第三話 キャノン
意外と早く書けるもんですね。
教室に入ると………
ん?今日は何も異変が無さそうだな。
机を隅々まで観察する。
……うーん?僅かに机が広くなってる…か?
1番後ろの席だから、壁になんか仕掛けられてるのかとも思ったが特になさそうだった。
いまいちだったから違う位置から観察しようと机の前に行った瞬間。
村松さんが床下からバッと出てきて机の裏側に触れた。
「痛ったっ!!」
机の右端から消しゴムが発射された。
すごい豪速球だ。
「なにこれ!?」
「フフ、成功した。みんな、出てきていいよ〜」
村松さんがそう言うと、秋田は天井裏から、河西君は某学校でかくれんぼをする番組のように、増設されたらしき壁から出てきた。
何が起きてんだか。
ていうか壁が増設されてたの気づかなかった。
「…いや、それにしても凄いね村松さん。こんなのを一晩で完成させるなんて」
「でしょ〜!一応設計図もあるよ〜」
河西君もちゃっかり仲間入りしちゃってるし。
一応設計図も見てみたんだが、バネを使っているらしく銃刀法には違反してないようだった。
その後は村松さんが机キャノンの使い方を教えてくれた。
どうやら、机の広くなってた(増設されてた)部分がキャノンになっていて、裏の着脱ボタンを押せば机から自由に着脱ができるようだ。
先っぽを開けて飛ばしたいものを入れて、裏側の小さなネジを回し、レバーをカチッとなるまで引き、発射ボタンを押せばいいらしい。
試しに消しゴムを飛ばしてみることにした。
ネジを軽く回す。
ここはきつくしすぎると暴発するらしいから本当に軽くしておく。お次はレバーだ。
レバー重いなー…………
なんとかレバーを下げきり、発射ボタンを押す。
「ゔっ!何これ!?」
反動が凄い。
発射された消しゴムは黒板まで一直線に飛んでいって、俺の机まで跳ね返ってきた。
「あ、一応終わったらネジを緩めておいてね〜。次撃てなくなるから。あと、机が左右にズレてるのが気になったら、左バージョンもあるよ〜」
村松さんが机の左側にキャノンを追加する。
「あ、ありがとう」
ありがとうなのか?
いくら擬態しているからといえ、先生にバレると面倒くさそうなので普段は鞄の中に入れておくことにしよう。でも持って帰って家族に見られるのも嫌だから、帰りは机に設置しておこうかな。
朝のHR。
「明日は土曜ですが、今週は学校あるから明日も登校するように」
『ええーー……(一同)』
「せんせー、土曜日も学校あるなんて言ったらそりゃあみんな動揺しますよ」
『………』
秋田は平常運転だ。
午前の授業は、特に先生にバレることもなく昼休みになった。
「「「唐揚げー〜」」」
あー、3人とも習慣になってきてるなこれ。
「ほら、一個ずつな」
3人一気に唐揚げを取っていく。
今日のふりかけはどれにしようか。
よし、たらこで行こう。
「「「唐揚げウマー〜」」」
3人がハモる。ちょっと笑えた。
改めて、たらこのふりかけをかけてご飯を食べていく。うん、たらこも美味い。
「村松さん、どうした!」
村松さんが机キャノンを取り外すのに、秋田が最初に反応した。
村松さんは発射に使わなかったハンドルをぐるぐる回し、キャノン内部を未使用の割り箸とウエットティッシュで巧みに拭き拭きし何かをセットしている。
「…え?撃つ気すか?」
ほら、河西君も動揺してる。
村松さんが銃口を俺に向けてきた。
「ちょいちょいちょい、それやったらみんなの弁当がひっくり返るぞ」
なりふり構わずレバーを引き、村松さんは俺の弁当に向けて発射ボタンを押した。
「うわぁぁ!!、、、あ?」
一瞬ガチでビビったが、いつもより威力が弱く、発射されたのが卵焼きだと知って安心した。
「唐揚げのお礼にどうぞ〜」
「む、俺もやりたいぞ!」
「…俺も」
大して時間も置かずに次々と弁当に食べ物が発射された。
ウインナーにきんぴらごぼう…
いやきんぴらごぼうに関してはどうやって撃ったんだ?なんかショットガンみたいになりそうだけど。
キャノンを回収して、中を覗いてみる。
……うわー、案の定キャノンの中がカオスになってるわ。
未使用の割り箸とウエットティッシュを駆使して掃除しておいた。
午後の授業も終わり、帰宅。
「ごめん、俺今日は部活」
「私も〜」
「…俺も」
「みんな部活か!俺は今日塾だから早く帰るぞ!バーイ」
「「「じゃあなー〜」」」
秋田、塾か。
実は俺はバスケ部だ。
中学から始めたばかりでまだ歴は3年ぐらいだが、中学2、3年ではスタメン入りしていた。
…まあ県大会ベスト8で終わったんだけど。
あれ?そういえば、村松さんと河西君は何部なんだろう。明日聞いてみようかな。
今日は部活で疲れたから、颯爽と帰って早めに寝た。明日はどんないたずらが待っているのだろうか。




