第4章2話 地雷を見つけたよ
―マルカワ研究所所長室―
現在部屋にはマスラのみ。
カザトは自分の仕事へ戻し、エミリも惑星クラレス人の保護の為、奔走している。
マスラは自分の机でもくもくと仕事をこなしていた。
当然カザトからのお願いされた件も忘れていない。
そちらは全てルイに任せたのだ。
人任せである。
すると、
プルルルルル。
マスラの携帯から着信音が流れた。
「はい、もしもしマミさん?お宝見つかりました?」
「<ひぃぃ!マスラさん!助けてぇぇぇ!山姥に見つかりましたぁぁぁあああ!!金属探知機も盗られちゃいましたぁぁああ>」
と、電話の先でマミからの悲鳴が聞こえる。
その後ろで、
「<誰が山姥だぁああああ!!>」
と、聞き覚えの無い女の声で誰かが叫んでいる。
どうやら山姥と言われたことにお怒りの様子だ。
「おや?さっそく"地雷"探知機に引っかかったようですねぇ。いやぁ~私が貸した探知機の精度もなかなかのものでしたねぇ」
「<冗談言ってる場合じゃないですよぉぉぉぉぉぉ!助けてくださいぃぃぃぃぃ!>」
「警察には連絡したんですか?」
「<してないですっ!>」
何故最初に警察に連絡しないのだろうか。マスラはそう疑問を覚えつつも、
「それで?どこなんですか?」
「<ノエト山ですぅぅぅ!山姥意外と足が速いぃぃぃぃ!>」
「<このクソ餓鬼ぃぃぃいい!!待ちやがれぇぇぇぇえええ!!!>」
「はいはい。分かりました。ノエト山ですねぇ~」
マスラはそう言って電話を切った。そして机に置いてあったボタンを押し、ルイを呼んだ。
そして、30秒程経った後、
「はい、所長。何かご用件でしょうか?」
そう言ってルイが所長室へと入ってきた。
「うん、今モチダさんのところのマミさんから電話があってね。山姥に追われているから助けてくれ。だってさ」
「山姥……ですか?」
いつもの事だが何を言っているんだ?という顔をするルイ。
「そう山姥。携帯電話からの発信だったみたいだからもう衛星仲介して居場所は特定しているよっ!直ぐに向かうよっ!」
「はあ…わかりました」
「まったく。本当にマミさんはトラブルに巻き込まれやすい人ですねぇ」
そのトラブルに更に巻き込まれている自覚があるのか無いのか分からないマスラであった。
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「「はぁ、はぁ…」」
マミとヒジリは二人揃って大きな岩と高く成長した草の陰に隠れていた。隣にはかなり大きな木がある。
散々逃げ回ってようやく山姥を撒くことが出来たようだ。
「逃げ切れた…かな?」
マミはそう言って辺りを見回し、山姥の姿が無い事を確認する。
「はぁ、はぁ。ありがとうございます…」
ヒジリはマミにそうお礼を言った。
どうやらヒジリの方はマミの顔を覚えていないようである。
これは幸いと思ったマミは自分もヒジリを知らないことにした。こんな山姥に追われているという切迫した状況において、下手に恨みを抱かれても困る。
「い、いえいえ。お気になさらず。そ、それよりも大変ですねぇ、山姥に追われているなんて…」
「いえ、あれは私の叔母です…」
と、ヒジリは申し訳なさそうにそう言った。
「え!?嘘、あれ人間なの!?」
マミはそう失礼な発言を堂々とした。
だが、ヒジリが言うところの叔母はどう見ても化け物の類の存在としか思えなかった。
「はい…あれ人間なんです」
と、以前とは比べ物にならないくらい弱々しい口調でそう答えるヒジリ。
「で、なんで叔母さんに追われているんです?なんか子供がどうのこうの言っていましたけど…」
「はい。実は私妊娠しているんですが、まだ未成年だからとお腹の子供をあの叔母さんに移す事を勝手に計画されていたみたいで…。それが判明して必死に抵抗していたんですが、今日いきなり叔母さんに乗り込んでこられて病院に連れていかれそうになったので逃げてきたんです。このお腹の子供は私と私が愛した人の子供です。誰にも渡しません」
ヒジリはそう言ってお腹を擦った。既にヒジリは母の顔になっていた。僅かであるがぽっこりと出ている。
「そうですかぁ。えっと、おめでとうございます。では、頑張ってここから脱出しないといけませんね!」
「はい。ありがとうございます…。だけどここからどうやって逃げよう…」
「大丈夫ですよぉ。ちゃんと頼りになる人呼びましたから」
そう言って胸を張るマミ。
何がどう大丈夫なのか分からないが、心強い人物という事は確かである。
しかし、物事はそう簡単に上手くはいかない。
「残念だけど、逃げられないから」
と、茂みの間から顔だけ出した山姥が二人を見てそう言った。
「「なっ!?」」
「逃げ切れると思ったのかぁい?あぁ?」
と、山姥はのっそりと茂みから徐々に体を出しながらマミ達へ迫ってきた。
本当に人間なのかと思ってしまう登場の仕方である。
「ひっ!こ、こうなったらぁああ!!」
マミはスコップを両手に持って構え、戦う姿勢を見せた。
「貴方はは先に逃げて!」
と、マミはヒジリを逃がそうとする。が、
「で、でも…」
と、ヒジリは戸惑ってしまう。
だが、
「いいから!お腹の子が食べられてもいいの!?」
「!?」
というマミの一言でヒジリは我に返りそのままマミの後方へと逃げていった。
「貴様ぁぁぁああああ!!!」
マミとヒジリの一連の流れに激怒した山姥はマミから奪い取った地雷探知機を振り回しマミへと迫る。
ガキーン!!
と、お互いの武器が交じり合う。
「私の子供をかえせぇぇぇぇぇええええええええ!!!」
「あ、貴方の子じゃないでしょう!!」
「黙れ黙れ黙れぇぇぇぇええええええええええ!!!!!!」
山姥は一際大きく地雷探知機を振りマミのスコップと激突させる。
バキーン!!
衝撃でマミのスコップは飛んでいき、山姥の地雷探知機も先の方が折れてしまった。山姥の持つ物は既にただの棒である。
「あははははははははは!あははははははははははは!!!」
マミの手元にスコップが無いのを見た山姥は大笑いをした。
勝ち誇ったような笑みを浮かべ残った地雷探知機を振り上げて思いっきり振り下ろす。
バシン!
「イヤァ!」
マミは左腕に強い衝撃を受けて倒れてしまう。
「うひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!」
バシン!バシン!バシン!
山姥は大笑いしながら気が狂ったかのようにマミを叩く。
「ぐっ――。がっ――」
「私の邪魔をするからこういう目に遭うんだよ!あれは私の子だ!誰になんと言われようが私の子だっ!!」
そしてしばらく叩いた後、山姥は再びヒジリを追いかけていった。
「(少しは時間稼ぎはできたかな……)」
マミは薄れ行く意識の中でそう思っていた。
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