表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
8/9

第五話「"Perfectio"」(前編)

昏い空間に、意識だけが浮かんで居る感覚が在る


恐るべき事に、思考を明瞭にした上で周囲を解析してもなお結論は同じだった

僕は本当に現在、意識の世界に居るらしい


『僕はいま、死を観測して居るのだろうか』

そう思いメモを取りたかったが、メモを取れる物品は何処にも存在して居らず、また本当に僕が死亡して居るのなら、観測して記録を取る意味もほとんど存在しなかった



「僕は」


「失敗したのか…………?」


本当に詮無き無駄な言葉を口にした後、僕は周囲の虚無を視渡した


意外にもそれに対する返事は返ってきた

ただし、知らない者の声に拠ってでは在るが



「それは、まだ決まって居ないよ」


眼前に異様な魔女が現れた為、何が出来るわけでも無いものの僕は身構える

不意に何も無かった場所に現れたのは、暁光の様な明るい色で織られた衣を纏った、派閥の読めない出で立ちの少年だった


服装や漂う魔力の匂いからすれば、魔女である事は疑いの余地が無い気もするが、魔女で在るのならばこの様な明るい色彩を好む筈が無い

様々推測を挟んだ後、僕は彼に問い掛けた



「君は、5人目の魔女なのか?」


何を言われたのか解らないような顔で、少年がきょとんと僕を視る

しかし直ぐに思い当たったらしく「うーん……」と答えた後、「そうかも知れないね」と続けた



「君は、どういう思想派の魔女なのだ?」


「この場所は何処だ?」


『この少年は、今がどういう状態なのかを識って居る』

そう思うと、次々と質問が口を衝いて溢れる


僕にとっては予想だにして居なかった反応だったが、少年はこの質問が非常に痛快であったらしく、きつく眼を閉じながら腹を抱えて笑い始めた



「そうさな……君達の定義で言うのなら『放浪派』なのだろうが」


笑い終えた少年が言う

彼が笑う意味すら、まだ僕は解らなかったが、どうもロクな事の様な予感はし無かった


 

「敢えて名乗るなら、私はねえ」


「───『完全者』とでも名乗るべき者なんだ」



「あっ、ヴェル!無事だったのか!!」


聞き慣れた声

視れば、Argentumが、遠くの暗がりから僕の方へ手を振りながら走り寄って来て居た






恐ろしく嫌な予感がした


動悸が暴れ狂って居る

僕は思わず左胸に手を当てて、予感を握り潰そうとした

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