新イベントにかこつけて・・・
4/22、文章の一部を修正。
バレンタインが1週間前に差し迫った頃。
2日前にインフォメーションにて知らされていたバレンタインイベントが、早くも開催された。
内容としては、一部のモンスターから特殊なバレンタインイベント専用素材がドロップするようになり、それを一定数集めてバレンタインイベント専用装備を作成。
それらを以って、バレンタイン当日に襲来する大型のレイドボスを撃破せよ……というものだ。イベント特攻効果でも付くのだろうか?
ちなみに、その大型レイドボスのシルエットが今日のインフォメーションにて先行公開されていたのだが……。
どう見ても巨大ロボでした。本当にありがとうございました。
何でバレンタインイベントにロボットなのか? という疑問は置いておいて……。
オレたちは、イベントにおける行動方針についてギルドハウスで話し合う事になった。
「…じゃあ、やっぱり3階層に行った方が良いのか……」
「うん。『ダンジョン内モンスターからはバレンタイン専用素材はドロップしません』ってあるし、3階層の方が効率的にもおすすめするわ」
今いる第2階層はいたるところにダンジョンがゴロゴロしているエリアであり、故に外の森をうろついている魔物はほとんどいない。いてもバットのような貧弱な魔物がせいぜいである。
第1階層の魔物は総じてドロップ率が渋いらしいので、それならば第3階層へと移動した方が効率が良い。
ちなみに、トッププレイヤーのほとんどは第8階層以降まで降りている模様。これだからPSお化け共は……。
「3階層に降りたら、後はひたすら魔物狩りね。見晴らしも良いし、獲物探しは苦労しないでしょう」
「あの、ちょっと良い?」
「何かしら?」
「「何ですか?」」
「オレ、まだ3階層に降りた事無いんだけど、どんなところなの?」
そう。
オレはまだ、第3階層へは降りた事が無い。
3階層へ降りる為には、〈天空竜の塔〉という縦長のダンジョンを攻略しないといけないのだが、オレはまだチャレンジすらしていなかった。
だって、塔がデカ過ぎるんだもの。
あの"ピサの斜塔"並にデカい塔の最上階まで階段で上がって行かなくちゃいけない上に、道中にも中ボス級の魔物が数体出現するという話だ。(サクラちゃん談)
そんなところにひとりで挑む気力などあまり湧かず、先日まで延々と色んなダンジョンに潜りまくっていた。
おかげでレベルは10程上昇し、ナックル武器の熟練度も1レベル上昇した。
新たに"鋼鉄の守護者"という(多分)隠しスキルも手に入れた事だし、そうそう負ける事は無いとは思う。
素材集めを3階層で行うという事であれば、オレも重い腰をあげて挑まねばならないか……。
「3階層は、一言で言えばとっても広い高原エリアですよ」
「あ、そうなんだ」
「はい。出てくる魔物もイノシシやダチョウのような"突進力と機動力が高い魔物"が多く出現します。鷹のような上空から滑空してくる魔物もそこそこいますので、AGIが低いフリントさんにはやや厳しいかもしれませんが……」
「確かに……」
オレはこれまで、SPは全部VITに全振りしてきた。AGIなどはただの1ポイントたりとも弄ってはいない。
だが、オレには一応の秘策があったりする。
するのだが……。
「あら。フリントくんにはアレがあるじゃない。クラシックメイド服が♪」
「……ハハッ」
そう。
こないだ初参加した大会で使用した、オレ専用の装備。
ユリネさんがノリノリで仕立て上げた、VIT以上にAGIステータスがモリモリで上昇されるメイド服である。
確かに、あれを装備すればオレのAGIが低いという欠点は克服される。
加えて、今のオレならば素でVIT値補正が乗算されるスキルを2つも持っているので、素の防御力もアホみたいに高い。
素早くて硬い、しかして攻撃力は今ひとつな訳分からん状態にはなるのだが、そこはまぁ挟めば良い。何なら毒まみれにしてやっても良いし、そこまで気にする事でも無いか。
「そ・れ・に」
「?」
「実は、サクラちゃんとスミレちゃんにも新しい衣装を用意してあるの♪」
「えっ?!」
「本当ですか?!」
ユリネさんの一言に食いつく双子。
というか、とうとう衣装って言っちゃったよこの人……。
「う〜〜〜ん、やっぱりよく似合ってる! やっぱり、私の目に狂いは無かったわね♪」
「そ、そうですか……?」
「うう、ちょ、ちょっとだけ恥ずかしいんですけど……」
普段元気で前向きな発言ばかりのサクラちゃんですら、今回ばかりはもじもじしてて若干恥ずかしがっている。
それもそうだろう。
今2人が着ている装備は、メイド服なのだから。
人によってはうっとりする程喜びそうな衣装だが、2人にとっては恥ずかしいらしい。
というか、2人がそんなだとクラシックメイド服を装備した事のあるオレはどうすれば……。
「うぅ〜ん、でもさすがにヴィクトリアン風メイド服はやり過ぎたかしら……? やっぱり現代風のメイド服にした方が……。いやいや、でも今のままでも似合っているのは確かだし……、むむむ……」
ぶつぶつとアレコレ呟きながらも、スクリーンショットを撮る手は止まらない。
そういうところはさすがだな、ユリネさん……。
「でも、まぁこれはこれで良いわよね! メイド3人組のパーティーだなんて絶対目立つし、ビジュアル的にはもう優勝ものよ!」
この人はいったい何処を目指しているのだろうか……。
「という訳で、3人とも塔に行ってらっしゃい」
「え?」
「「え?」」
「フリントくんも、ちゃんとあのメイド服に着替えてね」
「え?」
「それじゃ、頑張ってね〜♪」
「「「え?」」」
そりゃあ、確かにそろそろ行かなくちゃとは思ってたけども。
本当に行けと?
この格好で?




