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異世界転生してやっぱ中世ヨーロッパっぽいなって思ってたら近世ヨーロッパに転生してました…  作者: あああ


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第74話 対仏大同盟

アランソンで蒸気機関車が産声を上げてから、数ヶ月。


 俺が地図の上に引いた一筆の赤線は、瞬く間に現実のものとなっていた。


 アランソンを中心に伸びる鉄の道は、パリへ、そして主要都市へと網の目のように広がっていく。試作機だった機関車は改良を重ねられ、今や膨大な物資と人を運ぶ「国の血管」として機能し始めていた。


 だが、俺たちが「新しい時代」を創り上げているその裏で、歴史の針は最悪の方向へと一気に加速していた。


 フランスで巻き起こった革命の熱狂により成立した総裁政府。

 フランスの王政の失墜は他国をひどく警戒させていた。

 そして、外から冷ややかに見つめていた者たちが、ついに動き出したのだ。


「国王を退位させ、一部貴族を追放した不敬なる国を叩き潰せ」


 フランス革命の波及を恐れたヨーロッパの君主たちは手を取り合い、巨大な連合体を作り上げた。


『対仏大同盟』。


 イギリスの豊富な資金力を背景に、オーストリア、プロイセン、スペイン、サルデーニャといった周囲の大国が一斉に牙を剥く。


過去にプロイセン・オーストリア連合軍は撃退に成功したが今回は前回よりかなり酷い。


 東西南北、すべての国境線から怒濤の如く押し寄せる敵軍。フランスは文字通り「全方位を敵に囲まれる」という未曾有の危機に叩き落とされたのだった。


 激震が走るパリ。

 急激すぎる絶望的な戦局の変化に、総裁政府は連日会議が行われていた。


パリの軍参謀本部。重苦しい沈黙が漂う部屋の中心で、フランス全土の地図が広げられていた。

「状況は最悪だ」


 ラ=ファイエット総裁が疲弊した顔で溜め息をつく。


「東部国境からはオーストリア・プロイセンの連合軍十万が迫り、南からはスペイン軍がピレネーを越えた。さらに海からはイギリス艦隊が港を封鎖している。我が軍の兵力は分散され、各個撃破されるの可能性が高い状態だ……」



「今回の戦争は、各地に戦力を分散させて送るのではなく、戦力の集中による各個撃破が最善策だな」


 二人の視線が一斉に俺へと注がれる。


「マサト殿、具体的にどういう意味だ?」


「ラ=ファイエット総裁、足りないのは兵の数じゃない。『移動速度』だ。敵は俺たちを包囲し、兵力を分散させようとしている。なら、その分散をそのまま利用してやればいい」


 俺はアランソンからパリ、そして東西南北の各都市へと張り巡らされた「黒い線」鉄道網の上をなぞった。


「東の戦場で敵を叩いたら、その日のうちに兵士を列車に押し込む。二日後には、その同じ部隊が南の戦場で敵の側面に襲いかかるんだ」


 ナポレオンの目が、カッと見開かれた。


「徒歩なら一ヶ月かかる移動を、わずか四十時間で完了させる……。兵士を疲弊させずに最前線へ輸送するということか!」


「そうだ。敵が3倍の兵力を揃えてこようが、こっちが3倍の速度で同じ部隊を回せば、戦場ごとの兵力差は等しくなる。数で勝る相手を、圧倒的な機動力で順番に叩き潰す」


 ナポレオンが興奮を抑えきれない様子で地図に身を乗り出し、素早く指を動かし始めた。


「素晴らしい……! これなら東部戦線で敵の先鋒を叩き潰した直後、全軍を南へ転進させることができる! 敵から見れば、まるで我が軍が二つの場所へ出現したように錯覚するはずだ!」


 ナポレオンは口元を不敵に吊り上げ、俺に向かって力強く手を差し出してきた。


「やはり、マサト総裁の技術と策があれば全ヨーロッパの軍隊を相手にしても、負ける気がしないですな!」


 ラ=ファイエットも深く息を吐き、最後には諦めたように、しかし力強い笑みを浮かべて頷いた。

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― 新着の感想 ―
ナポレオンだけでもなんとかなる(おそらく)のを補給鉄道網があると敵が可哀想なレベル
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