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第20話 お見舞いに行く……?

『よぉ、ケイタ。』


とある部屋の通信室で、そのような声が聞こえてくる。

ゆったりとした口調で、どこか癒しのようなものも感じる。


『いきなりどうしたんだよ?ソラ?』


そのように応えるケイタ。

その声からは、めんどくさいというような印象を受ける。

ため息混じりになっていて、どこか疲れているような気もする。

と、そんなところに、ソラがまた話を続けた。


「なんかリキとタカユキが大怪我したらしいからさ、コウセイ達を誘ってからお見舞い行こうぜ。じゃ、あとはよろしく」


「へっ!?何それ……いや、俺に言われても……!え、ちょっ、おい!は……?いきなり通信して来たかと思えばなんなんだ……?アイツ……」


と、言っておきながらも、しっかり コウセイとカイシに連絡するケイタ。

少々愚痴をこぼしながらも、通信機に手を掛ける。


「……と、いう感じでお見舞いに行こうってなったんだけど行くか?」


きっと、王室でリキとタカユキの状況を知らされていたからだろう。

すぐにオーケーされた。

そうして、「どうせなら今から行こう」ということになり、ケイタを通じて今から行くことをソラに再び伝えられる。

効率なんてあったもんじゃないが、かなり働いてくれたケイタにそれぞれは感謝しながら、集合場所に集まった。


「……で、食堂に来たんだが。…………ソラが来ない……」


「おっせぇ〜……」


と、話しているところに、ちょうどソラがやってきた。


「いやぁ〜、ごめんなぁ〜遅れたわぁ」


「いや、遅せぇよ」


「言い出しっぺが5分も遅刻してどうすんだよ〜」


「いや、それがさぁ、、、」


と、話を続け様どしたところに、何者かの高らかな笑い声が響いてくる。

その声質からは、かなりテンションが上がっていることが聞いて取れるだろう。


「なっ、何この笑い声!?」


「ハーッハハハハハハハ!!!」


「またこれやるのかよ……」


「またって何!?てか、この声うるさっ!」


なぜか呆れるソラと、混乱する3人。

当たりを見回しても、聞こえるのは笑い声のみ。

と、そんな時……


《バサァッ!》


布を大きく広げる音と共に、急に目の前に1人の少年の姿が現れる。


「よぅお前らァ!俺が来たZE☆」


「うわっ!?急に出てきやがったこいつ!!?」


「すげぇ!それスキル!?」


「てかその格好なんだよ!?怪盗!?コスプレ!?」


「まさかヒーロー・コスチュームか!?城内で展開するのは禁止だろ!!?」


「ふ……ふふふっ……」


「キメェよ!急に変に笑うな!!」


「真実は……いつもひとつ!!!!」


「うるせぇ!急に叫ぶな!!」


「ハーッハハハハハハハ!!!」


「「「笑うな!!遙稀(ハルキ)!!!」」」


「そんなに言わんでいいやん」


出席番号4号。佐原 遙稀(サハラ ハルキ)

某子供名探偵、別名歩く事件現場が主人公のアニメが大好きな少年。

実を言うとクラスで10位以内に入るくらいには頭がいい。

アモンには及ばないが。


全員で総ツッコミをしたところで、やっとのことでハルキのラッシュが収まる。


「てか、なんでこいつがいんのさ……」


「いや、歩いてる途中に突然に遭遇した」


「あぁ、だから遅れたのか」


「いや、人のせいにすんなし」


「遅れたのは普通に時間見てなかっただけ」


「なんだよ」


そういった、ちょっとした会話を挟みながら、廊下を歩いていく。

しばらく歩いていくと、やっとのことで救護室が見えてきた。

「やっとついた」と一息つくのもつかの間。

突如、扉がほんの少し開き、金属同士がぶつかり合うような、甲高い音が響き渡る。


「え、あれ大丈夫なん?」


「事件の匂いがする……さぁ、行こう!って待て待て待て待て置いてくな」


全員が走り出し、何も考えないまま、コウセイは扉を開いた。

そこに広がっていたのは、異様な光景。

白い壁にはヒビや穴が開き、床にはその残骸が散らばり、埃が舞っている。

しかし、その部屋に置いてあるベットや、机、椅子などはどれも無傷で、その部屋の中心には、リキとタカユキの拳を、まるで水銀のような、常時形態を変形させる銀の盾で受け止めるヒリカの姿が。

