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ノワール・ルージュ2  新大陸編  作者: 花屋敷


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第23話


 ダンとデイブは地面にへたり込んで戦慄いている獣人に近づいていく。2人が近づくと右手を切られているAクラスの獣人が後退りする。その顔は恐怖で歪んでいた。


「もう一度聞くぞ。この近くに他にお前達の村や要塞はあるのか?」


 冷め切った表情のデイブが獣人に顔を近づけて言った。


「あわわ…こ、ここから川に沿って10日程行ったところに要塞がある。そこには川を渡る大きな橋があるんだ、その橋の近くにあった人間の要塞をそのまま俺たちの拠点として使っている」


「その要塞以外には?他にもあるんだろう?」


「要塞から先、川沿いに歩いて10日程のところにここと同じ様な村がある」


「川のこちら側に合計3つのお前達の拠点があるってことか?」


 デイブの言葉に激しく頭を上下に動かして頷く獣人。


「他には本当にないんだな?」


「無い。その3ヶ所だけだ。なぁ聞かれた事にちゃんと答えただろう?だから許してく…」


 獣人がそこまで言ったときには既にダンはAクラスの獣人の首を刎ねていた。そうしてすぐに2人は左右に分かれると周囲にいたBクラスの獣人を殲滅していく。獣人は今や人間を襲うどころか逃げ回っていた。


 デイブが民家に火をつけた。木でできている民家はすぐに派手に燃え出し隣の民家に延焼し大きな炎と煙が空に向かって伸びていった。



「村の中から火が出たわよ」


 マリアンヌの声でボルケーノのメンバーが丘の上から飛び出した。小走りで村に近づいていくと中からBクラスの獣人が出てきた。


「Bクラスよ、倒しましょう」


 ジャンがナイトのスキルである挑発スキルを発動すると逃げようとしていた獣人がボルケーノに気づいた。ただいつもと様子が違う。いつもなら唸り声を上げて襲いかかってくるのに何か怯えている様子なのだ。


 ジャンのスキルで立ち止まったままの獣人に戦士のブルーとマリアンヌが切り付けクラウドが精霊魔法を撃つとあっさりと獣人が倒れ込んだ。


「いつもより弱い?」


「かも。それよりまた出てきたわよ。きっと中でノワール・ルージュが暴れまくってて逃げ出してきてるのよ。出てくるのはBクラス。私たちの出番よ!」


 ボルケーノは村の出口に陣取ると近づいてくるBクラスの獣人を次々と倒していく。皆いつもの迫力がなくされるがままだ。中にはボルケーノを見て村の中に引き返していくやつもいる。


 Bクラスを何体か倒してメンバーは気がついた。これはマリアンヌが言った様に俺達人間を、いやノワール・ルージュの恐怖から逃れようとしているのだと。


 Bクラスが連続して近づいてくるが戦闘意欲がなく目の前の恐怖から逃げようとしているだけの獣人はボルケーノに取っては苦労する相手ではない。


 何体か倒して村の出口から中を見てみるとそこらかしこの家屋から火が立ち昇っている。そしてそこら中に頭と胴体が綺麗に2つに分かれた獣人の死体が転がっていた。


 しばらくして村の奥からノワール・ルージュの2人が近づいてきた。ボルケーノを見つけて軽く手を上げてくるデイブ。ダンはその背後で周囲を警戒していた。


「村から出ようとしたのが何体かいたけど倒してくれたみたいだな」


「ええ。20体程倒したわよ。他は?」


「今全部片付けた。この村にはAクラスが5体いたけど全部倒した」


 デイブはそう言って。そこら中にある獣人の死体を見て


「このまま放置するのもまずいだろうから焼いてしまいたいんだがいいか?」


「俺も手伝おう」


 クラウドが言い、とりあえずAクラスの5体の魔石だけ取り出すと、3人で村ごと完全に焼き尽くす。そうして村の外の草原に倒れている死体も全て炎の魔法で焼いていった。


 その間マリアンヌらは周囲を警戒していた。全てが終わった後でデイブがボルケーノのメンバーに、


「この村にいたAクラスの獣人に聞いたがここから西に10日程歩いたところに獣人の要塞があるらしい。何でもそこには川を渡る橋があり、橋のこちら側の近くに人間が作った要塞があったらしいが今はそれが獣人達の要塞として使われてるそうだ。そしてそこからまた西に10日程歩いたところにはここと同じ様な村があるらしい。川のこちら側にある獣人の拠点は3ヶ所みたいだ」


 デイブの話を聞いていたマリアンヌはびっくりする。Aクラスから聞き出しただと?

ジャンも同じ様に思っていたらしく


「聞き出したって、Aクラスの獣人から聞き出したのか?」


「そうだよ。他に聞くやつはいないだろう。Aクラスは5体いた。1体は俺が倒して3体はダンが倒した。そうして1体だけ残してそいつから聞き出したんだよ。最初は言うのを渋っていたからダンがそいつの右手を肩から切り落としたらしゃべってくれたよ」


 あっさりというデイブ。ボルケーノのメンバーは王都でこの2人が魔人を相手に同じ様に痛めつけて聞き出したところは見ていない。見ていないが王都で魔人の手を切り落として聞き出したというこの2人ならAクラス相手なら何も問題がないだろうと思いデイブの話に納得する。


「俺は橋があってそこに軍の要塞があったという話は以前聞いたことがある」


 クラウドが言うとマリアンヌとジャンは聞いたことがあるというがブルーとジャスミンは聞いたことが無いと言った。


「いずれにしてもそこまで行かないとあいつらの拠点はないらしい。ということはこの地区の探索はここまでにして一旦ラエの要塞経由でモレスビーに戻った方が良いと思うんだが」


 デイブが言うとそうしようと全員が同意する。その頃には獣人の村は完全に燃やし尽くされていた。燻っている黒い煙が元村のあった場所から立ち昇っていた。


「これで安心だろう」


 デイブはそう言って前を向くと歩いて来た道を引き返していった。ボルケーノが後に続く。


 帰る途中ではほとんど魔獣に合わずにラエの要塞に戻ってきた一行。彼らが要塞に入るとちょうどそこにはホワイトタイガーの連中も詰めていた。



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