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世界戦史の中で~研究所長の狂人マスラさん!~  作者: ルミネ
第5章 敵の施設侵入するよ!マスラさん
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第5章1話 研究所へ潜入せよ!


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―ナンジャワレ共和国。荒野―




「見渡せど見渡せど茶色い荒野ですねぇ~…」

 つまらなそうにそう言った人物はご存知マルカワ研究所長のマスラさんである。


 場所は空港がある都市から300kmほど離れた荒野。

 マスラ達は1日かけてここまでたどり着いた。


「「…」」

 しかし運転席と助手席に座るお供の二人からは全く反応が無い。


「えぇ~?無視ですかぁ~?シカトですかぁ~」

 と、ウザったらしく声を掛け続けるマスラ。


「申し訳ありませんマスラ様。我々に話しかけてくださっていたとは思いもしませんでした。もう直ぐ目的地え到着いたします」

 と、モリノは答えた。


「…全く、君達は…。そうだ!帰ったら感情をもっと露にできるように改造してあげましょうか?」

「「必要ありません」」

「…へいへい。全く…つまらない連中ですねぇ~」

 そんな文句を言っているうちにいよいよマスラ達は目的地へと到着した。



 そうは言っても一本道が続いている荒野のど真ん中であり、周りに建物なんかは全く無い。



「ここなの?」

 と、キョロキョロと周りを見回すマスラ。

 目の前に広がるのは赤茶色の土と雲ひとつない青空である。


「はい。ここです」

 笑顔でそう答えるモリノ。


「……」

 マスラはちょっと疑いの目でモリノを見た。

 そんな事をしていると、


「<こちらでございます>」

 そうどこからか声が聞こえてきた。

 と、いうよりも下から…地面から声がした。


「ん?」

 マスラは地面を見ると、


ヌヌヌッ。


 と、地面から湧き出てくるかのように人が出てきた。


「おふぅ。だあれ?」

 マスラは不思議そうに尋ねると、


「『オンテコ』研究所出身の『フォッテル・ポ・オンテコ』でございます」

 と、その謎の人物は自己紹介をした。

 このフォッテルという人物。マスラの部下である。ただ、マスラには部下が多すぎて名前を覚え切れていない。しかし、○○研究所出身と言えば大抵わかるらしい。


「あぁ~変幻自在の体を持つ個体が多いあのオンテコ研究所の。ははっ、確かに潜入にはもってこいの体のようだねぇ」

 マスラは納得した表情で頷く。そして、


「で、もしかしてこの下にあるのかな?」

 と、フォッテルに聞く。


「はい。穴を掘っておきましたので、そのまま降りることが可能です」

 そうフォッテルが言うと、パカッと砂地に擬態してあった板を外す。

 その穴は見事に梯子などがない縦に伸びる穴であった。

 普通の人間では降りるというより落ちる事しかできない穴である。


「…まぁいいでしょう」

 マスラにとっては特に問題は無いので、そのまま地下へとふわふわと体に埋め込まれている重力軽減の装置を使って降りて行った。





 地下施設は薄暗いところであった。


グオングオン。

 と、怪しげな重低音が響いている。


 金属の壁に囲まれている為、ここが人工的に作られた場所という事は丸わかりだ。


「ヴァルカ軍の監視システムには既にハッキングし、我々の姿が捉えられないようにしてあります」

 と、フォッテルが説明をしてくれた。


「ほぅほぅ、それは大変結構な事ですねぇ~」

 マスラは満足そうに頷く。


「では、ご案内いたします」

 そしてマスラ達はフォッテルに案内されてマスラ達は少々歩いた。


 時間にして10分程度だろうか。気付くと巨大な扉の前まで来た。

 大きさでいえば3メートル程の高さがある扉だ。


「これが指令本部が求めていた"頭脳"です」

 フォッテルがそう言うと、スイッチを押す。


ガガガガガ。


 と、扉が左右へゆっくりと開いていった。


「うひひ。これはこれは…」



 扉の先にあったものは、巨大な空間だった。おおよそ縦横奥行き200mmはあるだろうか。


 明るく適度に照らされ周りは灰色の壁一色だ。


 そんな部屋の中心に正六面体の物体が一つ浮いていた。


 ところどころに小さな表方形の光を放ち、ウォンウォンと音を鳴らしながら浮いている。

 その大きさは50m程の大きさだ。


「これが…"脳"」

 マスラは満足そうに呟いた。


「これがこの惑星のカンラ達の性格や記憶を書き込んだ人工知能…」

 と、ルイが呟く。


 マスラ達の目の前に浮いている巨大な物体こそ、この惑星の人工知的生命体の記憶、知識、性格などをそれぞれの個体に書き込み、この惑星の偽りの歴史などを一括で管理するマザーコンピューターであった。。

