調合35
「館内の案内をします。当図書館は蔵書、本も資料も全て貸し出し不可です。館内で閲覧していただくことになります。」
でしょうね。というか、怖くて、持ち出せないよ。アンジェリド先生に全て情報が行きそうだし。
「書架から本、資料庫から箱に入った資料を出して、こちらの机で、閲覧してください。閲覧時、本や資料を汚したり、破損しないよう、十分気を付けて下さい。」
「机で、資料の写しを取ることはできますか?」
「できます。しかし、筆記用具は、こちらから貸与したものを使用していただきます。紙類、ノート類の方はご自分で用意してください。また、依頼があればこちらで写しを代行することも可能です。」
「依頼方法を教えてください。」
「写しの代行は、学生がアルバイトとして行います。従って、定期考査や行事などの日程を確認の上、申し込んでください。大概は、引き受け手が見つかりますが、時期によっては日にちが、かなりかかることがあります。」
コピー機、この世界には無いんだなぁ。あれがあったら、一瞬なのに……。
「こちらにノートがありますので、依頼者名、依頼した日、写しが必要な本や資料の名称と、本であればページ、資料であれば通し番号を記載してください。写しの代行は文字で記された部分のみです。絵や図は含まれません。」
絵や図はダメ。まぁそうだよね。絵心の無い人の写しとか、欲しくないもん。あぁ、コピー機が欲しい。
「写しが完成したら、封書鳥で連絡いたします。あまり期間をおかずに受け取りをお願いします。受け取り時、字数に応じて学生への報酬、図書館への手数料をいただきます。お支払いは、職員証で行います。」
「本や資料の検索方法を教えてください。」
「検索は、こちらでしていただきます。」
セドリックは、一番端の書架の横に設置された石碑のようなものの前に、私を案内した。
「ここに嵌められた赤い石に職員証をかざしてください。そして、こちらの部分に、必要な項目、例えば書名、調べたい用語、著者名などを、備え付けの魔法ペンで書いてください。この検索盤専用の魔法ペンはここに準備されています。」
この石碑のようなものは検索盤と呼ばれるものらしい。
「項目を書き終えたら、こちらの緑の石に職員証をかざしてください。すると、こちらの面に、表示が浮き上がります。浮き上がったもの全てが必要であればそのまま、職員証を再度、緑の石にかざしてください。選ぶ場合は、浮き上がった表示の必要な部分のみご自身の指でなぞってから職員証を緑の石にかざしてください。」
「検索をやり直す場合はどうするのですか?」
「検索をやり直し場合は、赤い石に職員証をかざしてください。そこから同じ手順で検索してください。検索終了時にも、赤い石に職員証をかざしてください。」
検索で見つけ選択した本と資料は、図書館職員が揃えて、机まで運んでくれるそうだ。
「表示は10件までしか出ません。該当する本や資料が10件以上になった場合は、10件以上のボタンが光ります。ボタンを押すと次の候補10件までが表示されます。さらにそれ以上の表示は見る時にはボタンを押してください。その場合は最大10件までを選択した上で、緑の石に職員証をかざしてください。10件以上選択しても、上位10件目までのものしか運びません。」
「実際に検索してみていいですか?」
「どうぞ。」
私は職員証を赤い石にかざした。そして、備え付けの魔法ペンを取り“ガタパライム”と書いてから、緑の石に職員証をかざした。すると7件の表示が浮き上がった。もう一度、緑の石に職員証をかざす。
「完了ですね。カウンターの中の職員のいるスペース側に、データが転送され表示が出ます。それを見て職員が本と資料を揃えます。取り出しに時間がかかる資料だった場合には、先に揃ったものだけ運びます。検索を続けられるのであればどうぞ。検索終了ならば、赤い石に職員証をかざしてください。」
私は、机に戻って本や資料の到着を待つ。鞄の中から、持ってきたノートも出して準備した。筆記用具の貸し出しを申し出る。
最初に運んでもらったのは、『ゴンドラ大陸の魔物たち』『奇妙なる魔物』『マール探検記』『アルランメディエ王国300年の災害記録』『辺境の古代遺跡』の5冊だった。
それぞれの本の表紙部分には、蔵書印が押されたカードが貼られていた。まず1冊目の蔵書印に職員証をかざす。職員証をかざす前は小口が糊で固められているかのように広げることができなかったが、職員証をかざした後は、あっさりと、ページを捲ることができるようになった。
ひゃ~。1冊1冊、何か仕掛けられてるんだ。これは、職員証、絶対に、失くせないよ。
『ゴンドラ大陸の魔物たち』は絵図入りの魔物図鑑だった。ガタパライムのページは最後の方にあり、絵図は、予想通り、あのRPGのアレだった。説明部分は“森林や水辺などに生息し、時に大発生する。手足は退化したグニャグニャの体を持ち、跳ねて移動する。生態は不明な点が多い。刀剣類で切断することが難しい。”と書かれていた。




