第6章2話 盾
「<いやぁ~楽な仕事だなぁ。未開の蛮族を殺す作業って>」
「<くははは、そうそう。大陸のヴァルカ軍共には手こずっているみたいだけど、こういうヴァルカ共の恩恵が無い連中ってのは本当に雑魚しか居ないよなぁ>」
「<<<ぎゃはははははは>>>」
そんな会話を宇宙連邦軍第9艦隊所属の先行していた隊員でしていた。
後続の部隊同士もそんな気の抜けた会話をしている。
前方を先行する計10機(戦闘機4機、BW6機)の者達はいわゆる特殊能力をもった軍人達であった。
特性は全員乗り物に搭乗すると乗り物の性能が上がるという代物だ。
それぞれ魔力、超能力と能力向上の方法は違うが、効果は同じだ。
一瞬の内にヤマタイ軍艦隊の3分の1を撃沈させた者達である。
「<さて、陸地に攻撃だ!>」
いよいよヤマタイ共和国の陸地に攻撃をするように特殊能力人部隊の隊長が指示をだした。
「<<<了解!>>>」
と、部下達が返事をした瞬間。
ドガン!
という音とともに特殊能力人が乗った戦闘機が一機撃墜された。
「<何だ!?>」
「<く、前方から攻撃!?か、回避!!>」
特殊能力人の機体達は素早く前方からの攻撃に反応し回避をした。
「<あん?何やってんだ?特殊能力人の連中…ギャ!?>」
前後左右に回避した為、侵攻速度を落とした特殊能力人の部隊を次々と抜き去る後続部隊。彼等は特殊能力人ではない。通常の人間だ。
そして後続部隊の一人が撃破された。
「<おい、どうしンポア!?>」
「<な、何ギャゴァ!>」
「<ひっブゥウ!?>」
更に後続部隊は次々と撃破されていった。
「<おい、何だアレは!>」
「<レールガンではないぞ!ビームとも違う…亜光速弾?>」
「<馬鹿な!何故そんなものを撃ち出す技術をこの惑星のカンラ共が持っているんだ!>」
「<知るかっ!>」
と、回避に成功したした特殊能力人達が分析をして敵の攻撃方法を探る。
「<ぜ、前方からミサイル!>」
「<そんなもの回避するまでも…ぎゃぁ!!?>」
「<そんな!?ミサイルがシールドをすり抜けてきた!!?>」
「<一体どうなってんだ!!この惑星の連中の文明力では我々に傷をつけることなど出来ないのではなかったのか!?>」
「<まさかヴァルカ軍か!?>」
「<いや、ヴァルカ軍の反応はあの島国にはなかった!>」
攻撃部隊は恐慌状態になっていた。
そしていよいよ数機のBWや戦闘機が島の陸地が見え出した時、
「<海岸線にBWの部隊が見えます!!>」
と、パイロットの一人が叫ぶように言った。
「<や、やはりヴァルカ軍か!?>」
「<どっちでもいい!仲間の仇だ!!>」
次々とヤマタイ国側にあるBWを射程に捉えミサイルを発射する宇宙連邦軍。しかし、
「<な!?打ち落としているだと!!?>」
「<何故だ!シールドを張っているんだぞ!!>」
と、理解できないと叫びだす連邦軍パイロット。
そんな中でも、
「<やった、一機撃破したぞ!あはは、あはははは!アン!!!?>」
ヤマタイ国側のBWは撃破された。
そしてヤマタイ国側BWを破壊した連邦軍兵士はヤマタイ国側の砲弾により海の藻屑となる。
ズラリと並んだヤマタイ国側のBWの数は150。特殊砲弾を発射した戦車は200。特殊ミサイルを発射した車両は180。自分達を破壊できる兵器を積んだ機体達が明らかに出撃した宇宙連邦より上回るヤマタイ国を見て連邦軍パイロット達は顔を青くした。
そしてついに、
「<司令部!応答願う!応答願う!こちらを撃破可能な敵BW発見、こちらより数が多い!!>」
と、艦隊指令に指示を仰ぐのであった。
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「馬鹿な…。我々を破壊できる兵器だと…!?」
と、ヤマタイ国攻略艦隊指令の中佐が訝しげな目でモニターを見ていた。
「お、おい!どうなっているんだ!!今向かっている部隊では足りないのか?」
