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異世界転生してやっぱ中世ヨーロッパっぽいなって思ってたら近世ヨーロッパに転生してました…  作者: あああ


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106/124

第106話 責任

ロンドン、ウェストミンスター宮殿。英国議会の議場は、割れんばかりの怒号と悲鳴に包まれていた。


「責任を取れ! 主戦派のタヌキどもめ! お前たちの愚かな判断のせいで、我が国は壊滅的な大打撃を受けたんだぞ!」


「そうだ! フランスの『新兵器』と真っ向からやり合って勝てるわけがないと、あれほど警告したはずだ!」


 議場のあちこちから激しいヤジが飛び交う。

 かつてフランスを東西から押し潰そうと「対仏大同盟」の中心に立ち、対仏強硬派の閣僚たちは、青ざめた顔で泥のように座り込んでいた。


 勝てるはずの戦いだった。しかし、いざ蓋を開けてみれば、戦場に現れたのはこれまでの常識を根底から覆す「異次元の軍隊」だったのだ。


 最新鋭のライフルと桁違いの練度と射程を持つ大砲。そして鉄道を使った補給線。


 イギリス軍は大敗を喫し、自慢の艦隊が壊滅し英雄ネルソンも失った。


「だ、だが! フランスを放っておけば、奴らの勢力はさらに拡大し」


 主戦派の議員が反論しようと立ち上がった瞬間、野党側の若い議員がデスクを激しく叩いた。


「黙れ! これ以上フランスを怒らせてどうする! 奴らは今や『鉄道』と呼ばれる鉄の機関車を走らせ、国中で物資を恐ろしい速度で回しているんだぞ!? 治安も経済も完璧、国民の士気も最高潮だ! 我が国が敗戦の処理に追われている間に、向こうは国家としての次元が変わっているんだ!」


「ひっ……!」


「まともな陸軍の将校たちも『あんな化け物みたいな大砲を持った相手と二度と戦いたくない』と言っている! これ以上の戦争は、ただの国家自殺だ!」


 圧倒的な事実を突きつけられ、主戦派の議員はぐうの音も出ずへたり込んだ。


 もはや議会において「フランスと戦う」などという主張は、正気を疑われるレベルの愚行となっていた。


 議場の混乱が絶頂に達したその時、静かに壇上へと上がった男がいた。


 穏健派のリーダー、ヘンリー・アディントンである。


 アディントンは静かに眼鏡の枠を整えると、騒然とする議場を見渡して朗々と声を響かせた。


「諸君、不毛な責任転嫁はやめよう。……もはや旧時代のプライドに固執している猶予はない」


 議場がしんと静まり返る。


「我々が戦っていたのは、単なる一つの国ではない。フランスが創り出した『新しい時代』そのものなのだ。……刃を交えて勝てないのなら、我々が取るべき道は一つしかない」


 アディントンは力強く胸を張った。


「現内閣の退陣を要求する! 我が党が新たな政権を組織し、フランスと平和通商条約を結ぶのだ!」


『異議なし! 新首相はアディントンだ!』


『マサト総裁と和解しろ! 我が国に平和と貿易を!』


 議場から地鳴りのような拍手と歓声が巻き起こった。

 こうして、対仏強硬派の政権はあっけなく崩壊し、アディントンを新たな首相とする新内閣が誕生したのだった。

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― 新着の感想 ―
エピソード97でネルソンに出撃を命じた首相がアディントンだったと思いますが、穏健派なんですか?
2026/09/29 14:56 ベルナドット
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