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異世界転生してやっぱ中世ヨーロッパっぽいなって思ってたら近世ヨーロッパに転生してました…  作者: あああ


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第63話 ウィーン

ミラノ陥落の衝撃冷めやらぬ中、ナポレオン率いるイタリア方面軍は足を止めなかった。


進軍速度を落とさない携帯食料と両総裁の補給に支えられたフランス軍は、そのまま、オーストリア本国である、ウィーンを目指して怒濤の勢いで進撃を開始したのだ。


「報告! フランス軍、すでにウィーンまであと数十キロの地点に到達! 敵将ナポレオン、止まりません!」


 オーストリア宮廷に、悲鳴のような報告が駆け巡る。


「バカな……! イタリア戦線が突破されただけでなく、本国まで攻め込まれるだと!?」


「我が国の精鋭部隊が、ことごとくあの若造に粉砕されたのだ……! もはや防げる兵は残っていない!」


 恐怖に震え上がったオーストリア皇帝フランツ二世は、ついにプライドを投げ捨て、降伏同然の休戦交渉を申し入れてきた。


 北イタリアの村カンポ・フォルミオにて。

オーストリアの全権大使は、目の前に座る20代の若き将軍、ナポレオンの前に平伏していた。


「……我がオーストリア帝国は、フランス共和国総裁政府の提示する条件を……全面的に受け入れる」


 ナポレオンがつきつけた条約の内容は、オーストリアにとって苛烈を極めるものだった。

北イタリアの放棄、ライン川左岸のフランス領有の承認、そして膨大な額の戦勝賠償金の支払い。


 ここに、フランスを包囲していた「第一次対仏大同盟」は完全に崩壊。


ヨーロッパの大国の一つであったオーストリアが、マサトたちの率いる新フランスの軍門に降った瞬間だった。


 数週間後、パリ。


 朝から街道を埋め尽くしたパリ市民たちは、地響きのような歓声をあげていた。

南の街道からパリ市内へと入ってきたのは、見渡す限り続く巨大な馬車隊の列だった。


「おい見ろ! あの馬車の山はなんだ!?」


「オーストリアを叩きのめしたナポレオン将軍が、イタリアから送ってきた戦勝品だぞ!!」


 馬車に積まれていたのは、金銀財宝や名画・彫刻だけではなかった。

イタリアの豊かな穀倉地帯から買い付けられた大量の小麦、肉の塩漬け、そしてオーストリアからむしり取った膨大な額の金貨と銀貨だった。


「マサト総裁! ナポレオン将軍からの戦勝品と金貨、すべて無事に到着いたしました!」


 総裁政府の執務室で報告を受けたラ=ファイエットは、あまりの額に目を丸くしていた。


「な、なんて額だ……! これほどの金と物資があれば、革命の混乱で暴落していた紙幣の価値を一気に引き戻せるぞ!」


「ええ。それだけじゃない」


マサトは満足そうに口元を緩めた。


「この豊かな食料を市場に一気に放出すれば、

パリ以外の都市でも食料不足は一晩で解決します。民衆にお腹いっぱい飯を食べさせられる」


 マサトの言葉通りだった。

山のように届いた金貨は新通貨の裏付けとなり、市場に溢れた食料によって物価は劇的に安定。長年、飢えとハイパーインフレに苦しめられていたパリ市民の生活は、一気に劇的な改善をみせたのだ。


「マサト総裁万歳! ラ=ファイエット総裁万歳!」


「ナポレオン将軍万歳! 総裁政府万歳!!」


 パリの街角には、マサトたちを讃える市民の声が響き渡る。

かつて恐怖政治で民衆を怯えさせていたロベスピエールの時代は完全に終わりを告げ、経済的にも軍事的にも「圧倒的に豊かなフランス」が誕生したのだった。


 

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