第4章 エピローグ
―夜:マスラ研究所地下通信施設―
既にマミやカザトは家に帰しており、現在ここにはマスラとルイ、そして数名の職員が居るのみである。
「通信繋がります」
一人の職員が自身の手前に設置してあるモニターを見ながらマスラへ報告する。
「は~い」
マスラはそう気が抜けた声で返事をして一番大きなモニターへと向く。
モニターはブブブという音と共に中心に横線が引かれ波うち、そしてパッと人が映された。
モニターに映った人物は軍服姿で仕官用の軍帽をしっかりと被った若い男であった。
金髪に碧眼。キリッとした顔立ちでまじめそうな雰囲気がある。
イケ面だ。
「やっほ~、ルージェット准将。お久しぶりぃ~」
と、マスラは目の前のモニターに映る人物に対して親しそうにそう挨拶をした。
「<その話し方、マスラ准将ですか?>」
ルージェット准将と呼ばれた人物はマスラの砕け具合に文句の一つも言わず、確認をした。
ルージェット准将。本名『バルスター・リュッフ・ルージェット』。宇宙連邦軍第3艦隊副総司令官である。つまり宇宙連邦軍第3艦隊のナンバー2だ。
マスラと同じくSランクの戦闘能力を持ち、尚且つマスラよりも戦闘能力が高い。更に指揮能力も高いとされ、文武両道な人物として評価が高い人物だ。
イケ面の上高学歴高収入天才。更に性格も良いらしいので憎たらしくなってくる。
「そうですよぉ~。今はこんな顔と声になっています」
そう言ってニカーっと笑うマスラに対しルージェットは、
「<そうでしたか。確かに生体反応はマスラ准将と合致していますね。お久しぶりですマスラ准将>」
と、若干笑みを浮かべて挨拶を返した。
「…相変わらず反応が薄い方ですねぇ…」
つまらなそうに目を細めるマスラ。
「<申し訳ありません、性分なもので…>」
一方ルージェットは悪びれるわけでもなく同じくうっすらと笑みを浮かべながらそう答えた。
「もうっ!メンメル研究所出身者の人造人間って訳でもないのにっ!!それで?態々こんな場所へ来るとは、例の古代怪獣の件についてですかぁ?」
やる気がなさそうにそう尋ねるマスラ。それに対しルージェットは、
「<えぇ。勿論その件もあるのですが…>」
ルージェットは言葉を切ってモニターを指でポンポンと叩く。すると、
『データを受信しました』
という文字が、マスラ側のモニターに映し出される。
「おや?」
と、マスラはルージェットから送られてきたデータファイルを今度は手前の巨大モニターではなく手元のモニターにて開く。中身は作戦が書かれた文書であった。
「………―――!これは…」
マスラは作戦書の内容を見て僅かに驚く。
「うひひひひひひ。連邦軍は面白い事を考えますねぇ…」
と言いながら。
「<作戦通り、マスラ准将には今あなたが居る国。ヤマタイ共和国の防衛をしていただきます>」
「うんうん」
「<その後、宇宙戦が開始されるので参戦していただきます>」
「ふむふむ」
「<その後、邪魔者は"全て"排除した後、敵のシステムを全て掌握します>」
「うひひ。これでは強盗団ですねぇ~」
「<ふふっ、それは言わないで頂きたいものですな。我々はこれで敵の重要な拠点や作戦を複数破壊し、重要な産物はこちらのものに出来るのです>」
「うひひ。まぁ、私の取り分があるようですから全く問題はないんですけどねぇ」
「<そう言っていただけると何よりです。では、マスラ准将のご活躍を期待しております>」
「は~い。そっちも頑張ってねぇ~」
マスラはそう言って手を振っていると通信がプツリと切れた。
通信が切れた事を確認すると、マスラはルイの方を向き、
「さぁて、これから忙しくなりますよぉ」
と言って先ほど送られてきたデータファイルが表示されている手元のモニターをルイへと見せた。
「作戦内容ですか…。これは――…!」
ルイは珍しく動揺した雰囲気を出した。
マスラはそれを見て僅かに気分が良くなる。
どうもマスラはメンメル研究所出身者に対し感情を露にさせることが楽しみで仕方がないようだ。
そして、
「宇宙連邦軍も大胆な事をしますね…」
と、感想を漏らしたルイ。
作戦内容は、
・惑星クラレス人の救出。
・惑星内で研究されている宇宙怪獣のデータ入手。可能であれば実験体の入手。
・惑星内のカンラのデータ入手。これも可能であれば実験体の入手。
ここまではルイも予想していた範囲であった。
だが、次の内容、
『・とある人物達の排除』
という内容には驚いてしまった。
勿論その団体の名前はしっかりと記載されている。
ルイは詳細を見てある程度は納得し、マスラを見て、
「この作戦。大変な事になりそうですね…」
と、僅かに不安気な表情をしながら言った。
「えぇ。本当に…。本当に我々は敵がいっぱいですよ。そうと決まればさぁ皆さん、ダンスの練習でもしましょうかねぇ」
そう言ったマスラは何処か嬉しそうであった。
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次回からいよいよクライマックスに近づき、戦闘になっていきます。




