表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
世界戦史の中で~研究所長の狂人マスラさん!~  作者: ルミネ
第6章 マスラさん、戦いの為に動き出す
38/40

第6章4話 守



「いやぁ~。マスラ所長!本当に貴方はわが国の救世主です!」


 宇宙連邦軍第9艦隊をヤマタイ共和国から退けて2日後。

 マスラは国防省庁の副大臣室に招かれそこでモチダ大佐から賛美を受けていた。


「いえいえ。偶然ですよ。偶然」

 と、マスラは満更でもない表情を"作って"受け答えをした。


「しかし、敵のシールドを破る武器を開発していたとは…。一体どうしてそんなことが可能だったんです?」

 そう聞いてきたのは国防副大臣の『フクダ』という人物だった。


「ははっ、簡単な事ですよ。偶然私たちの研究所でシールドを作り出す装置を研究中だったんです。それに対しての対抗装置としてああいった弾丸を作っていただけなんです。いやぁ~助かりました。敵も私が研究していたシールドと同じ原理のものを使っていたとは…」

 嘘だらけである。

 元々宇宙連邦軍のシールドの原理を理解しており、更にそのシールドを破る効果のあるものを弾丸やミサイルに装着させたのだ。元から知っているのであれば一から見て開発するよりも楽なものである。


 勿論そんなオーバーテクノロジーをむやみやたらとこの惑星の住民に私ヴァルカ軍の手に渡ってしまうようなミスはしていない。

 マスラがこの惑星を管理していた"頭脳コンピュータ"を乗っ取りヴァルカ軍へ通信できないよう妨害しているのだ。

 惑星外に出ようとすればそれはそれで惑星外に待機している第9艦隊に蜂の巣にされる。


 この惑星の国々の上層部でヴァルカ軍と繋がりを持つ者は現在顔を真っ青にしている頃だろう。


「それはそれは…。そんなものまで開発していたんですか…。と、言う事はシールド装置の方も開発できたのですか?是非それも導入したいですなぁ」

 と、フクダのギラリと光った瞳がマスラの方を見つめる。


「え?あぁ、シールド装置はまだそんなに数はないですよ?それに今回の戦いにはあまり約に立たないでしょう。彼等もシールド発生装置を破る兵器ぐらいもっているようですから」


「「え!?」」

 マスラの発言にフクダとモチダ大佐は驚いた。


「どういう事です?マスラ所長。既に実戦配備を済ませていたのですか?」

 と、モチダ大佐が質問をした。


「えぇ。例の巨大ロボット部隊。通称バトルワーカー隊のコクピット周りはシールド発生装置を付けていましたよ。見事敵の弾丸が貫通したみたいですが」


「そうだったのか…」

 フクダ副大臣は残念そうに表情を曇らせた。


「まぁ、弾丸の方は結構作ってありましたから。これからもドンドンと作って各国に輸送していきましょう!」


「そ、そうだな。一刻も早くあの異星人共を追い出さなくては!」

 と、モチダ大佐。


「あぁ。今度は我々の攻勢になる番だ!」

 そうフクダ副大臣も拳に力を入れながら言った。


「(うひひひ。さて…。不自然ではないくらいに兵器をばら撒いて後はルージェット准将の艦隊を待ちましょうかねぇ…<ピピッ>ん?)」

 マスラの脳内に直接通信が届いた。


プルルルル!


 副大臣室の固定電話にも連絡が来たようだ。


ピピピピピ!


