第3章 エピローグ
―午後9時マルカワ研究所所長室―
既にエミリは帰った後で、部屋にはマスラとルイが居るのみであった。
「ほうほう。では、再びエイクック君はナンジャワレ共和国への潜入は成功した。ということですね?」
「はい、マスラ様」
マスラはエミリからそんな報告を聞いて満足そうにしていた。
「さて、それではエイクック君からDr.ジュパーソンがいったいどんな絶滅した宇宙怪獣を復活させようとしているかの情報を楽しみにしていようじゃないですかぁ」
マスラはそう言って嬉しそうにしている。
「それと、報告があります。宇宙連邦軍第9艦隊所属の艦隊がこの惑星へ向け出発する準備が70%まで整ったとのことです。同時に宇宙連邦第3艦隊所属艦隊も準備が70%完了との事です」
「ほうほうほう…。うひひひひ、いよいよですねぇ~。いよいよお掃除ができるんですねぇ~」
マスラはそう上機嫌に笑っている。
「その第3艦隊に関して一つ情報が…」
ルイはいつも通り表情を変えず話を続けようとした。
ただ、少し緊張した声だ。
「おやぁ?どうしました?そんなに驚く情報がありましたかぁ?」
マスラはルイから与えられるであろう情報に期待した。
滅多なことでは動揺しないルイが声を強張らせ、若干目を鋭くさせて報告しようとしている内容。マスラはとてつもなく興味がそそられた。
「第3艦隊副総司令官『バルスター・リュッフ・ルージェット』准将が第3艦隊所属艦隊を指揮するためにこちらへ来るそうです」
ガタッ!!
マスラは目を見開く。
「"宇宙連邦正規軍所属Sランク実力1位"の奴が何しにこんな場所へ来る!?」
珍しくマスラは真剣な声を出した。
マスラが驚く理由はいくつかある。
まずSランクと呼ばれる戦闘員というのは、宇宙連邦軍艦隊数万隻分の戦闘能力を有する。
そんな重大戦力と認識されているSランクの特殊能力者がマスラを含めて2人以上同じ惑星に戦闘の為存在するというのは異常な事態であった。
そんな事態になるということは少なくとも敵側(ヴァルカ軍側)にもSランクが2人以上この惑星に居るという事だ。
「どうやら情報部がとある情報を開示したようでして…。この惑星にかなり関係がある事だとも言っていました」
「とある情報?」
マスラがそう不思議そうな顔をすると、ルイは文書データをマスラへと渡す。
「え~っと、なになに?………………………………え?」
マスラはその資料を見ると目を見開く。
「これを…。こんなものを復活させようとしていたのですか?Dr.ジュパーソンは…」
「はい。そのようです」
「しかし…情報部の連中はいったいどこからこの情報を…。というか、Dr.ジュパーソンは一体なぜ5万年前に絶滅したとされる"あの宇宙怪獣"の遺伝子情報を持っているんです?"もう一方"は沢山居たのでまだ分かりますが…」
「行方不明になった開拓船団の子孫達がとある惑星に生き残っており、その方々が持っていたそうです。情報部もDr.ジュパーソンもそこから情報が渡ったのかと…」
「うひひっ。一体どこの開拓団が研究していたんでしょう?ん?いや、知っていますよぉその開拓団の名前を!!うひひっ、まったく今までどこに隠れていたんでしょうか…」
「現在『清堂』少将と『紀崎』准将が調査をしている惑星…とのことです」
「あ、あそこかぁ!行って見たかった!!」
マスラはルイから貰った情報に対し物凄く羨ましそうな目をしながら言った。
「だけど!まぁDr.ジュパーソンの研究結果がここにあるのであれば問題は無いかぁ~。うひひひひ、いまからいろいろと楽しみですねぇ~」
マスラはそう言って怪しげな笑みを浮かべていた。
そんな興奮しているマスラを気にも留めず、
「では、私も"ダンス"の練習がありますので」
と、ルイは退出の許可を求めて来た。
「うん、いいよぉ~。研究所を壊さない程度にねぇ~」
そうマスラは手をひらひらさせながら見送った。
「うひひひひひひ」
その日の夜も研究所にはそんな怪しげな笑いが響いていた。
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