天空竜の塔へ
「ここ、かぁ……」
オレはサクラちゃんとスミレちゃんと共に、第2階層の最北端にある〈天空竜の塔〉へとやって来た。
めちゃくちゃ高い塔だ……。
聞くところによると、この塔は全30階。奇数階は北側、偶数階は南側に階段があり、1階層毎にダンジョン内を縦断していかなくてはいけない。
頂上までは決まったボスはいないものの、道中でたまーに中ボスクラスの敵と接敵する事があるという。
総じて、聞いてるだけでも非常にめんどくさいダンジョンだ。10階毎に入口まで戻れる〈帰還ポータル〉が設置されてるだけ、まだ良心的か。
「あぁ、入る前から帰りたい……」
「フリントさん……」
「分かってる。……行こうか」
「はい!」
「頑張って行きましょう! わたしたちもサポートします!」
「うん。よろしく」
2人に励まされながら、オレは意を決して塔へと足を踏み入れた。
◆◆◆
「グオオオオッ!」
「ジャマ」
「ギャアアアアァァァ……」
攻略開始から30分が経過。
オレたちは現在、12階層目を爆進中。
道中出てくるモンスターを片っ端から蹴散らしながら突き進んでいた。
ちなみに、オレは今のところノーダメージである。
「凄いですね、フリントさん……」
「うん?」
「出会った魔物は全部一撃、しかもここまでノーダメージじゃないですか。実力はトップランカーにも引けを取らないのではないでしょうか?」
「それは無いと思うけど……」
だって、まだレベル38だし。
トップランカーたちは今、100位以内は全てレベル80以上。特にトップ10は全員がレベル90を突破している。
今のオレなんて、そんな化け物たちとは比べるまでもない。
「ちなみに、フリントさんは今レベルはいくつなんですか?」
「38かな」
「え? さ、38……?」
「うん」
「VITはいくつくらいか、聞いても良いですか?」
「1000は超えたね」
「「えええええ?!!!」」
「?!」
2人は思わず叫び声を上げた。
「どうしたの? そんなにビックリして……」
「どうしたもこうしたもありませんよ!」
「フリントさんのVITの数値がおかしすぎます!」
デスヨネー。
「わたしももうすぐレベル50いきますけど、STRはとても1000までは届きません……」
「しかも、VIT1000という事は、HPは10000を超えたという事です。それだけの耐久力があるなら、ボスの攻撃も耐えられそうですね」
「あの、ちなみにボスというのは……」
「天空竜スカイワイヴァーンですね。強力な物理攻撃と中範囲火炎攻撃をしてくる強敵です」
「防御力も高くて、物理攻撃はほとんど効きません。オマケに空を飛んでいるので、攻略方法は実質魔法攻撃だけだと思います……」
「それじゃ、2人はどうやって倒したの……?」
オレが知る限り、サクラちゃんもスミレちゃんも攻撃魔法は持っていない。
空を飛んでいるのなら、攻撃手段はスミレちゃんの弓矢攻撃のみのはず。
いったいどうやって……。
「スミレちゃんの奥の手を使って突破しました」
「奥の手?」
「わたしの最後の切り札なので、まだ内緒です……」
「そっか……」
それじゃあ仕方ないな。
いつかの時のお楽しみに待っておくとしよう。
「さて、先はまだ長い。ちょっと急ぐよ!」
「「はいっ!」」
時間短縮の為、オレはサクラちゃんに先導してもらいつつペースを上げて次の階層へと進んでいった。




