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世界戦史の中で~研究所長の狂人マスラさん!~  作者: ルミネ
第5章 敵の施設侵入するよ!マスラさん
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第5章4話 モチダ・マミを救出せよ!


「<逃げている途中、人ごみに紛れて見失ってしまったんだ!マミを見かけなかったかね!?>」

 と、モチダ大佐は泣きそうな声を出しながらマスラに問う。


「いえ、残念ながら私が来た道ではマミさんを見かけませんでした…。と、言いますか、マミさんは携帯電話を持っていなかったんですか?海外では使えないプランだったとか?」

 マスラが不思議に思いそう尋ねると、


「<いや、マミの携帯は何かあった時の為に海外でも使えるようにしてある。ただ、逃げている途中マミは携帯が入ったカバンも落としてしまってマミのカバンは今私の手元にあるんだ。連絡の取りようがない!>」


「あら~」

 トロくさいしドジだなぁ。と思っても口には出さないマスラ。


「<もし見かけたら保護して私に連絡をくれないか?>」

 と、モチダ大佐は依頼をしてくる。


「え?え、えぇ。それは構いませんが…」

 マスラはそう返事をしながらマミに取り付けておいた発信機の信号を衛生でキャッチさせ空中に浮かべたモニターに位置情報を映し出す。※第4章3話参照。


「<そ、そうか!た、頼んだぞ!>」

 モチダ大佐はそう言った後、プチっと電話を切った。


「…。まったく、海外に来ても問題を起こすとは…とんだトラブルメーカーですねぇ」

 と、マスラはマミのいる地点を皆がらフフッと笑う。


「いかがされましたか?」

 ルイがそう質問をしてくる。


「ん?えぇ、どうやらマミさんがお父様達とはぐれてしまったようでしてねぇ。ちょっと迎えに行ってきます」


「え!空港はいいんですか!?」

 フォッテルはマスラの言葉に驚く。


「うひひっ。フォッテル君、電話の相手はヤマタイ共和国の軍人さんなんですよ。これは恩を売っておくチャンスなのですよ?」


 そのマスラの言葉に首を傾げるルイ。

「こうなってしまっては惑星規模で収集がつかなくなるのでは?もう連邦軍の艦隊が押し寄せてくる可能性があるでしょう。既にこの惑星の国の軍人に恩を売っても意味が無いのでは?」


「えぇ、ですので彼らを助けておけば今後彼らが連邦に保護された時に融通が利きやすくなるでしょう。おそらく今後はこの惑星の"カンラ"達が一つの集団として形成されるはずです。当然モチダ大佐は軍人のお偉いさんであるため纏め役側になるでしょう」


「はぁ…」

 ルイはあまり納得できていないようだが相槌をうつ。


「だから、今後私と彼らを繋ぐ為に恩を少しでも売っておいた方がいいんです。さて、ではトラブルメーカーのお嬢さんを救出に行きましょう!あ、合流場所は空港でよろしくぅ~」