ベケゼスは額に冷や汗をかきながら艦隊指令の中佐を問い詰めた。
「わかりません…ん?」
中佐は何かに気が付いた。見ていたモニターが砂嵐になったからだ。
「何が起きている!復旧を急げ!」
システムトラブルと思った中佐はそう指示を出すが、
「中佐!ど、どうやらハッキングを受けているようです!!」
と、オペレーターの一人が報告をしてくる。
「ハッキングだと…?」
中佐は耳を疑った。
もし情報の通りハッキングであると、ヴァルカ軍でもなかなかと出来ないことをやってくるような存在がこの惑星に居る。という事になる。
「<ズザザザザ…―――。うひひひ。あ~あ~、聞こえますかぁ?>」
と、不気味な声とともに砂嵐からモニターが復旧した。
だが、完全に復旧したとはいえない。なぜならば戦場の様子ではなく、ローブ姿でマスクを付けた姿の奇妙な男が一人映し出されていたからだ。
「な、何者だ…いや、まさかお前…いえ、貴方は…」
中佐はその者の存在に気付き冷や汗を流す。
「<うひひひひひひ!どうも~。『宇宙連邦軍第232独立科学技術部隊隊長グラフト・ダ・マスラ准将』どぅえ~す♪>」
陽気に自己紹介をするマスラ。それに対し宇宙連邦軍第9艦隊ヤマタイ共和国侵攻部隊の面々は目を見開いて驚いた。
宇宙連邦軍の准将がヤマタイ共和国に居たという事実より、いろいろととんでもない噂を聞くSランク戦闘員であるマスラが居る国を攻撃していたという事に皆動揺していた。
「な、何故准将がこの…場所に?」
中佐は焦る気持ちを抑えつつ言葉を選びながらマスラに質問をする。
「<ん~?簡単な話じゃないですかぁ~。Dr.ジュパーソンの研究結果がここにある。それが全てでしょぉ~>?」
「我々はこの惑星のヴァルカ軍関係の"モノ"を全て抹消する任務に就いています。なぜ…邪魔をするのです?」
そう言った中佐の質問にマスラは大げさに驚いた身振り手振りをし、
「<えぇぇぇぇ!?君達の任務って惑星クラレスの住民の保護もあるんじゃないのぉ~!!?>」
と、ワザとらしく言った。
「既にその保護が可能ではないと判断したまでです…。こちらは正規の任に就いています。准将は―――」
中佐がここまで言った後、マスラの雰囲気に気付く。
「<んんん~?おやおやおや~?確か君達の部隊の司令官さんは宇宙に居る『フトラス大佐』ではないですかぁ~うひひひひ、いつから准将より大佐の方が偉くなったんですかねぇ~>」
「そ、それは…」
「<うひひひひ…。こっちも仕事で来ているんですよぉ。邪魔をするならば…殺すよ?>」
マスラがそう言うと画面がパッと切り替わり第232独立科学技術部隊の面々が姿を現す。おおよそ100人程居る。
「<いいですか?この国には手を出さないようにねぇ~。うひひひ、うひひひひひひひひひひひひひひ!!!>」
「わかり…ました…」
中佐がそう言った後、
プツン。
と、マスラからの通信が切れ、モニターにはハッキングを受ける前の戦場の映像が映し出されていた。
「…!?全軍撤退!!ヤマタイ国エリアから直ちに撤退する!!」
と、中佐は慌ててヤマタイ国侵攻部隊の撤退を指示した。
それに驚いたベケゼスは、
「お、おい!話が違うじゃないか!!撤退したらエリーナを始末できないだろうがっ!!」
と、怒鳴る。
その様子を中佐は冷ややかに見つめ、
「臨時議員。宇宙連邦軍の艦船数万隻に匹敵する戦力と一人一人がBW以上の戦力100人と対峙して生き残る可能性があるというのならば是非とも教えていただきたいものですな…」
と、言った。
「な…!?うぐ…」
中佐の一言で何も言い返せなくなったベケゼスは力が抜けたように椅子に寄りかかった。
それを見た中佐は、
「…落ち込むのはまだ早いですよ…チャンスはまだあります…」
そうポツリと呟いた。
そしてベケゼスはその一言に希望を見出したようですぐに生気が戻った目を中佐へ向けた。
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