表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
116/192

みんなで料理

「そろそろ夜ご飯作らなきゃな」


 リビングでくつろいでいると、ケイトが耳を立てて呟いた。そうか、もうそんな時間か。


「そうだ、またみんなで料理をしないか?」

「お、いい考えだぞ。なら、みんなで作れる料理にしなきゃだな!」


 さっそくみんなでキッチンに並ぶ……とさすがに手狭だな。ま、そもそも一人用だし当然か。俺とケイトだけがキッチンに立つ。手も洗って準備万端だ。

 ケイトはパンを水につけてから、二種類の肉をまな板の上に置いた。


「よし、まずは挽肉を作るぞ!」

「おー。ここにある肉を全部細かくすればいいんだな?」


 ケイトと一緒に、ひたすら肉を細かく刻んでいく。五人分だから中々の量だ。手が疲れてきそうだな……。


「肉は合挽だ。牛とボアを七対三で混ぜるぞ」

「ふむふむ」


 刻み終わったら同じ器に挽肉を入れる。

 次はにんにくとパプリカ、タマネギだな。


「これも細かくするのか?」

「そうだぞ。しっかり刻んでくれ」


 野菜達も細かく刻んだら、肉と同じ器に入れた。リーファが興味津々に見ている。

 ケイトが水につけていたパンも器に入れたら卵を割り入れて、スパイスを振りかけた。


「これをよ〜く混ぜ合わせるんだ」

「おう」


 しっかり混ぜ込んでいくと、だんだんと粘りが出てくる。これくらいでいいかな?


「次は?」

「タネを作るぞ! みんな、手を洗ってくれ」


 混ぜ合わせた肉と大皿をリビングに持っていく。手を洗い終わったみんなが戻ってきた。


「ちょっと平べったい丸にするんだ。こんな感じだな」


 ケイトがお手本を見せてくれる。その通りに手のひらに肉を乗せて、丸く整えていく。


「レイスは焼く時に手伝ってくれ!」

「ああ」

「うーん、うまくいかないなあ。でも楽しいね!」


 大皿に並べられたリーファの肉だねは少し歪だ。俺とオリヴィエが作ったものはまあまあ綺麗で、ケイトが作ったものは一番整っている。あと……明らかにサイズが小さい。うわー、かわいいな。そうだよな、手ちっちゃいもんな。

 肉だねを作り終えたら、今度は焼くらしい。これはケイトとレイスがやってくれるみたいだ。


「肉だねに小麦粉をつけて、油をひいたフライパンで焼くぞ。そしたらひっくり返すんだ」

「こうか」

「その調子だぞ!」


 ジュウジュウと肉が焼ける良い音が聞こえてくる。美味しそうな匂いも漂ってきた。お腹がくぅと鳴く。

 リーファはそわそわしていて待ちきれない様子だ。


「すっごく美味しそうなにおい! はやく食べたいなあ」

「そうだな。きっとすごく美味しいだろうよ」


 暫し待つと焼かれた肉と野菜、パンが乗せられた皿が運ばれてきた。ホカホカと湯気を立てている。


「おまたせ。できたぞ! 帝国料理、フリカデレだ」

「わ〜っ、美味しそう!!」


 リーファが目を輝かせる。

 全部の皿を運び終えて、みんなが席につく。さっそく切り分けて一口。

 スパイシーな肉は柔らかく、噛む度にじゅわっと肉汁が広がった。


「ん〜っ、おいひい……!」

「うまいな。スパイスが効いてる」

「お肉がやわらかくて、口の中で溶けていくようです……!」


 みんな美味しそうに食べている。黙々と食べ進めているレイスもわずかに微笑んでいた。

 にしても……やっぱりケイトが作った分はちっちゃいな。ふふっと笑って、一口サイズのそれを頬張った。




「あ〜、美味しかったあ!」

「また食べたいな、これ」

「トマトソースをつけても美味しいらしいぞ。次作る時はソースもかけよう」

「いいですね」


 綺麗に平らげた皿を片付ける。今日はオリヴィエが洗ってくれるらしい。キッチンから洗い物をする音が聞こえてくる。


「明日の朝は何にしようかな」


 ケイトはレシピ本を開いて明日の朝食を吟味している。どんな料理が出てくるのか楽しみだな。

 さて晩ご飯も食べたことだし、もうやることもないな。ゆっくり休むか。食後のお茶を飲みながらくつろぐ。

 この部屋は暖かいし、寝袋で寝ようかなあ。


「ねえねえレイスさん、明日魔法を教えてほしいの。杖がなくても魔法が使えるようになりたいんだ〜!」

「……いいだろう。お前なら杖がなくとも魔力の心配はないだろうからな」

「やったあ!」


 リーファとレイスは魔法の練習をするのか。じゃあ俺はどうしようかな……特にやることもないんだよなあ。たまにはゴロゴロだらけるのもいいか。

 窓の外はすっかり暗い。ゆっくりと夜が更けていく。


「そろそろ寝るかあ」

「そうだね、お腹いっぱいになったら眠たくなってきちゃった」


 ふああとあくびをしたリーファが寝袋を敷く。ケイトも眠たそうで、レシピ本を開いたままうつらうつらと舟を漕いでいた。


「ケイト、寝るならちゃんと寝袋で寝な」

「んんう……まだ焼けてないぞ……」

「もう夢の中だな。仕方ない」


 ケイトを抱き上げて寝袋の上に寝かせる。このままじゃ寒いかもしれないから毛皮を被せておこう。レシピ本は横に置いておいた。ケイトはもにゅもにゅと口を動かしている。どんな夢を見ているんだろうな。やっぱり料理の夢かな。


「ふふ、ケイトちゃんかわい〜」


 リーファは眠気からかぽわぽわした喋り方になっている。ケイトのほっぺを指先で軽くついた彼女は、もぞもぞと寝袋に入っていった。


「あら、皆さんおやすみですか? ではわたくしも休むとしましょう。おやすみなさい」

「おー、おやすみ」


 皿を洗い終えたオリヴィエも戻ってきた。寝袋に収まった彼女は目を閉じる。

 それじゃ俺も寝ようかな。


「おやすみ、レイス」

「ああ。おやすみ」


 寝袋に入ると明かりが消された。彼は自室で眠るのだろう。

 暖炉の中でパチパチと踊る炎の音が心地良い。暖かさと相まってだんだん眠たくなってきた。目を閉じれば自然と意識が落ちていく。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