全くもって意味のわからない状況に混乱しながらも、カイシたちは3人の様子を見続ける。

すると、その様子に気づいたヒリカがみんなに話しかけてきた。


「……あら?ごめんなさい、お出迎えできなくて……」


「いっ、いやっ、まぁ、それはいいんすけどこれはいったい……?」


「これ……とは?」


「なんで戦ってるんすか?」


カイシは思わず素で聞いてしまう。

すると、ヒリカは次のように返してきた。


「大丈夫です。すぐ決着をつけるので」


「え?そういう……」


すると、袖から伸びた盾……水銀のようなものを握り込むように掴むと、大きく回転して2人をはじき飛ばす。

次に見た時、ヒリカの両手に握られていたのは、太い銀の鎖。

それを端の方まで見ていくと、禍々しいトゲだらけの銀のボールに繋がっていた。

瞬間的に背筋が凍っていくのがわかった。


「ちょっ、それはやばい……!!」


「はぁぁぁぁぁ!!!」


ヒリカ声を大きく荒らげ、持っていたものをリキとタカユキに向かって一直線。


「よくも……よくも私のプリンをぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」


《ドカァァァァン!!》


「「うわぁぁぁ!!」」


鳴り響く轟音。

その後、国王に呼び出されたのは言うまでもない。

散々国王に怒鳴られ、ヒリカ、リキ、タカユキがカイシたちの場所に戻ってくると、淡々と先程のわけを説明し始めた。


「そちらのリキさんが私の大事な大事な、大切に取っておいたプリンをわざわざ私専用の保管庫から取り出し、あたかも自分のモノのように食べ始めたのが事の発端です」


「いや、でもヒリカさんが、『お腹が減ったらこれの中にある食べ物を食べてもいいですからね』って……」


「確かに、ちゃんと言わなかった私も悪いですが、わざわざ奥に隠すように置いてある大切な大切なプリンを取りますかね?」


「いやいや分かんないって!」


「いや、ちょっと待って……」


その話を聞いていたタカユキが、ふと気になって閉じていた口を開く。


「なんで俺も巻き込まれた?」


「リキさんの近くにいたからです」


「理不尽ッッ」


ハッキリと言われ、思わずそう答えてしまう。

とはいえ、あれほどの動きをしていれば、もともと体にあった傷が余計に酷くなっているだろうと思い、リキは体に目を移す。

だが、そこには傷どころか、痣やその跡さえ残さず、キレイさっぱり無くなっていた。


「あれっ!?治ってる!!?」


「え?……あっ、ほんとだぁすげぇ!」


そんなふうに驚く2人の様子に気が付くと、ヒリカが説明をしてくれた。


「……あぁ、それは私の先程の攻撃が関係しているんです」


「え?あれが?」


「はい。あれは私のスキル、『回復液(ヒール・エキス)』の応用です。『回復液(ヒール・エキス)』は通常、自身の体から放出される銀の液を対象にふりかけることで、その仲間を回復させることができます。しかし、その液に魔力を通すことで、ある程度操ることができるんです。納得しました?」


「なるほど、それで、その液が俺たちに降り掛かったことで回復したと……」


「まぁ、そうですね」


「でも敵にも回復させる……あまり戦闘向きじゃないっすね」


「はい、そうですね。しかし、回復するよりも早く攻撃すれば、多少なりとも戦力にはなるでしょう」


「な、なるほど……」


しばらくの間を置き、2人の状態がもう完璧と言えるほどに大丈夫なのを確認すると、「もう私のプリンを食べないこと。いいですね?」と最後にリキに忠告し、ケイタ、コウセイ、ソラ、カイシ、ハルキ、リキ、タカユキの全員は救護室から外に出た。


「なんか……リキたちが色々あったっぽいけど……」


「まぁ、もう大丈夫っていうなら大丈夫っしょ」


「おぅ!もうなんっともない!」


「死ぬほど痛かった筋肉痛ももう大丈夫だぜぇ!」


「じゃあまぁそうだな!部屋に戻るか!」


「いや!待て!……この事件の真相はもっと別にある……!!この事件の真の犯人を探せるのは我々、ハルキ探偵団しかいないッッ!!さぁ、ケイタ!コウセイ!カイシ!リキ!タカユキ!ソラ!共にこの事件の真相を見つけ出そうじゃないか!!」


「「……」」


「……じゃぁないか!!……な!みんな!……な?見つけ出そ?……なぁおい!見つけ出そうってば!……なぁ!…………無視しなくてもいいじゃん?めんどくさいヤツって思われてるのはわかるからさ?……ちょっとは反応してくれたっていいじゃん?……な?…………なぁ!…………なぁ!おいってば!」


と、いう感じで、部屋に戻るその途中、突如アモンの部屋から2人の先生が飛び出してきて、再び救護室に向かうことになったのはここだけの話。

いきなりハチャメチャになってきてはいるが、ここから更なるハチャメチャが待っていることを、その場にいる皆は知らない。

………………


『……インプット完了。戦績データを読み込みます。…………ダウンロード開始。……ダウンロード完了。……勇者、《リキ》様、《タカユキ》様の戦績データから分析及び解析を開始します。……完了。……勇者、《リキ》の戦闘分析から新たな戦闘技術をインプット中。……完了。勇者、《タカユキ》の戦闘分析から新たな戦闘技術をインプット中。……完了。合計、57つのインプット(済)のファイルをダウンロードします。………………完了。テストプレイを開始しますか?………………(NO)が選択されました。テストプレイをキャンセルします。…』


暗い部屋の中、青いプレートが当たりを照らし、その前にいる白い衣服に身を包んだ男の姿を照らす。

不気味に目の前の物に笑いかけ、まるでパソコンのキーボードのような、青いプレートに描かれたEnterのボタンを中指でタップした。

すると、その目の前にある物が再び音声を流し始めた。


『……人工勇者、《ミナ》、《ニナ》の更新環境が整いました。更新を開始しますか?………………(YES)を確認。更新を開始します。しばらくお待ちください。………………………………………………………………………………………………………………………………………………完了。二機体の更新が完了しました。ストリングス値がおよそ280上昇したことを確認。ステータスレベル、現在127。全ての工程を終えました。充電残量、《ミナ》、残り48%。平常運転です。《ニナ》、残り14%。消費電力を抑えるため、現在、言語能力を低下させています。……充電を開始し、電源を落とします。』


《シュゥゥゥゥゥゥ……》


溜まった空気が抜けるような音がその部屋に響き、青いプレートが閉じられる。

闇夜の空間が部屋全体に満ち、男の足音だけが、その部屋に残された。

用事ができてしまったので、しばらくの間お休みします。

申し訳ありませんm(_ _)m

これからも、『平常運転な異世界転移者の異常な日常。』を、よろしくお願いします!!

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