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世界戦史の中で~研究所長の狂人マスラさん!~  作者: ルミネ
第2章 マスラさん、遺伝子を調査する
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第2章2話 警察と接触



 マスラ達が住んでいるフソウ市には『フソウ国際空港』という空港がある。

 そんな中、『ナンジャワレ共和国』にとある調査の為に出張をしていたマスラの部下『モリノ・エイサク』が旅行鞄のプラスチック製の板と板の間に麻薬を隠していたという事件が起きてしまった。


 マスラとルイは共に早速エミリを自宅へと帰し、部下のモリノが移送されたというフソウ市警察署へ車で移動した。運転はルイである。



 移動中の車内では、


「え~っと、モリノって誰だっけ?本名は?」

 と、マスラは言った。これは他の人には聞かせられない会話である。


「本名『エイクック・ビ・メンメル』です。私と同じ『メンメル』研究所出身でございます」

 そうルイは笑顔で答える。現在そんな情報を笑顔で言える状況ではないが、ルイはそんなことはお構い無しという感じである。


「あ~!なるほど、なるほど。エイクックか。最近見ないと思ったらこの惑星にいたのか!」

 惑星に居た事自体把握されていなかったエイクック。


「しっかし、あいつがお薬やっていたとはねぇ~。頼んでくれればもっといいものを直接脳内に送り込んであげたのに…。あ、ちゃんと合法な場所で合法な物質をだよ?」

 と、マスラは残念そうに言った。

 彼やルリ、エイクックという名の調査員の国籍は宇宙連邦なので、連邦内の国ごとに法律が違うためそういうことが出来る国があるらしい。


「彼はそのような事をする個体ではないはずです。出張した先が発展途上国と設定されている『ナンジャワレ共和国』であったため、知らずに運び屋をさせられていた可能性があります」

 ルリがそう反論すると、


「いやいや、冗談だよ冗談。君達メンメル出身の同胞がそんな事するとは思ってないよぉ~。ってか、君達メンメル出身者はユーモアが足りないよねぇ~。もうちょっとこう、気の利いた切り替えしが出来ないのかなぁ?」

 そう無茶振りをするマスラに対し、


「善処します」

 と、ルイは変わらぬ笑みでそう答えた。


「……あ、着いたね」


 こうしてマスラとルイはフソウ市警察署へと到着した。







「どうもこんばんは。マルカワ軍需品研究所から来ました『モリノ・エイサク』の上司のマスラ・フラッグです」

 と、警察署の受付でそう言って身分証になる保険証を見せたマスラ。


「かしこまりました。少々お待ち下さい」

 受付の若い婦人警官にそう言われて落ち着いた表情で待つマスラ。


「……。確認が取れました。現在担当の者が来ますので、あちらの席で少々お待ち下さい」


「はい」


 マスラとルイは受付の前の少し離れたところにある椅子に座って担当者という人物を待った。

 しばらくすると、タタタッと、一人の青年が走ってきた。


 受付の婦人警官と何か話している。

 婦人警官はあちらにいるよというジェスチャーをその青年にする。

 青年は婦人警官に教えられてマスラ達の方へやって来た。


 そして、

「どうもどうも!えっとマスラさんでよろしかったですか?」

 と、青年はマスラ達に話しかけてきた。


「はい。モリノ・エイサクの件で参りましたマスラ・フラッグと申します」

「アキハラ。ルイです」


「あぁっと、申し送れました。自分はヨネダと申します。では、こちらへどうぞ」

 と、ヨネダと名乗った刑事さんはマスラ達を案内した。







 上の階へと上がって行き、着いた場所は広い個室であった。

 中に入ると見覚えの無い男が二人座っていた。


「(多分ニコニコとキモチワルイ笑顔をしているのがモリノでもう一方が刑事かな?)」

 そう。マスラはモリノ・エイサクの顔を知らなかったのだ。

 何せモリノ・エイサクはこの惑星にマスラより先に来て顔を変えている為、分からないのだ。

 だが、事前に目を通したデータだと、モリノとマスラは知り合い。という設定になっている。どうして写真付きにしなかったのだろうか。とマスラは悩む。


「あぁ、マスラさん。お久しぶりです。いやぁ~…エンドウ所長の後任でマスラさんが所長になったんですね。おめでとうございます」

 と、ニコニコ顔の青年が立ち上がってマスラに話しかけてきた。


「えぇ、お久しぶりですモリノさん…。その、帰国早々厄介な事件に巻き込まれてしまったようで…」

 マスラはそう言って立ち上がったもう一人の刑事に目をやる。


「どうも、始めまして。私はサクラギと申します」


「あぁ、どうもマスラ・フラッグと言います、あ、こちらは私の助手の…」


「アキハラ・ルイです」

 ルイはマスラに紹介されて頭を下げる。


「いや、この度は災難でしたなぁ」

 と、刑事サクラギはマスラに言った。


「おや?その感じですと、既に冤罪だと…?」


「えぇ。証明されていますよ。実はモリノさんにお話を聞いていたのはここ最近同じ手口が頻発しておりまして…。その手口ってのはナンジャワレからヤマタイまで密輸されて、その後密輸に使った鞄を盗まれるっていうものなんですわ」