 そして最後にモチダ大佐の携帯電話も鳴った。


「どうした。今来客中なんだが…」

 と、副大臣が電話に出る。


 モチダ大佐も電話に出て後で掛けなおすと言っている。


「(何か御用?)」

 マスラは脳内通信で掛かって来た相手に受け答える。

 すると、


「(<マスラ様、緊急事態が発生しました。宇宙連邦軍第9艦隊に協力する多国籍艦隊の出現を確認。ここまでは予定通りですが、どうやらヤマタイ共和国へ攻撃を仕掛けようとしているみたいで、ヤマタイ共和国が囲まれています>)」



「「「え?」」」


 三人の声が重なる。


 マスラは誰とも話しているように見えないのにもかかわらず声を発した事にはフクダ副大臣もモチダ大佐も疑問には思わない。二人にもマスラのところに届いた情報と同様の知らせが来たようでそれどころではないらしい。


「っ!!もう新たな攻撃隊が来たのか!!」


「直ぐに戻る。迎撃隊を準備させておけ!」


「(あれ~?どういう事でしょう…。あれだけ念入りに手を出すなと言ってあったのにぃ…。あ、そうか!第9艦隊は自分達は攻撃しないと言ったけど、別の国の軍は攻撃しないとは言ってないもんねぇ~)」

 と、呑気な雰囲気で通信を続けるマスラ。


「申し訳ありません、フクダ副大臣、マスラ所長。異星人共は今度わが国を包囲したらしいのです…。今日は私はこれで失礼致します!」

 と、モチダ大佐は足早に部屋を出て行った。


「そういう事であれば私も研究所に戻らせていただきましょう。失礼致します」

 マスラもそう言って部屋を出て行った。


「あ、あぁ。分かった」

 フクダ副大臣は青ざめた顔でそう答えるのが精一杯であった。



「(さぁて、そろそろ派手にやる時期がきてしまいましたねぇ~。ルーイ。皆さんに準備をお願いして下さい)」


「(<了解しました。マスラ様>)」

 通信相手。ルイはそう答えた後プツリと通信を切った。



「(ルージェット准将もそろそろ来るタイミングですねぇ~…)」

 マスラはそう言ってウ~ウ~と警報が鳴り響く中、空を目を細めながら眺めた。



--------------------------------------------------------------


―ヤマタイ共和国領空―


 ヤマタイ共和国の首都上空には空軍の戦闘機が40機編隊を組みながら飛んでいた。

 彼等は首都航空防衛隊である。


 目的は前方から迫り来る異星人艦隊を攻撃する為だ。


 ヤマタイ共和国空軍の攻撃隊が装備するミサイルは全てマルヤマ研究所産の新型ミサイルである。


「(これが本当に連中のシールドをすり抜けて攻撃することができるのか…?)」

 と、パイロット達は半信半疑だった。


 首都航空防衛隊は前回の戦闘で半分に数を減らし、今国内では大急ぎで予備パイロットの為に工場を動かし古い機体の改修パーツや製造中の機体の組み立て作業をしているらしい。

