↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
65/95

第64話 「次の約束――仕事と家族、その先へ」


鎌倉からの帰り道。


⸻


夕暮れの光が、車内を静かに染めていた。


⸻


桜は後部座席でぐっすり眠っている。


⸻


前方――

ハンドルを握るのは菫。


助手席には榮助。


⸻


後ろの車には、柿沼家と柊木家の大人たち。


⸻


その中で――


少し離れた場所。


サービスエリアの一角。


⸻


健二郎と斗真は並んで立っていた。


⸻


自動販売機の横。


人の流れから少し外れた場所。


⸻


健二郎が缶コーヒーを開ける。


「……一息つくか」


⸻


斗真も同じように缶を開ける。


「そうですね」


⸻


しばらく無言。


⸻


遠くで子どもの声。


車のエンジン音。


⸻


その中で――


健二郎が口を開いた。


⸻


「今回の旅行……悪くなかったな」


⸻


斗真は素直に頷く。


「ええ。正直、ここまで自然にいくとは思っていませんでした」


⸻


健二郎は小さく笑う。


「最初はどうなるかと思ったがな」


⸻


「はい……立場もありますし」


⸻


斗真の言葉に、健二郎は軽く首を振る。


⸻


「だが、もう関係ない」


⸻


⸻


一瞬の沈黙。


⸻


健二郎は続ける。


⸻


「……家族だからな」


⸻


⸻


その一言は、静かだが重かった。


⸻


斗真はゆっくりと頷く。


「……はい」


⸻


⸻


そして健二郎は、少し視線を遠くに向ける。


⸻


「……次の話だ」


⸻


斗真が反応する。


「次、ですか?」


⸻


「今回みたいに、またどこか行こうと思ってな」


⸻


⸻


斗真は少し考える。


「どちらへ?」


⸻


健二郎は短く答える。


⸻


「富山と石川だ」


⸻


⸻


その地名に、斗真は少し驚く。


「北陸ですか」


⸻


「ああ。連休を使ってな」


⸻


⸻


健二郎は続ける。


⸻


「今回みたいに、仕事を一度切って……」


「しっかり休んでから、また集中する」


⸻


「そういう区切りは必要だ」


⸻


⸻


斗真は静かに聞く。


⸻


健二郎の言葉には、


ただの提案ではなく――


“生き方”が含まれていた。


⸻


⸻


斗真が口を開く。


「……分かりました」


⸻


そして続ける。


⸻


「確か、お盆の時期でしたよね?」


⸻


⸻


健二郎は頷く。


「ああ、そのあたりだ」


⸻


「予定は調整できます」


⸻


「なら決まりだな」


⸻


⸻


短い会話。


だが、それで十分だった。


⸻


⸻


少しして――


美枝子と鳴海がこちらに歩いてくる。


⸻


「二人とも何話してるの?」


⸻


健二郎が答える。


「次の旅行の話だ」


⸻


鳴海が目を細める。


「まあ、もう次?」


⸻


美枝子が笑う。


「いいじゃない。楽しいことは多い方が」


⸻


⸻


その会話を少し離れた場所から見ていた菫。


⸻


榮助が隣に立つ。


⸻


「……何か話してますね」


⸻


「次の旅行みたいです」


⸻


⸻


菫は少し驚く。


「もう次ですか」


⸻


榮助は自然に言う。


⸻


「いいと思います」


⸻


⸻


その言葉に、菫は少しだけ笑う。


⸻


「……そうですね」


⸻


⸻


視線の先には――


両家の大人たちが並んでいる。


⸻


その距離は、


もう“他人”のものではなかった。


⸻


⸻


そして――


車へ戻る時間。


⸻


桜はまだ眠っている。


⸻


榮助はそっと抱き上げる。


⸻


「起きないな」


⸻


「いっぱい遊びましたから」


⸻


⸻


菫はその様子を見て、


静かに思う。


⸻


(……この時間、続いていくんだ)


⸻


⸻


鎌倉の旅は終わる。


⸻


だが――


次の約束は、もう決まっている。


⸻


⸻


それはただの旅行ではない。


⸻


“家族が続いていく証”だった。


⸻    


最後まで読んでくださり、ありがとうございます!

もしこの物語に少しでも「面白い!」と感じていただけたなら——


ブックマーク & 評価★5 をぜひお願いします!


その一つひとつが、次の章を書き進める力になります。

読者の皆さまの応援が、物語の未来を動かします。


「続きが気になる!」と思った方は、ぜひ、見逃さないようブックマークを!

皆さまの応援がある限り、次の物語はまだまだ紡がれていきます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。