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ノワール・ルージュ2  新大陸編  作者: 花屋敷


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第25話


 翌朝にラエの要塞を出たノワール・ルージュら一行は途中で野営をして翌日の夕方にモレスビーの街に戻ってきた。


 ギルドの会議室にはノワール・ルージュの他にボルケーノとホワイトタイガーのメンバー合計12名が入り北部での状況を報告する。


「ノワール・ルージュの2人ならまぁ低ランク相手ならそうなるな」


 500体程の獣人の村を完全に壊滅したという報告を聞いたギルマスのコーエンが言った。


「ランクAもいたけど彼ら2人から見たら敵じゃないからね」


「そう言う事だ」


 ジャンの言葉に答えるギルマス。

 そうして今後の作戦について打ち合わせをする。デイブが獣人から聞き出した情報を基に今後のノワール・ルージュの作戦を説明し終えると、


「いいだろう。川のこちら側の拠点が3つあるとわかったのは有益な情報だ。そしてまず東西の村を攻めて最後に中央の橋の近くにある要塞を攻めるという作戦も問題ないな」


「マスターは以前そこに要塞が有ったのは知ってたのかい?」


 クラウドが聞いてきた。その言葉に頷き、


「知っている。以前俺が冒険者だった頃はよく泊めさせて貰ったよ。頑丈な作りになっていて中も結構広い。当時は軍隊の兵隊が半年から1年単位でそこに駐在していたと聞いている。


 マスターがそう言うとプリンスがノワール・ルージュに顔を向け、


「頑丈な作りらしいけど籠城されたら攻略に苦慮するんじゃないのか?」


「大丈夫だろう。あいつらは単純だ。勝手に門を開けて突撃してくるさ。それに」


 デイブはそう言って続けて、


「仮に籠城したとしても奴らが要塞の中から撃つ魔法や弓は俺たちには当たらない。城壁の外から魔法を撃って顔を出している雑魚の数を減らしていきゃあいい。そのうちに痺れを切らせて門を開けて大勢で突撃してくる。そうなったらこっちのもんだよ」


 あっさりと言う。隣でダンも頷いていた。周囲はその話を聞いて改めてこの2人は自分達の戦闘の常識が通じない相手なんだと再認識する。


 要塞の中から魔法や弓を撃たれれば近づくことが難しくなると言うのが普通の感覚だがこの2人は敵の攻撃が当たらないと言い切っている。確かにクラスというか技量の差が大きいので魔法は当たっても効果を与えることができないだろうし弓程度のスピードなら苦もなく交わしていくか剣で弾き飛ばして終わりだろう。


「そうだった。お前さん達を俺達の物差しで判断したらいけなかったんだ」


 プリンスは自分で言っていたことばを取り消す様に言った。その後はダンとデイブが考えている領土回復作戦を理解してもらうためにギルマスがリサラ、パール、そしてセロスの最前線になっている各都市のギルドマスターに手紙を書いてそれをボルケーノが現地で渡し、同時に現地のギルド所属の冒険者にも協力を仰ぐことにする。


「ここからリサラまでは徒歩で1週間ほどだ。それからパール、そしてセロスもそれぞれ1週間程歩いたら着く距離だな。今の話だとまずセロスまで向かってそれから北上して獣人の西の拠点を殲滅、それから中央の要塞に向かうってことになるな」


「その通り。ただ、要塞の攻略時にはそれなりの数の冒険者も俺達と距離を置いて同行してもらいたい。要塞を落とすとすぐにそこに入って守るためにな。それで軍隊が来るまでそこで持ち堪えてもらう」


 ギルマスの後に続いてデイブが言った。


「わかった。作戦については事前に王都のギルド経由で城に連絡をしておく様に頼んでおこう。デイブの言う通り折角取り返した要塞をまた乗っ取られたら意味がないからな」


 そう言ってから


「それでお前達は要塞を落としたらそのまま川を渡って獣人領に入っていくつもりなのか?」


「今のところはそのつもり。食料や水の減り具合でひょっとしたらどこかの街に戻って補充をするかもだけど」


 デイブが言うと


「要塞を攻める時についていく冒険者に食料や水を多めに持たせよう。そうしたら町に戻る必要がないぞ」


「なるほど。そりゃいいアイデアだ」


 ギルマスの提案に賛成する2人。とりあえず今日、明日とモレスビーで過ごして明後日に次の街であるリサラを目指して出発することとなった。



「もっと踏み込んで」


「そうそう今の感じだよ」


「剣を打ち込んだらすぐに次の攻撃の準備だ」


 ギルドの鍛錬場でマリアンヌがデイブと模擬戦をしている。マリアンヌの依頼を受けたデイブが毎日夕食前に彼女に剣を教えているのだ。


 そうして時々動きを止めるとデイブが体を使って剣の使い方を体現し、マリアンヌがその型を真似てそして再び模擬戦という鍛え方をしていた。


 鍛錬場のベンチに座って2人の模擬戦を見ているとそこにホワイトタイガーのプリンスがやってきてダンの隣に腰掛ける。ダンと同じ様に鍛錬場にいる2人に顔を向けて、


「マリアンヌが教えてくれって言ったらしいな」


「ああ。なかなか筋がいいよ。彼女はまだまだ伸びるな」


「ほぅ。ダンのお墨付きか」


「ある程度のレベルまでは鍛錬したら誰でもうまくなる。そこから更に上に昇っていく奴は努力以外の部分が影響してくる」


 普段無口のダンが話しをする機会はそう多くない。


「努力以外って才能のことか?」


 とプリンスが聞いた。

 その言葉に首を振るダン。顔は鍛錬場の2人に向けたままだ。


「才能が全てじゃない。一番大事なのは向上心だよ。強くなりたいという気持ちこれを常に持ち続けることができる奴は伸びる。才能のある奴はある程度まではいくがたいていそこで止まる」


「つまり超一流にはなれないってことか」


「と俺は信じてる。そしてマリアンヌは向上心の塊だ。だから彼女は伸びる」


 そう言ってしばらく鍛錬場を見ていたダンが顔を鍛錬場に向けたまま口を開いた。


「俺もデイブも前の大陸で冒険者を始めた時はそれこそそこらに沢山いる初心者冒険者と一緒だったよ。でも2人とも強くなりたいという気持ちはその時からずっと持っていた。2人でパーティを組んだのがランクCになった時だ。お互いに強くなりたいと言い合っていて毎朝鍛錬をした。毎日市内をランニングそれから素振り、それらをしてからギルドにクエストを受けにいったのさ。ランクなんて全く気にしていなかった。ただ強くなりたい、格上の敵を倒したい。それだけを目標にして鍛錬を続けていた。その鍛錬は前の大陸でランクが上がっても基本毎日続けていたんだ」


 聞いていたプリンスは内心でびっくりしていた。ダンとデイブは持って生まれた才能を開花させたものだと思っていたからだ。実際に今彼の話を聞くとそうじゃなくて2人共冒険者になってクエストや魔獣退治だけじゃなく体力や剣の技術を上げる訓練を絶え間なく続けてきた、その努力が今の2人につながっているのだと。


「つまり努力すれば俺達もお前達の様に強くなれるってことだよな」


 プリンスが言うとその時になって初めて顔をプリンスに向けたダン。


「そう言うこと。訓練の開始のタイミングに早い遅いはないよ。やる気がありゃその時から始めたら間違いなく伸びる」



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