第5章3話 侵入者と接触せよ!
空港がある都市へ到着した頃、既に街中は騒然としていた。
「<聞ケヤゴラァ!タレコミジャワレェ!(臨時ニュースです。緊急速報が入りました)>」
と、街中の電気店にあるテレビからニュースが流れていた。
どこの局も同じようなニュースばかりである。
マスラ達も泊まっているわりと良いホテルへ着くと、自室へと移動する。
まぁ、とりあえず各自部屋へ荷物を置いた後、マスラの部屋へと集まりニュースを見た。
「<テメェラヨク見トケヨ!コレカラドウイウ目ニ遭ウカヲヨォ!(現場から中継をします!なお、この映像はCGではありません!)>」
「<ウラァ!テメェヤンノカゴラァ!(止まりなさい!)>」
「<ガアアアアアアアアアアアアアアアア!!!>」
「<ギャーーーー!!?(うわーーーーー!?)>」
映像を映し続けるカメラマンは、リポーターと共にナンジャワレ軍兵士と獣脳ヴァルカロイドとの戦闘を世間へ映像を送り続けていた。
激しい銃撃をしているナンジャワレ軍であるが、数十万と思われる二足歩行の化け物に住民も一緒に襲われている。
場所は今マスラ達が居る街の隣にある街のようだ。
「ありゃー…」
そんな様子を眺めながらマスラはなんともいえないという声を出した。
「結構酷いことになっているようですね…」
フォッテルはそう言いながらテレビから視線を外し窓の外を眺める。
外には軍用ヘリが編隊を成して飛びまわっていた。
「いかがされますか?この事態に加勢を?」
今度はモリノがマスラに指示を仰ぐ。
「う~ん、それは我々の任務では無いかなぁ…、ってどの道半分失敗しちゃったようなもんだしぃ。それより私はあのクラレス同盟のお馬鹿さん達と話をしてみたいなぁ。ルーイ君?」
マスラはそう言った後ルイの方を見る。
「はい、人工衛星にて追っておりました。現在例のグループ5人組みは我々と同じくこのホテルに止まっているみたいです」
そうルイが答えたのを聞くと、
「へぇ、やつ等他にも仲間が―――って、えぇえぇぇぇぇえ!?」
と、マスラは声を上げた。
「同じホテルか~い!」
というツッコミを入れながら。
「「「………」」」
マスラとルイは目的の人物達が集まる部屋の前へ居た。
マスラ達がこの惑星を監視するために設置した人工衛星の情報ではこのホテルに5つの点を示していた。
マスラは5人の惑星クラレス人が居る部屋の扉をノックする。すると、
「だ、誰だ!」
と、男の緊迫した声が聞こえてきた。
「マルカワ研究所のマスラで~す」
マスラがそう明るく答えると、
「な!?」
扉の向こうに居た男は驚いた声を出し、
ガチャッ。
と、素早くドアを開けた。
「んん?」
マスラは扉を開けた人物の顔を見て不思議な気分になった。変な意味ではなく、なんとなく見覚えがある顔だったからだ。
「お、お久しぶりです。さぁ中へ!」
と、その男は慌ててマスラ達を中へと引き入れた。
「んん~?」
思い出そうとしていたマスラは首を捻るばかりである。捻りすぎて180度回転してしまう程に。
「うわぁ…」
「ひぇっ!?」
「え…」
部屋の中からはそんな悲鳴が聞こえてきた。
その悲鳴の主は中に居た惑星クラレス人の男女だ。目を見開きなからマスラを見ている。
当のマスラはそんな周りの反応など気にしていない様子で、クワッと目を見開き、
「あ!」
と、言った。
クラレス人達は身構える。
「ようやく思い出しました。貴方、喫茶店の用心棒をしていた人ですね?」
等と扉を開けた男に笑顔を向けてそう言った。
首は再びグリンと元に戻して。
「ううぇ??え、えぇ…そうで…す。『ポラト・ヘンズー』軍曹であります」
あまりのマスラの気持ち悪さと異様さに、途切れ途切れにそう言葉を振り絞りつつ言った『ヘンズー軍曹』。
そう、扉を開けた男『ヘンズー』はマスラがこの惑星に降り立ってから直ぐに起きた盗難事件の際、ナカグラ・エミリと会うために訪れた喫茶店を守っていた人物だったのだ。※詳しくは第1章2話参照。
マスラはそれを確認すると、部屋の中へズカズカと入り込み、近くにあったベッドへ腰掛け、
「さて、説明お願いできますかな?なぜあのような勝手な真似をしたんですかねぇ~?」
と、威圧を掛けながら5人の惑星クラレス人へ問いかけた。
「う…」
「そ、それは…」
惑星クラレス人の5人はマスラの威圧に萎縮してしまい、言いにくそうにしていた。
そして5人の内4人は助けを求めるかのようにヘンズーを見た。
「う…」
他の4人に一斉に見られたヘンズーは重い口調で、
「えぇ…と、それは…。我々はここ、ナンジャワレ共和国に敵の重要施設があるとの情報を得まして、この施設の情報を利用すれば誘拐された同胞達の安否も直ぐに分かるのではないかと思い…」
「うんうん、その認識は正しいね…」