「あら~…と、なると、モリノさんは…」


「はい。泊まっているホテルの先で鞄をズタズタに切り裂かれるっていうイタズラをされたみたいで、ホテルの従業員が新しい鞄に変えてくれたのが、その麻薬入りの鞄だったらしいんですわ」


「あちゃー…」


「一応何の為に出張に行ったかって聞こうとしたら、モリノさん…『その質問は国家機密に抵触してしまいます』の一点張りで…いや、仕事柄それはわかるんですが、取り付く島もなく…。モリノさんのナンジャワレでの詳しい行動が分からないんですわ…」


「あー…確かにモリノさんの出張理由はそうですね…。それで判断に困り私を呼んだ…と?」


「その通りです…『詳しくは所長へ』とも言っていましたから…」


 モリノが出張していた理由。

 それはヤマタイ共和国がナンジャワレ共和国へ販売すると決まった装備を、ナンジャワレ共和国が求める仕様にするために、詳細を調べに行ったのだ。

 勿論、誰に聞いたという話をするわけにはいかないので、泊まっていたホテル、部屋を空けた時間も全てモリノは話さなかった。

 モリノが話したのは鞄がイタズラに遭ったという点だけである。


「では、モリノさん。被害に遭った時に居たホテルと時間帯を刑事さんに伝えて」


「了解しました所長」

 マスラが許可を出すとあっさりと回答モードへ移るモリノ。

 刑事さん達もその様子には苦笑いな様子であった。








――――――。


 あらかたモリノが説明を終え、見事モリノは帰っても良いことになった。


 帰る前に、サクラギ刑事がマスラに話しかけてきた。


「…あの…彼、モリノさんっていつもあんな感じなんですか?」

 マスラはサクラギ刑事が言いたい事を瞬時に理解できた。


「えぇ…。あの作ったかのような笑顔、機械と喋っているかのような会話。彼の親戚の殆どがあんな感じですよ」


「そ、そうなんですか…親戚全員…」

 サクラギ刑事はマスラからの情報に唖然としていた。

 親戚一同モリノのような笑顔でこちらを見ている状況でも想像したのだろう。あまりの不気味さで冷や汗を流している。


「まぁ、こういうのは慣れですよ。彼らのような特殊な性格はね」

 マスラはそう言って笑った。自分の性格のことは完全に棚に上げている。


「はぁ…。まぁ分かりました。では、今日はお帰りいただいても大丈夫ですので…」


「そうですか、ありがとうございます。ではモリノさん、ルイ。帰りましょうか」


「「はい」」

 モリノとルイはそうマスラに答え、マスラの後ろについて帰っていった。





 三人が帰った後、ヨネダ刑事は、


「なんか不気味な人達でしたね…。研究所の職員って皆あんな感じなんでしょうか」

 と、苦笑いで言った。


「あぁ…それと、マスラ・フラッグとか言ったか?あの人もかなり不気味だったな…。何かありそうだ…」

 サクラギ刑事がそう言うと、


「え?そうでしたか?あの方話し易そうな人だったじゃないですか。軍備品の研究ってことですから秘密の一つや二つあるでしょう…。それともそれ以外に何かあるっていうんですか?」

 と、サクラギ刑事の発言に驚き質問をするヨネダ刑事。


「あぁ…なんていうか…勘だ」


「勘…ですか…?」

 ヨネダ刑事はそんなサクラギ刑事の勘に対し、半信半疑であった。

 現場で頼りにはなるが、どうしても根拠が無い勘を完全に信じる事はできなかった。

 それもそのはず。サクラギ刑事は30とまだ若い。

 ベテラン刑事の勘というにはまだ若すぎる気はするが、あながち間違っていなかった……。







 一方、マスラ達研究所の三人は来るまで研究所まで一旦帰る道を車で走っていた。


「…しかし、一旦は"人間らしい"と褒めた麻薬ですが、こちらに実害があると腹が立ちますねぇ~」


 と、マスラは邪悪な笑顔をしていた。


「よろしければ、詳しく調べて売人などを始末しますが?」

 と、ルリは笑顔で怖い事を言った。


「う~ん。これ以上私達の活動が足をとられるようになったらやって頂戴。今直ぐ動かなきゃいけないって訳じゃないだろうしね」

 邪魔すれば殺す。マスラはそう言っているのだ。

 もう正義の味方を自称する国に住む軍人のセリフというよりかはマフィアのようなセリフだ。


「了解しました」

 ルイは早速売人の始末を視野に入れ、返事をした。



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