第18話 「巨大企業の裏側――動き出す“選ばれる世界”」
昼食後。
《株式会社・龍雷神》本社――上層会議室。
空気は、朝よりもさらに張り詰めていた。
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長机には引き続き、会社の中枢が揃っている。
社長・黄金。
副社長・仙川喜之助。
常務・箕輪卓造。
専務・古澤俊蔵。
そして取締役兼執行役員・柿沼健二郎。
その横で、美枝子と智恵子も席に着いている。
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さらにその隣には、秘書課の二人。
・吉田稔(38)
中途採用/理系出身/元食品会社勤務
妻35歳、子供2人(娘・息子)
・堀遥(30)
入社2年目/文系出身/秘書検定取得
現在、彼氏募集中
「次の資料、お願いします」
吉田が静かにスクリーンを操作する。
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会議はすでに“現場の話”ではなかった。
会社の未来そのもの。
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スクリーンに映し出されるのは——
■新規プロジェクト案
・アイドルユニット新設
・男性ダンスグループ立ち上げ
・次世代女優プロジェクト
・新人アナウンサー育成枠拡大
・スポーツ選手スカウト戦略
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さらに画面が切り替わる。
一人一人のプロフィール。
写真、成績、過去実績、将来性。
すべてが“数値化された人間”として表示される。
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「この選手はどう見る?」
黄金の声。
健二郎が即答する。
「伸び代はあるが、現時点ではB評価」
「ただし、海外経験が積めればAまで上がる可能性あり」
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次の資料。
「この候補は?」
智恵子が補足する。
「コミュニケーション能力が高く、チーム適性ありです」
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そのやり取りは淡々としている。
だがその一言で、誰かの人生が決まる。
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■龍雷神の主な事業部構成(全体)
この会社は、単なる企業ではない。
複合巨大組織だった。
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①営業部
・営業課
・営業サポート課(榮助所属)
②総務部
③人事部
④経理部
⑤広報部
⑥企画開発部
⑦海外事業部
⑧IT・システム部
⑨研究開発部
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⑩芸能音楽部
・アイドル部門
・アーティスト部門
・作曲制作部門
⑪芸能俳優・女優部
・俳優育成
・ドラマ制作連携
⑫アナウンサー部
・報道
・バラエティ
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⑬スポーツ事業部
・サッカー部
・バスケットボール部
・野球部
・陸上部
・水泳部
・テニス部
⑭モータースポーツ部(車部)
⑮eスポーツ部
⑯教育研修部
⑰法務部
⑱品質管理部
⑲商品開発部
⑳物流管理部
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さらに細分化すれば、約40以上の部署が存在していた。
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スクリーンには次々と候補者が映る。
若い俳優の卵。
地方の高校生アスリート。
無名のシンガー。
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「このグループ、いけると思うか?」
黄金が問う。
副社長・仙川が答える。
「マーケティング次第で十分可能性はあります」
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その瞬間。
一つのアイドルグループが“誕生する可能性”を得る。
まだ存在しない未来が、ここで決まる。
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同じ時間。
榮助は下のフロアで資料整理をしている。
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その手の中の書類もまた、
この上層の決定に繋がっているとは知らずに。
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会議室。
吉田が次の資料を出す。
堀遥がスケジュールを確認する。
美枝子が調整を入れ、
智恵子が全体の流れをまとめる。
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健二郎が一言。
「次のフェーズへ進める」
その言葉で、プロジェクトが動き出す。
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誰かが選ばれ、
誰かが落ちる。
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そしてそのすべてが、
“会社”という名の一つの意志で進んでいく。
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その巨大な流れの中で——
榮助はまだ、小さな歯車の一つに過ぎなかった。
だが確実に、その中心へと近づいていた。
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