マスラはそう言って首を縦に振って頷く。
「それで我々惑星クラレス防衛隊が敵基地へ侵入したのですが…警備に引っ掛かってしまいました…」
「ふむ。エミリ…いや、エリーナ・グークスラ議員はよく許可を出しましたねぇ?一応今は貴方達の上司でしょ?」
マスラがそう質問をすると、
「極秘で行っていました…」
と、ヘンズーは目を伏せながら答えた。
「馬鹿だなぁ」
そうマスラは率直な感想を言った。
「「「「「な!?」」」」」
それに対し惑星クラレス防衛隊の面々は不快な感情を露にした。
「え?だって、我々連邦軍が動いている事は知っていたでしょ?ってか、このナンジャワレ共和国に秘密基地があるっていう情報をグークスラ議員に伝えたのも我々だぁ。それを君達惑星防衛部隊の面々が単独行動して、状況を無茶苦茶にしたんですよ?」
「そ、それは!貴方達があまりにも動きが遅いからでしょっ!一体これまでに何人怪我をしたと思っているんです!!?この情報を手に入れたのはもう一ヶ月も前ですよ?」
ヘンズーはそう怒りを表しながら言った。
確かにナンジャワレ共和国の秘密基地についてはマスラがこの惑星に来る以前から情報が伝わっていた。
だが、敵地という点と限られた人数での潜入捜査がここまで長引く原因となったのだ。
「だからと言って我々正規軍である宇宙連邦軍が居るのにも関わらず、準軍事組織の惑星クラレス防衛隊が他の惑星で活動するなんてことしなくてもいいでしょ?その結果が、私達と同時に動き、貴方達は失敗するというミスを犯したんですよ。こっちは準備していた時間が一気にパーになりましたよ。一ヶ月もかかったのはそれなりの準備をしていたからですよ。あーあ。私達は後ちょっとで何の問題も無く敵基地の頭脳をのっとることができたのにぃ~」
「お、俺達が悪いって言いたいのか!?同じ国の人間を救出したいって思っちゃ悪いのかよ!?」
「別にぃ。人を助けたいって思うだけならご自由にどうぞぉ~。人に迷惑掛けなければね」
「貴様ぁ!」
「抑えてくださいヘンズー軍曹!」
今にもマスラへ襲い掛かっていきそうなヘンズーをヘンズーの部下達が必死に抑える。
「はん。そうやって短絡的に行動しようとするから失敗するんですよ。ばーかばーか」
「テメェ!もうゆるさねぇ!!」
「軍曹抑えて!マスラ准将も煽らないで下さい!」
そう言ってヘンズーを抑える防衛隊の面々。
「とにかくぅ。今後何かやる時は連絡ぐらいしてくださいよ?迷惑かかるのは私たちだけじゃないんですから」
マスラはそう言って締めくくり、ヘンズーを睨みつけた。
顔を怒りの表情にして。ついでに世にも恐ろしい形相に作り変えて。
「うぐ!?」
さすがに顔面まで凶悪な表情に造り変わるとは思っていなかったヘンズーは驚き黙ってしまった。
部屋に居たヘンズーの部下達も黙ってしまっている。
そしてマスラは、
「ふぅ」
と、ため息を吐き、
「さて、帰りますか。防衛隊の皆さんも邪魔にならないようにさっさと帰ってくださいね」
そう言ってベッドから立ち上がったマスラはルイを連れて部屋から出ていった。
「くそう…なんなんだ、あいつらは…」
ヘンズーはマスラ達が去った後そう呟いた。
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「さぁて、我々も帰りますかねぇ。こんな危険な所はおさらばしましょう」
部屋に帰ったマスラは早速荷物をまとめながらルイやモリノ、フォッテルに指示をする。
「「了解しました」」
「了解です」
3人はそう返事をして荷物をまとめる。
フォッテルは元々荷物は持っていないので手ぶらだ。
ピピピピピピピ。
と、突然マスラが持っていた携帯電話から着信音が鳴り響く。
「んん?」
なんだ?と思いながらマスラは携帯電話に表示された名前を確認する。
すると、そこに表示されていたのはこの国に来ていた重要な取引相手の『モチダ大佐』という文字であった。
「んん?」
マスラは首をかしげながら電話に出る。
すると、
「<マスラ君か!?良かった、君は無事だったのか!>」
と、モチダ大佐が電話の向こうで焦ったように言ってきた。
「えぇ、私は無事でした。たまたま早く取引も終えてホテルへ早く帰ってきたのです。これから我々は空港に向かおうと思っていたのですが…」
マスラがそう答えると、
「<その前に!家のマミを見なかったかね!?>」
「へ?マミさんですか?」
マスラは不思議に思う。
なぜならモチダ大佐の娘『モチダ・マミ』はモチダ大佐夫妻と一緒にボボンガという生物を見に行ったはずであったからだ。
「<実は街に戻ってくる途中にはぐれてしまたんだよぉ!>」
「えぇぇぇええええ!?」
マスラは大して驚きはしなかったが、ノリで驚いたフリをしてみた。




