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異世界転生してやっぱ中世ヨーロッパっぽいなって思ってたら近世ヨーロッパに転生してました…  作者: あああ


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123/124

123話 オスマン

 サント=ドマンゴでの「無血平定・独占貿易」の大成功と、パリを包む甘いお菓子ブームから数日。


 パリ・総裁府の執務室では、マサトが巨大な世界地図を広げ、地中海と紅海に挟まれた細い陸地、スエズ地峡を静かに指差していた。


「カリブ海での成功で、僕たちの『インフラと共栄による新秩序』の正しさは証明された。……なら次は、世界規模の貿易ルートそのものを劇的に変貌させよう」


「スエズ……地中海と紅海を繋ぐ運河の建設するんですか?!」


 地図を覗き込んだラーブルが、思わず息をのんだ。


「現在、アジアやインド洋へ向かう船はアフリカ大陸を大きく遠回りせざるを得ません。もしここに運河を通せば、航海距離は一気に短縮され、世界の貿易構造そのものが根本から覆ります。ですがマサトさん、あの地域は……」


「ああ。衰退しつつも、依然としてオスマン帝国の領土内だね」


 マサトが頷くと、ジャンがニヤリと笑って腕を組んだ。


「オスマン帝国か! 懐かしいな。かつてエジプト遠征のとき、ラ=ファイエット総裁が外交で交渉して、対等な友好関係を結んだ相手だろ?」


「そうだよ、ジャン。あのとき築いた『フランスは武力で侵略せず、技術と経済で約束を守る』という絶大な信頼が、今ここで活きてくるんだ」

だ。


 そこへ、ドニが興奮気味に何枚もの巨大な設計図をテーブルいっぱいに広げた。


「マサト! スエズの砂漠を掘り返すための『新兵器』の試作設計ができたぞ! ドニ特製・巨大蒸気掘削機『ギガ・モグラ一号』と、連続土砂搬送ベルトコンベアだ!」


「おお……! これはすごいスケールだね、ドニ!」


「だろ!? 昔のやり方みたいに何万人もの奴隷や農民を鞭で叩いて手掘りさせる必要なんて一切ない! 蒸気機関の力で砂漠を爆速で掘削し、同時に給水設備と医療陣地を建てて、現地の労働者には高給と安全を保証する。まさにドニ技術省の集大成だ!」


 力による強制労働ではなく、最新技術と高給による雇用創出。現地を豊かにしながら、世界最強の航路を手に入れる、まさにマサトの「Win-Winの真骨頂」であった。


「よし。オスマン帝国の皇帝と現地のエジプト総督へ、僕直筆の親書を送ろう」


 マサトはペンを取り、かつての友好を確かめる温かな言葉とともに、こう書き添えた。


『旧来の列強のように、貴国の領土を奪うための進出ではない。かつての約束通り、最新の医療・農業機械、そして巨大な運河事業による莫大な通行税収入と雇用を、貴国に約束する。共に地中海とアジアを繋ぐ『新時代の架け橋』を創ろう』

 

数日後。コンスタンティノープル(オスマン帝国首都)


 パリからの親書と、ドニが描いた驚愕の重機設計図、そしてサント=ドマンゴから届いた最高級の砂糖菓子を前にした皇帝は、感嘆のあまり深く溜息をついた。


「他のヨーロッパ列強は我が領土を奪おうと銃を向け直してくるが……マサト総裁だけは、常に我が国に莫大な利益と未来の技術をもたらしてくれる。かつての交渉に偽りはなかった」


 皇帝はすぐさま全権委任の印章を親書に押し、興奮気味に宣言した。


「直ちにフランスとの『スエズ運河共同開発協定』を締結せよ! 我が国はマサト総裁の提案を全面支援する!」



 過去の信頼と最新の技術。二つの鍵が組み合わさり、地中海とアジアを繋ぐ人類史上最大の大工事が、フランス主導のもとで力強く動き出そうとしていた。


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