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ノワール・ルージュ2  新大陸編  作者: 花屋敷


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第24話


 開かれた要塞の門から中に入ると集まってきた全員の前でデイブが報告をする。ホワイトタイガーの連中は王都で魔人を相手に手を切り落としたダンを目の当たりにしていたので驚かなかったが他の連中はデイブの話を聞いてびっくりしていた。


「俺達は王都でダンが実際に魔人の両手を肩から切り落としたところを見ている。周囲にいた全員、俺たちも含めて全く動けなかった中、この2人だけは平然として魔人の手を切って、奴を脅していた。そんなノワール・ルージュならAクラスは何も問題がなかっただろう」


「プリンスの言う通りでね。ダンが片手を切り落としたところでペラペラとしゃべりだしたよ」


 デイブの言葉で冒険者達の視線がダンに注がれる。当のダンは相変わらず黙って座っているだけだ。普段が無口でおとなしい故にその外見からは全く想像がつかないが、冒険者達はその無口でおとなしいダンの戦闘能力が半端ないことは知っていた。


「ノワール・ルージュの2人が桁違いの強さを見せたからでしょうけど私たちが村の外にいると村から逃げてくる獣人がいたけれども皆恐怖に慄いていたわよ」


「そうそう。Bクラスだったけど普段のBクラスとは全然違った。俺達人間を怖がっていたな」


 マリアンヌとジャンが言った。


「そりゃそうなるだろう。村の外にでてきた100体以上の獣人をあっという間に倒し、村に入ってきたと思ったら自分達より上位にいるAクラスの連中を瞬殺されりゃあ獣人達も恐怖に慄くだろう」


 ホワイトタイガーのジョンが言うと周囲にいる冒険者達も頷く。周囲は頷きながらも改めてノワール・ルージュの凄さに驚いていた。


 この大陸でたとえBクラスとは言え50体以上の獣人の集団が襲いかかってきてそれを普通に倒しきれる奴はいない。ここにいるAクラスの連中だって日頃から無理だと言っている。そんな中たった2人であっさり倒して平然としているノワール・ルージュ。


「ノワール・ルージュが掴んでくれた情報だと川のこちら側にある敵の拠点は3ヶ所。その内の1ヶ所は今回潰した。残り2つだがどうやって攻めていくつもりだ?」


 プリンスが2人を見て聞いた。


「橋のある要塞は最後にした方が良いだろう。そしてできれば要塞を落とすと同時に冒険者か軍を駐留させた方がよい。でないとまたやってくるからな。要塞をしっかりと確保できれば国境線を以前の位置まで戻せたということになって俺たちも王女から頼まれた約束を果たせる」


 皆デイブの話をじっと聞いている。


「なので今度はまず西の村を落としたい」


「となるとモレスビーに戻ったらそのまま西に進んでセロスの街からコープ要塞を起点に北上する感じになるか」


 テーブルの上に置かれている簡単な手書きの地図を見ながらホワイトタイガーの精霊士であるバーンズが言う。


「そうなるわね。セロスの街に行く途中にある2ヶ所のリサラとパールの街にも寄っていきましょう。そこでノワール・ルージュを紹介して領土回復プランを彼らにも説明しておいた方がいいわね」


「そうだな」

 

 マリアンヌの提案に全員が頷いた。


「俺達は明日モレスビーに戻ろう。そしてBクラスの誰かに王都に行かせる。東の拠点の村を壊滅したことと今後の方針を王都のギルドに話をすると同時に王都ギルド経由で軍の再編成状況を確認しよう」


 プリンスが言った。


「軍はまだ再編中だとは思うがこの要塞を奪回できればそこに先に駐留させると防御が格段に上がるな」


 ボルケーノのジャンが言うと頷く周囲のメンバー。


「いいアイデアだ。ついでに冒険者も同時に駐留させるとなお良いだろう。ということで方針は決まったな」


 プリンスの言葉を最後に打合せは終わった。ここラエの要塞は当分安全になるだろうとBクラスを数組だけ残して残りはモレスビーに戻る事にする。ダンとデイブは口を挟まずに彼らのやりとりを聞いていた。ホワイトタイガーとボルケーノはこの国の冒険者の動向に詳しい、彼らに任せておけば安心だ。



「さっきの話だけど」


 会議を終えて夕食を済ませ皆思い思いに時間を過ごしている時、壁に上半身を預けて休んでいるデイブとダンのところにマリアンヌが近づいてきた。話かけてきた彼女の言葉に顔を上げる2人。


「橋の要塞を取り返してそこにこちら側の人を駐留させるのは分かったんだけど、そうなったらお二人は橋を渡って獣人領に乗り込んでいくつもりなの?」


「そのつもりだよ。正直こちら側だと俺たちの鍛錬にならないからね」


「それとも逆にこっちから獣人領の領地を奪いに行ってほしいってことかい?俺はそれでも構わないけど」


 デイブに続いてダンが言うとそうじゃないのと首を振るマリアンヌ。


「こっちにいる間だけでも二人に剣の指導をお願いできないかと思って」


 この2人の様に強くなりたいとマリアンヌは出会った時から思っていた。このジュエノ王国ではそれなりに上位のクラスにいたつもりだったが目の前の2人の実力を目の当たりにすると自分がいかに非力で弱いのか痛感させられた。


 なんとかこの2人から剣の技術を学びたいとマリアンヌは声をかけてきた。


「獣人の拠点を討伐する時に後ろからついていくと言ったのもそれが理由の1つかな?」


「そうなの。見てるだけでも勉強になるかなと。実際は剣捌きが早すぎてほとんど見えないのだけどね」


 2人が座っている前に腰を落としたマリアンヌが苦笑して言った。


「いいんじゃないかな。上手くなりたい、強くなりたいと思う気持ちがある奴は目的を持って鍛錬をするから上達するのが早いと俺は思っている」


 マリアンヌの話を聞いたデイブが言ってからダンを見てどうだ?と聞いてきた。ダンもその通りだと頷き、


「向上心のある奴は強くなる。俺もそう思っている。剣ならデイブに教えて貰うといいよ。彼は教えるのが上手いから。俺は感性で剣を振っているだけだ。デイブはそうじゃないからな」


 マリアンヌはダンの話を聞いてからデイブを見ていいかしらと聞いてきた。


「いいよ。今日はもう遅い。明日からやろうか」


「お願い」



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