調合48
「事情を知ったのは、4年前。学校の寮に入っていた頃なの。当時は、まだ封書鳥は研究中、というか、私もそのテストに参加してた。」
なんと、あの封書鳥の開発に、シャルロッテは学生の身で参加していたというのだ。
「当時は、学校の職員が、届いた手紙を仕分けして、寮の部屋へ配っていたの。で、私のところへ間違って届けられた手紙が、きっかけだったの。」
「別の方宛の手紙を読んじゃったのですか?」
「そういうこと。ちゃんと確かめずに封を切ってしまって……。封筒には、アルテ=シャルロッテ何とかって宛名が書かれてたけど……。」
封筒には差出人の名前が無く、さらに、慌てて、アルテ=シャルロッテ=何某を学校内で探したが、そんな名の人物はいなかったという。
「結局、悪いとは思ったけど、手紙の内容に何かヒントがあるかもと思って、最後まで読んじゃったの。」
「何が書かれていた?」
「差出人が、何か、アルテ=シャルロッテに調査を依頼していたような内容だった。“既に最初の報告は受け取った。調査を続けるように。”って。」
「調査の内容は?」
「分からない。その手紙にも、その次に来てしまった手紙にも、調査内容は書かれてなかったから。」
「その次に来てしまった手紙?」
やはり、同じ封筒で、差出人の名前が無いアルテ=シャルロッテ=何某宛の手紙だったという。
「学校の事務員にそのまま返すべきだったの。後から考えたらね。でも、何か急ぎの連絡かもしれないし……、それに好奇心もあったの。」
「はぁ、好奇心って、ロティ……。んで、次に来てしまった手紙には、何が書かれていたんだ?」
シャルロッテは深い溜息をついてから、言った。
「“返事が来ないが、どうしたのか?”という催促と、“王宮図書館内は変わりはないが、日に当たることがないので、不健康になりがち”だとか何とか、そんな内容だった。あと、署名が入ってた。」
「じゃあ、差出人が分かったんですね。」
「ええ。…………署名は、ヴォルフガング=オットー=ファン=アルランメディエとなってたの。」
「ヴォルフガング? ヴォルフガング殿下のお名前が書かれてたっていうのか?」
グランの顔色が変わった。
「それ、偽者じゃないのか? 殿下のお名前を騙るなんて……。」
あれ? ヴォルフガング殿下って、どこかで聞いたような?
「結果から言うと、殿下で間違いなかった。ヴォルフガング殿下は幽閉などされていなかったのよ。」
「え~と、先代国王陛下の息子さんの?」
「そうよ。だから、真実は違っていたの。」
驚愕の事実である。
「……ロティ、其方、どうやって真実に辿り着いたのだ? ヴォルフガングは、今、どこにいる?」
「本当に、御存知ではないのですか?」
「知らぬ。」
「御無事なのか? ヴォルフガング殿下は? 俺、殿下に礼を言わなきゃならないんだ。」
グランはグランで、何かあるらしい。
「さっき、封書鳥のテストに参加してたこと言ったけど、そのテスト用に貰ってた試作品、ヴォルフガング殿下と、アルテ=シャルロッテに飛ばしてみたの。」
アルテ=シャルロッテ=何某に向けた封書鳥は飛び立たず、もとのワックスに戻ってしまったという。しかし……、
「殿下に向けた封書鳥の方は、殿下のもとに届いた。そして、翌日、殿下から私宛に、手紙が届いた。」
“いきなり白い鳥が現れ、自分の手に止まったと思ったら、手紙になった。あれは何か? 説明しろ”という内容だったという。
「いきなり、王族にあれを送っちゃったんですか? シャルロッテさん。」
「私も、半分、偽者だと思ってたから。むしろ、アルテ=シャルロッテの方に、間違って他人に手紙がいったから、差出人に連絡して欲しいって伝えたかったんだけどね。」
「じゃあ、アルテ=シャルロッテさんは?」
「結局、今に至るまで分からずじまい。亡くなっているのかもしれない。」
「それで、殿下は?」
「ヴォルフガング殿下は、王宮図書館に隠れてる。普通に御無事に暮らしていらっしゃるわ。ただ、誰にも言うな。受け取った手紙も燃やせって言われた。」
「言われた? つまり、会ったのか? ヴォルフガングに。いつだ?」




