、室内の空気が変わる。


⸻


彩香が小さく目を細める。


「その話、今ここで出るのね」


⸻


黄金は少しだけ間を置いてから答えた。


「……ああ」


「安本康晴(やすもと やすはる)だ」


⸻


⸻


■安本康晴(やすもと やすはる)


・GRT48創始者

・PD(プロデューサー)兼(けん)脚本家(きゃくほんか)兼(けん)写真家(カメラマン)

・龍雷神とは“別軸の芸能設計者”


・黄金の中学時代の2年後輩

・元生徒会書記(当時:文字・記録担当)

・字が非常に綺麗で、まとめ役として評価されていた


・既婚(新事実)

・妻:24歳の一般女性

・出会い:家族の紹介(妹・麻由子の仕事先の後輩)


⸻


健二郎は納得したように頷く。


「やっぱりそうでしたか……」


⸻


黄金は軽く椅子に背を預ける。


「生徒会の頃から変わらん」


「全部まとめるやつだった」


⸻


彩香が少し微笑む。


「GRT48の“形”を作った人ってことね」


⸻


健二郎は静かに続ける。


「今の秋晶さんや穂波さんも、その流れの中にいるわけですね」


⸻


黄金は短く頷く。


「そういうことになるな」


⸻


⸻


その名前が出た瞬間、社長室の空気はわずかに変わる。


“芸能”という言葉が、ただのビジネスではなくなる瞬間だった。


⸻


彩香が静かに言う。


「康晴さんは今も裏で動いてるの?」


⸻


黄金は少しだけ視線を落とす。


「表には出てこない」


「だが完全には消えていない」


⸻


健二郎はその言葉に反応する。


「つまり……今のGRT48にも影響が残っている?」


⸻


黄金は否定しない。


「“設計図”は残るからな」


⸻


短い沈黙。


⸻


その言葉の重さだけが、部屋に残った。


⸻


⸻


健二郎はふと話題を戻すように言う。


「ところで、秋晶さんと穂波さんの件ですが」


⸻


黄金が視線を上げる。


⸻


健二郎は続ける。


「現場で見た限り、かなり特殊な関係ですね」


「双子でありながら、芸能と一般業務に分かれている」


⸻


彩香が静かに頷く。


「バランスは取れてるわね」


⸻


黄金は一言だけ言う。


「崩れなければ、問題ない」


⸻


その言葉には、絶対的な判断があった。


⸻


⸻


同じ頃――


秘書課では、まだその余波が残っていた。


穂波、秋晶、怜奈。


それぞれが別の視点で同じ会社に存在している。


⸻


そして榮助は、資料を整理しながら小さく考える。


(この会社の“過去”って……まだ全部は見えてない)


⸻


だがそれでも、日常は続く。


仕事は止まらない。


家族も、関係も、動き続ける。


⸻


⸻


社長室では、会話が静かに締めくくられる。


⸻


健二郎が立ち上がる。


「では、失礼します」


⸻


彩香も軽く会釈する。


「お疲れ様です」


⸻


黄金は短く言う。


「無理はするな」


⸻


健二郎は軽く笑う。


「それは社長もですよ」


⸻


そして扉が閉まる。


⸻


⸻


残された社長室に、彩香が小さく言う。


「ねぇ」


⸻


黄金は振り返らない。


「なんだ」


⸻


彩香は穏やかに続ける。


「この会社、本当に面白くなってきたわね」


⸻


黄金は短く答える。


「まだ序章だ」


⸻


⸻


その一言だけが、静かに部屋に響いた。 



最後まで読んでくださり、ありがとうございます!

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