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異世界転生してやっぱ中世ヨーロッパっぽいなって思ってたら近世ヨーロッパに転生してました…  作者: あああ


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第103話 新時代のフランス

パリ、チュイルリー宮殿の大広間。


 かつて王族が舞踏会を催し、その後は革命の混迷と流血に塗れたその絢爛豪華な大空間に、いまや満場の拍手と歓声が鳴り響いていた。


 大理石の床にはレッドカーペットが敷き詰められ、壁にはフランスの国旗が飾られている。


 長きにわたる革命と内乱の嵐。そして、イギリスなどの外国との激しい全面戦争。


国家の存亡をかけた戦いがひとまずの結着を見せた今、パリ総裁政府のマサト総裁は、これまで戦時に追われて延期され続けていた国家統治体制の根本的な刷新「新制閣僚・軍総司令官任命式」の挙行を宣言したのである。


檀上中央に立つマサト総裁。その隣には、共に総裁政府の同僚として国家の政治と外交を舵取りしてきた同志、ラ=ファイエット総裁が並んで立ち、温かい眼差しで会場を見渡していた。


「静粛に」


マサト総裁が静かに手を挙げると、一瞬にして満場の将校、閣僚、文官たちの私語がピタリと止んだ。


「我々は勝ち抜いた。革命の混乱を突き抜け、アランソンの技術と人々の汗によって、世界の覇権を狙った大英帝国を完璧に退けたのだ。……だが、戦いは終わったのではない。これより始まるのは『新時代のフランス』を構築する戦いである」


マサト総裁の声が、大広間の天井へ向けて力強く響き渡る。


「ゆえに本日、我らはこの国の骨組みを新しく塗り替える。不毛な内乱の時代は去った。これよりは、真の功績と実力を持つ者が国家を牽引する時代だ!」


マサト総裁の合図とともに、壇上の脇から二人の男が堂々とした足取りで前へ進み出た。


一人は、数々の列強を鉄道網と砲術を操り、完封した陸の英雄、ナポレオン・ボナパルト。


もう一人は、ドーバー海峡の大海戦において装甲蒸気艦隊を率い、イギリス海軍の英雄ネルソンを打ち破って海上の覇権を奪い取った海の覇者、ラトゥーシュ=トレヴィル。


マサト総裁は、紙に記された金文字の委任状を広げ、朗々と読み上げた。


「ナポレオン・ボナパルト! 汝の類稀なる戦術眼と、我が国の新技術を陸上で完璧に運用した功績を称え、本日ここに『初代陸軍大臣』兼『全フランス陸軍総司令官』に任命する! 今後、全欧州の治安と陸の防衛は汝に委ねる!」


「ハッ!!」


ナポレオンは胸を強く張り、身の引き締まる思いでマサト総裁の前に跪いた。豪華な軍服の肩章が、光を浴びて眩しく輝く。


「このボナパルトの命、そして我が陸軍の全砲火は、すべてマサト総裁と新生フランスのために捧げます! どのような敵が来ようと、我が国の土を二度と踏ませは致しません!」


続いて、マサト総裁の視線が隣の老練な提督へ向けられた。


「ラトゥーシュ=トレヴィル! 敵の伝説的提督ネルソンを討ち取り、風の時代から『鉄と蒸気』の時代へ海を塗り替えた偉業を称え、汝を『初代海軍大臣』兼『全フランス海軍総司令官』に任命する! 世界の海を我が国の航路とせよ!」


「ははっ……! この身に余る光栄にございます!」


ラトゥーシュ=トレヴィル提督は感極まった面持ちで深く頭を下げ、任命状を受け取った。


「マサト総裁の手掛けられた『装甲蒸気船』こそが、我が海軍に勝利をもたらしました。我が海軍はこれより、世界のあらゆる海域においてフランスの国威と経済を守る無敵の盾となりましょう!」


ドワッ…… と会場から割れんばかりの拍手と万歳三唱が巻き起こった。


「総裁政府万歳!」「フランス万歳!」「そして、今後のフランスの発展に万歳ッ!!」


陸のナポレオン、海のラトゥーシュ=トレヴィル。


そして、政治と外交を完璧に統括するマサトとラ=ファイエットの総裁政府。


革命の混迷の中で長らく空位となっていた国家の最高人事体制が、マサト総裁の手によって完成に近づくのであった。

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