 そう言ってマスラはホテルを飛び出して行った。




--------------------------------------------------------------


 ナンジャワレ共和国内のとある駅。



「パパぁ~!ママぁ~…。どこに行っちゃったのぉ~?」


 マミは駅の入口で一人涙目になりながら自分の両親を探していた。

 人ごみに飲まれて両親と一緒に乗っていた列車から押し出され、更に駅の出入り口から外へと流された。

 更に自分のカバンもどこかに行ってしまったらしく連絡を取ろうにも取ることができなくなってしまっていた。


「押スンジャネェヨ!列ニ並ベヤコラァ!(押さないでください!列に並んでください!)」

 と、駅員は必死に溢れる人を誘導している。



 これでは話しかけることも出来ない。

 そもそもナンジャワレ語を話すことが出来ない。


「どうすればいいの…?」

 マミは途方にくれていた。


 すると、


「キャァァァァァアアア!!」


 と、女性の悲鳴が聞こえる。


「ナンジャアリャァア!(なんだあれは!)」


「化ケ物ダ!(化け物だ!)」


 と、人々は目線を高くし、遠くを見上げている。

 マミは何事かと思い、一緒になって"それ"を見た。



 空には幾つものの黒い人型の何かが飛んでいた。

 蝙蝠のような羽が生えており、こちらに向かってきているようだ。

 その内の5体はこちらに向かってきているようだ。


「なに…あれ…」


 マミは思わずそう呟いた。

 そして今自分が見ているもを疑った。

 なぜならば、こちらに飛んでくる5体の物体はまるで御伽噺に出てくるような悪魔であったからだ。


「ウ、撃チマクレ!(う、撃てぇ!)」

 と、警官数人が悪魔に向かって発砲をする。


「ギャァァァァ!!」

「グガァァァァァアアア!!」

 警官達から放たれた銃弾は悪魔1体の額に当たり、その悪魔は絶命したようだ。

 もう1体にも肩には当たったようだが、怒りを買ってしまったようで逃げ惑う市民に襲い掛かった。




「ひっ!!」

 マミはその光景で我に返り駅の中に逃げ込もうとする。

 だが、入り口は殺到した人で溢れかえっており、入ることはできなかった。



「グギャァァァアアア!!!」

 肩を射抜かれた悪魔は警官の一人に襲い掛かり首に噛み付き殺した。


 直ぐに別の警官が悪魔に拳銃で止めを刺す。


 周りの光景は逃げ惑う人々と襲われて血を流す人々により地獄絵図であった。


「あ…」



 マミは絶望した。

 こちらに向かってくる悪魔1体を見て。


 明らかに悪魔はマミを目標と捉えて向かってきている。

 それが分かるのは目と目が合ってしまったからだ。


 駅の中に逃げようにも、人が殺到しており入ることができない。


「い、いや…助けて…」

 そんな言葉をか細い声で呟く。


 その間に眼前まで迫り来る悪魔。


 もうダメだ。と、マミは感じて両親や学校の友人、そして度々軍需品研究所でお世話になった変な所長の顔が走馬灯のように脳裏に呼び起こされる。


「ガァァアアアアア」

 悪魔が真っ赤な口を開きマミを食そうとした瞬間。


パーン!


 という音と共に悪魔の頭に左から右へ何かが貫通し、悪魔はそのままマミの頭上を通り過ぎて駅の入り口に殺到していた人ごみの中に突っ込んでいった。

「キャァァアアア!!!」

「ヒ、ヒィィッィィィ!!!」

 悪魔が突っ込んでいった人ごみからはいくつもの悲鳴が聞こえる。


 悪魔を屠ったもの。

 それは明らかに銃弾であった。


 警官隊の誰かだろうかと、マミは左側を見た。

 悪魔は脳漿を右方向に撒き散らした。つまり銃弾はマミの方向の左側から撃たれたのだと推測したのだ。


「え?!」


 マミは一人の人物を発見する。

 その人物はニヤニヤとしながらマミを見ていた。


「うひひ。まったく貴方という人はとことんトラブルに巻き込まれる人ですねぇ。呪われているんじゃないですか?」

 そんな憎まれ口をたたきながら見覚えがある人物は笑っていた。



「マスラさん!」

 普段嫌味を言われたら文句の一つは言っていたマミは、今日は満面の笑みでマスラの名前を呼んだ。





 周囲からは悲鳴や銃声が聞こえてくる。

「う"え"え"え"え"え"ん!マスラざぁぁああん」

 そんな中で涙と鼻水まみれになったマミはマスラに近付き、抱きつこうとした。

 が、

「汚ねぇ!」

 と、ヒョイっと躱され、マスラによってマミの手が掴まれる。



「さぁ、逃げますよ。貴方の両親が待っています」

 と、言ってマミの手を引いた。


「え"?え??」

 汚い顔のマミは、いきなりの事で何が起きたか理解できず、ただ付いていくしかない。


 マミが連れて行かれた場所には一台のバイクが停まっていた。

 デザインは無骨でなんだが軍用のバイクという感じである。


「さぁ、ヘルメットをして下さい」

 と、マスラは言ってポンとマミへヘルメットを渡してきた。


「は、はい」

 マミは素直にヘルメットを受け取りバイクの後ろに乗る。


「さぁ、しっかり掴まってくださいね!」

 そう言ってマスラはバイクを走らせた。



 バイクのスピードはそれほど速くはない。

 理由は車が渋滞しており、更に逃げ惑う人々で道が埋め尽くされていたからだ。


ボッボッボッボッボ。


 と、低スピード道を走るマスラのバイク。


 たまに悪魔が走っている人を襲来し、上空へと連れ去ろうとする。


「えい!」

パン!

 マスラは目に付いた人々を誘拐しようとする悪魔を撃つ。


「グガァァァァアアア!!!」

「キャァァァアアアア!!」


ズドーン!

