調合77
民間の冒険者たちは勿論のこと、体力や腕力に自信のある男たちは、皆、どこから調達して来たのかガタパライムの核を叩くための棒を持って集合した。
死骸も放置せず持ち帰らねばならない、ということで、運搬用の手押し車を準備してきた一団もあった。
「動きが鈍くなっているなら、私たちだって負けないわ。タコ殴りにしてやる!」
「最近ストレスが溜まってるの。いい憂さ晴らしになりそうだから、私も参加する!」
「私、解毒水をぶっかける方をやりたい!」
何だか、物騒なお姉さん方たちもいる。
とにもかくにも、急遽、民間ガタパライム討伐応援隊の結成、と相成ったのだった。
エルリッヒが自ら現地に向かうこととなり、そのすぐ後ろに付いて、調達できた馬車に分乗した先発隊が出発。
グランも冒険者として参加している。
現地まで徒歩で向かう後発隊は、ガタパライムの死骸の回収が主たる任務となる。
また、炊き出しや、物資輸送など、様々な役割を担う人々が、続いて現地へ向かって行った。
驚いたことに、現地への道沿いに屋台を出し、討伐や手伝いに向かう者たちを相手に商売を始めた者まで出現した。
逞しい限りである。
「ガタパ饅頭っていうのをお土産に貰ったわ。ガタパライム狩りに行くのに、何か、どうなんだろ?」
シャルロッテは、しっかり饅頭を齧りながらも、首を傾げていた。
私たちは、後方支援として解毒水調合と、品質チェック、梱包、引き渡しで、なかなかに忙しい。
学校も臨時休校となったが、学生たちは新1年生を除き、結局、調合の手伝いに動員されていた。
死骸として回収されたガタパライムは、施術院の横に臨時で建てられた収納庫へ納められているが、スペースはわずかということで、新しく収納庫を建てる話が進んでいるようだった。
ガタパライムから得られるガタパは、加工調合ガタパとして、新しい素材としての認知度が徐々に上がってきた。
特に、加工調合ガタパを利用した“雨の日靴カバー”は、ちょっとしたヒット商品となったのだった。
製品開発の主要メンバーのコリンズが、本来は、家具工房であるカブリオレ工房の職人だったため、カブリオレ工房から少なからず不満が出たようだが、ギルドが間に入ったことで、大きな問題にはならずにすんだ。
また、シャルロッテが関わった“濡れないエプロン”も、作業用品として需要があり、サルトリア工房のカリンカから、デザインやサイズ違いの製品を第2段として発表することに決めたと報告があった。
そして私には、ジークフェルドを勝手に王城から連れ出した、ということで、ヴォルフガングから嫌味たっぷりの封書鳥が飛んできて、あからさまな食事会の催促と、何か面白いものを見せろという無茶振りが、秘書業務とは別に加わっていた。
面白いものって、何? どうしてこうなる?
私は、頭を抱えて、机に突っ伏したのだった。