 フォッテルが既にハッキングを済ませてあるというので、この人工知能も既にマスラ達の手にあるといっても同然だ。


「では、次に"手足"を見ますか?それとも"心臓"を見ますか?」

 そうフォッテルが聞いてきた。


「おや?別々に管理されているのですか?うひひひひひ。それならば当然、手足です」

 次にマスラは手足を指定した。


 マスラ達はオンテコに案内されしばらく地下施設内を歩く。


 やがて別の大きな扉の前へとやって来た4人。

 今度の扉の大きさは先ほどの扉よりも大きく、高さ20m位である。


 ガゴン…ガゴン…。


 再びゆっくりと扉が開くと…。


「ふうわぁ…」

 思わずマスラが溜息交じりの言葉が出る。


 20cm程の小さな容器がズラリと並ぶ。

 容器の中には翼の生えた生物が入っている。

 羽毛ではなく、どちらかと言うと哺乳類に近い毛並みだ。

 顔は犬のようで色は白銀。

 四本足のようで、胴体はモコモコの毛で覆われている。

 犬のようなドラゴンと称したほうが分かりやすいかも知れない。


「これが…、ケンル…」

 と、マスラは呟いた。


 古代の宇宙怪獣ケンル。


 かつて宇宙を渡り鳥のように移動していた今は絶滅している"巨大"宇宙怪獣だ。


 目の前に並んでいる"小さな"宇宙怪獣達は生物学者Dr.ジュパーソンがヴァルカ軍の依頼で、彼らの敵に対抗する手足となるために復活させた生命体である。


 そう。マスラが示す"手足"とはこの宇宙怪獣ケンルの事を指していたのだ。

 そして"心臓"とはケンルを操る存在の事である。


 宇宙連邦という国家が出来る前に滅んだと言われる巨大生命体。

 一匹で国が滅ぶとまで言われた生命体である。

 通常は全長20mの巨体で、宇宙にまで飛び出すことが出来る生命体だ。


「コレ幼体ですかぁ?すんごく小さいような…」

 マスラがそう言って容器の中の宇宙怪獣を観察する。


「いえ、縮小装置に入れられているので、本来は20m級の生命体です」

 と、フォッテルは答えた。

 どうやらここの研究所に存在するケンルは小型化されカプセルの中に入れられているらしい。



「なるほどねぇ~」

 マスラは納得し、この宇宙怪獣ケンルの情報を思い出す。


 このケンルという生物の特徴は、決して自ら他の生命体を襲わない。


 主食は植物であり、わずかな摂取量で生きていける。


 当時の人型知的生命体達とは生活圏を分けており、お互い争いは起きなかった。




 やがて状況は一変する。その原因となったのは宇宙怪獣『ヤヤル』という存在だ。

 宇宙怪獣ヤヤルは特殊な波長で他の生物を操るという特性を持つ怪獣であった。

 しかし操れる種族というのはそれほど多くない。

 知的生命体で操られる人がいたとしても1億人に1人という割合であった。

 当然当時の人々は対策をしたりして、直接ヤヤルに操られてしまうというケースは殆ど発生しなかった。



 だが、元々生活圏が離れていたケンルとヤヤルは出会ってしまった。

 しかも運悪くケンルの約半数がヤヤルに操られるという最悪の形で。


 そして起きたのは宇宙中を巻き込む大戦争であった。


 ヤヤル&操られたケンルVSケンル&世界連合


 結果、幾つもの惑星が滅び文明が消えていった。



 そんな昔話を思い出し名がらマスラは目の前の巨獣(現在は小型化している)を見ていた。


「これが何匹この施設に居るんです?」

 と、マスラはフォッテルに聞く、


「おおよそ10万匹かと…」


「「10万…」」

 フォッテルの回答にモリノとルイは驚いたようだ。

 更にフォッテルから悪い情報が続く。


「更に戦闘用に強化もされているようです…。おおよそ宇宙連邦軍の現用バトルワーカー並の強さかと…」


「あぁ~…それは厄介ですねぇ…」

 マスラも少々呆れた様子だ。


 10万の強化されたケンルの群れ。それを想像したマスラは嫌気が差してきた。

 巨大人型戦闘兵器バトルワーカー(BW)。全長20mの機械の巨人に匹敵する戦力が10万匹も居ることに呆れてしまったのだ。


「まぁ、現用BWに匹敵する"程度"であれば倒せない事もないですか…」

 かつては追い返すだけでも苦労したと言われたケンル。それを倒すまでに進んだ文明を褒めるべきであろうとマスラは考える事にした。


「さて、では手足を見たことですし、次は―――」

 "心臓"を見ますか。と、マスラが言いかけた時、



ビービービービービー!!!



 施設内に警報が鳴り響いた。


「んへ?」

 マスラは間抜けな顔をしながら警報を聞き入った。


「フォッテル。施設内のセキュリティーは掌握したのではなかったのですか?」

 と、鋭い眼光を飛ばしながらルイはフォッテルに尋ねる。


「は、はい。勿論です。セキュリティーには我々の存在を感知しても知らせないように致しました!」

 そうフォッテルが慌てて弁解した。

 ルイやモリノのようにオンテコ研究所出身者は感情表現が希薄なわけではない。一般人に近い感覚を持っている。

 どうやらフォッテルはルイの睨みに萎縮してしまったようだ。


「では、別の勢力の何者かが潜入したようですね」

 と、モリノは分析した。


「い、今システムを解析して…」

 フォッテルは慌てて頭の中の通信端末とこの施設のメインコンピューターを繋ぐ。そして、


「は、はい。どうやらモリノさんの仰る通り、侵入者のようです!!」

 そう全員に伝えた。


「まったく…。どこの誰だかわかりませんが、余計な事をしますねぇ…」

 マスラは呆れながらそう言った。



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