パーッ!パーッ!パーッ!パーッ!


「ありゃりゃ」

 悪魔を倒したのはいいが、一緒に誘拐された人が落ちてくる。

 誘拐された人は車の屋根に落ち、衝撃で車のブザーが鳴り響く。


「ま、マスラさん。なんで銃なんてもっているんですか!?」

 と、大分落ち着きを取り戻してきたマミが質問をした。


「え?いやいや、私の仕事はこういった新型の武器を売り歩く事ですよ?見本の銃の一つや二つ持って来るでしょう」

 さも当然だといわんばかりの口調でマスラはそう答えた。


「へぇ…、そういえばマスラさんの職場は軍事関係の研究所でしたね」


「貴方は何だと思っていたんですか…」


「あやしい珍品を作る研究所」


「失礼な!」

 マミは大分余裕が出てきたのか、マスラとそんな会話をしながら空港を目指した。











 到着した空港は若干込み合っていた。


 国外脱出という選択肢をとる者がまだ少ないのだろう。

 空港に集まっている者達の殆どは外国人のようであった。


「貴賓室に行きましょうか」

 と、マスラはマミの手を引っ張りながら空港の職員に近付く。


 マスラは受付に並ぶ長蛇の列をすり抜け、案内係の職員に話しかける。

「あのぉ~。すみません、モチダ大佐と会いたいのですが」


「アァン?ナンジャワレェェ!何勝手ニ話カケトンジャコラァ(はい、何かご用件でしょうか?)」


「あぁ、しまった。なんていっているかわからない…」

 マスラ痛恨のミス。ナンジャワレ共和国語はマスラには理解できなかった。


「ワレェ!ワレェ!オォウ!?(あなた、あなた。はい!)」

 マミはわからないなりに会話をしようと試みていた。


「あ、そうだ。携帯電話で連絡を取ってみましょう」

 マスラが携帯電話でルイに連絡した5分後、ルイと一緒に慌てた様子のモチダ夫妻が走ってきた。


「おぉぉお!!マミ、無事だったか!!」

 モチダ大佐は目に涙を浮かべていた。


「パパ!ママ!」

 モチダ親子は大喜びで抱き合う。


「いやぁ、良いですねぇ親子の再会っていうものは」

 マスラはそう言ってニヤニヤとモチダ親子の光景を眺めている。


「(本当にそう思っているのでしょうか…)」

 そう思っても口にしないルイであった。


「おや?」

 3分後、ようやくマスラの存在に気が付いたモチダ大佐は、

「おぉぉ!これは失礼したマスラ君。君には感謝してもしきれない位の恩が出来てしまったな!君の所のルイ君が、君が娘を連れてくると言った言葉を信じていて良かった!」

 そうモチダ大佐はマスラの手を握りブンブン振りながら嬉しそうに言った。


「えぇ。ははは、偶々似た人物を見たなーって思い出して戻ってみたら当たりだったってだけですよ。あ、もし恩を感じていらっしゃるのでしたら我が研究所の商品をいろいろと買っていただけたらと思っておりますよ」


「ははは!こんな時でも営業かね?マスラ君は仕事人間だねぇ」

 と、モチダ大佐は上機嫌だ。


「あなた!失礼でしょ。マスラさんすみません…そして今回はありがとうございました。ほら、マミ。貴方もマスラさんにお礼を言いなさい」

 モチダ夫人は夫を叱りつつマスラに礼を言った。


「あの…マスラさんありがとうございました」

 マミも素直に母親に従いマスラに礼を言う。


「いえいえ。たまたま発見しただけですよ。御気になさらず」


「さぁ、君達の分の飛行機の席は私の権限で確保してある。早速ヤマタイに帰ろう!」

 職権乱用である。


「うひひ。ではお言葉に甘えて…。ルイ君、どうやって飛行機を確保したんです?」

 コソっとルイにモチダ大佐がどうやって飛行機の席を確保したか理由を聞いた。

「どうやらイベントで来ていた今日帰国予定のヤマタイ共和国の輸送機に話を通したみたいです…」

「なるほどねぇ~。うひひっ。階級が高いと色々と融通してもらえて羨ましいですよぉ」

 と、マスラはモチダ大佐に聞こえないよう、小さく声を出して笑った。


 こうしてマスラ達はナンジャワレ共和国を脱出し、ヤマタイ共和国へと帰国した。



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