第19話 アモン「やることがあるから」
2人の先生を外に追い出したアモン。
「何その技!?」と急な出来事に混乱した人は少なくはないだろう。
いつ、そんな力を手に入れたのか。
いつそれを知ったのか。
それは、数時間前に遡ることになる――。
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リキとタカユキの決闘から帰ってきたアモン。
ふと、気になったことがあり、帰ってくるなりすぐに部屋に入っていった。
気になったこととは?
それは……
「『ステータスオープン』」
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名:枦本 朱紋 Lv.5
男性 歳《秘密》
H P:120/120 M P:33/53
STR:5 CON:16
POW:10 DEX:6
AGI:7 INT:0000/(99+)
LUK:54
スキル:
メティスの叡智
職称:
賢者
聖武器:
メティスの記 Lv.4
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そう呟き、すぐさまレベルを確認する。
だが、最初に見た時に変わりなく、そこにはLv.5と表記されていた。
「あぁ〜、さすがに補助じゃレベルは上がらないか」
確認したかったのは、あの化け物を倒したことによる利益。
自ら補助に回ったのはいいが、詠唱時間、本に書いてある呪文のページを探すのに時間がかかり、あまり敵に攻撃ができていなかった。
そのせいなのか、レベルは上がっていない。
だが、さすがにゼロという訳では無いらしく、レベルが表記されている下には、何やらメーターらしきものが現れており、その半分以上が埋められていた。
「めっちゃゲームじゃん……」
そう思いながらも、下の方へと目線を移していき……聖武器のところで目を止める。
「これ……!レベル上がってんじゃん!!」
そこには『メティスの記』と書かれ、その横には何も無かったはずなのに、『Lv.4』と表記されていた。
きっと、初っ端から中級魔術である《束縛の茨》を使ったのが理由だろう。
そして、レベルが上がったことを知ってすぐ、概要をチェックするために画面をタップする。
すると……
『Lv.1【概要】
【メティスの記とは】
メティスの記とは、この世の知識を司るメティス神が記した、神聖なる書物。
これを読めば、この世に起こった自然現象、地形、地質の変化、空間的な変化、天文学、生物学、魔法学など、自然の様々な知識を得ることができる。
とくに、魔法学では、この本を使えば如何なる技術が無くとも使用することができる上に、必要魔力量の4分の1をこの聖武器が代用してくれる。
しかし、発動時間、詠唱時間共に2倍近く長くなるため、速度を意識するのならば技術を身に付け、魔力量を増やし、体に覚えさせた方がいいのかもしれない。
Lv.2【概要】
【新技術解禁】
よく使ってくれているようで何よりだ。
今回のことでわかる通り、聖武器にはレベルが存在する。
もちろんだが、レベルが上がればその武器の能力値も上がる。
そして今回は、この本に新しい技術が追加された。
それは、『魔法創造』の技術。
この本を読んでくれた者なら分かるかもしれないが、この世には『魔法基礎元素』という物が7つと、『基礎元素化合魔素体』というものが存在する。
『魔法基礎元素』を例としてあげるならば、
1つ目は、『火』。
2つ目は、『水』。
3つ目は、『土』。
4つ目は、『植』。
5つ目は、『風』。
6つ目は、『闇』。
7つ目は、『光』。
魔法には必ずこの基礎元素が1つ以上含まれている。
そして、この基礎元素を微量に混ぜ合わせたものが、『基礎元素化合魔素体』、略せば『化合魔素』である。
そうして、『化合魔素』を現実に具現化させた物が、魔法となり、敵にダメージを与えたり、味方を回復させたりする。
つまり、『化合魔素』をあらゆる方法で合成し、数千、数万、数億種類にものぼる化合のパターンを行えば、魔法を作る……『魔法創造』が可能ということだ。
そう、それが今回の新技術である。
たまにだが、体質により、生まれた時から『化合魔素』を保有した『特殊魔術師』という者もいるが、実を言うと意図的に作り出すことも可能だ。
空気中、もしくは自身が発動させた魔法から元素を汲み取り、生成することができる。
そしてーー。』
「なっっっっっが!?」
ずらりと概要が並び、読むのに一苦労しそうなほどだった。
だがしかし、アモンはこの程度では音を上げることは無い。
アモンは独自に身につけた『速読』で、わずか15分も経たないうちに読み上げてしまった。
しかし、詳しい内容を知るにはやはり中身を見る他ないそうで、概要を呼んだだけでは表面上の内容しか知ることが出来なかった。
「しょうがない……かなり時間がかかるとは思うが、読むしかないな」
そう呟いて、アモンは分厚い本を開く。
いったい何ページあるのだろうか。
ペラペラとページをめくってみるが、まるで終わりがない。
そこで、そういえばと最初に本を読んだ時のことを思い出す。
「確かここら辺に……あれっ、どこだ……あ、あった。2ページ……『この本に終わりはない。どれだけ読み進めようと、無限に続く』……今更だけどヤバいな。これ」
そう。その本は、文字通り無限にページが続く本だった。
しかし、レベルのせいなのか、途中から読むことの出来ないページが続いている。
きっとレベルが上がれば『解禁』されるのだろう。
どこまでもゲームのようだ。
とはいえ、読む手は止めない。
長々と読み続け、たまに書いてあった内容を試してみたり色々と試す。
「特殊効果、『呼び声』、使用者に従順なこの本は、それを唱えることで、どんな場所にあろうと、使用者の手元に戻ってくる。……『魔法蓄積』……先に魔力を消費することで、時間も魔力もかけず、発動することが出来る……」
ペラペラとページをめくっていく。
ブツブツと呟きながら、知識を自分の頭に蓄積していく――。
「なるほど、これはこういう……あ、これって組み合わせたら……いや、これはちょっと………………ん?これ……いや、ちょっ、ちょっと待てどういうことだ?これは……これが本当にそうなのなら……」
何度も何度も読み返し、書き込まれていることを完全に記憶しようと、その多大なる集中力を働かせる。
時間は11時を回り、1度寝て起きても、手から本を話すことは無い。
もはや賞賛すべきその集中力。
そうして、両手が本のページでいっぱいになってきたその頃、ドアの向こうからノックの音と聞き覚えのある声が聞こえてきた。
『コンコンっ』
「アモン大丈夫ー?」
いきなりその声がして、慌てて本を閉じて返事をしてみるが、足をタンスにぶつけ、足を滑らせ、尻もちをつき、その勢いで周りの物を巻き込んでしまった。
『ガラガラゴロゴロドンドンガッシャーン』
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と、いうことが、今回の成り立ちである。
そして、なぜアモンは先生たちを外に出したのか?
それは、また別の話。
ただ、言えることといえば、この話はフィクションであるということだけだろう。