 この戦争に一機でも多く投入する為に…。


「全機、攻撃準備!」


「「「「「<了解!>」」」」」


 各機攻撃準備に入るため、ミサイルを撃つ準備をする。


「(当たってくれよ…)」


 航空隊の誰もがそう思った。


 だが、


ビービービー。


 警告音が各機のコクピットで鳴り響く。


「なんだ!?」


 警報により緊張が一気に高まる。



「<隊長!上です!!上から…>」


 一人のパイロットからそう通信が入った。


「なんだと?上?」

 隊長は上空を見る。


 すると、隊長は信じがたい光景が…いや、正直そういう手があった事を忘れていた。と、いう光景が目に入ってきた。


「やられた…」

 隊長の目には空から大量に降り注ぐ火の粉…。大気との摩擦で燃え上がった降下カプセルが入ってきた。


 10や100ではない。1000単位でだ。


 ヤマタイ共和国中に散らばるくらい場所も方向もばらばらである。


 ミサイルが届く位置にあるものもあるが、今ミサイルを撃てば近付いてくる異性人の艦隊を攻撃することが出来ない。


 今まで異星人は降下後国に近付いてきて攻撃をしていた為、このような宇宙から直接乗り込んでくるよな方法の攻撃をヤマタイ共和国の軍は考えていなかったらしい。


「<隊長!どうしましょ!>」


「<攻撃の許可を!!>」


「くそぉ!!各機、近場の降下部隊を撃破後、ミサイルの残弾が有る機体だけで洋上の敵艦隊を叩くぞ!」

 隊長そう判断を下し、各機少しでも首都圏の被害を減らすべく降下カプセルに攻撃を行った。





「<現場のハタバシです!現在未確認生物が次々と銃や爆弾で市民を襲っています!各国でも同様の被害を受けているらしく、政府は―――>」


 と、ヤマタイ共和国内のニュースは異星人の降下部隊によってもたらされた被害で持ちっきりであった。


「マスラ様。準備が整いました」

 と、ルイが所長室に入り、ゆったりと椅子にもたれているマスラに報告した。


「うひひっ。そろそろ良い頃ですかねぇ~」

 マスラはそう言って邪悪な笑みを浮かべ、


「敵の排除を命じます。こちらの生体兵器も出してください」

 と命じた。


「はっ」

 ルイは敬礼をして部屋を出る。



「さて、戦争の始まりですよ。うひひひひひひひひ」



--------------------------------------------------------------


―宇宙連邦軍第3艦隊惑星833派遣艦隊―(ワープ中)


「ルージェット准将。世界連合艦隊、惑星833上空に出現確認いたしました。数は3500。かなりの数ですね…」

 宇宙連邦軍のAランク戦闘員のミューゼット・ラインリッヒ大佐は静かにモニターを見つめる上司のバルスター・リュッフ・ルージェット准将に報告をした。


「参加国は26ヶ国。どれも曲者ぞろいの国々ですね…。どこも人工生命体反対の国家ですよ…」

 そうポツリと言ったのは同じくルージェットの部下であるヴォルフ・ヴィッツェ中佐だ。

 どいつもこいつもイケ面である。


「ふむ、勿論純粋にヴァルカ軍討伐目的の参加表明国は除外をしたんだな?」

 そう言ったルージェットは鋭い目で部下二人を見る。


「はい。完全に除外いたしました。彼等は後方支援に回ってもらっています。監査局が頑張ってくれたようで…」

 と、ラヴィッツェ中佐が答える。


 人工生命体『カンラ』の排除を目的として集まった第9艦隊所属惑星833派遣艦隊。

 派遣艦隊艦隊司令官である『ドルーイ・フトラス』大佐は度々このような人工生命体の惑星に対し非人道的な攻撃をしているとして問題視されていた。

 他の部隊や監査局が止めていたこともありあまり大事にはならなかったが…。


 今回の派遣の際はフトラス大佐は大きく動き、自分の考えに同調する国や宇宙連邦軍内の同志を積極的に集めた。

 人工生命体は種族的に一般的になっている種以外では禁止されている行為である。

 しかし、既に生まれている人工生命体に対しては処罰をしていない。だが、それを良しとしない勢力は少なからず存在していた。

 フトラス大佐や今回彼に同行している者達は、人工生命体反対派の中でも過激な部類であった。

 宇宙連邦の上層部はあまりにも行き過ぎた行為を繰り返す彼らの処分を決めたようだ。


「その監査局からの派遣部隊は現在通信途絶中で敵陣の中か…。一刻も早く救い出さなくてはな」

 戦争犯罪を防ぐためある一定の数の派遣艦隊には必ず同行する監査局。

 第9艦隊所属惑星833派遣艦隊にも今回監査局の部隊が同行していた。もちろんルージェットが指揮する艦隊にも同行している。


「准将、そろそろワープが終わるようです」

 次にそうヴィッツェが報告をしてきた。


「よろしい。ワープ終了後、目標の艦隊に向け攻撃開始の準備をしろ」


「「了解!!」」

 ラインリッヒ大佐とヴィッツェ中佐は綺麗に敬礼をしてそう返答をした。



 こうして惑星833は更なる激戦地区となっていくのであった…。




--------------------------------------------------------------


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