第Ⅳ幕 燃えつきた街、新しい楽園
殺戮の天使との戦いの後、
空は穏やかに晴れていたが、
「街の全てが焼け野原になっていた」
そんな光景を目の当たりにして、
一人、立ち尽くす僕。その時、
「ねえ、元気をだして」
と、突然、後から声をかけられ、振り返ると、
セーラ服の少女がいた。
「私も『黙示録の羅刹』の一人なの」
少女は、そう言ってから、
「私はリリスよ。よろしくね」
笑みを見せながら、歩み寄ってくる。
僕はリリスに、やや警戒心を抱きながらも、
「黙示録の羅刹って、何なんだ?」
と、尋ねてみた。
「ルシファーと戦う『超能力戦士』よ」
リリスは、そう答えたが、
その返答は僕の望んでいたものではない。
「アブラハム一三九も、そう言った」
何だか腑に落ちない気持ちを抱えながらも、
リリスは美少女で、その魅惑的な視線に、
ドキリとしながら僕は視線を逸らせる。
「貴方って、強いのね」
「そんなことは、ない」
僕が首を横に振った時、
突如として、晴れていた空が暗くなり、
ブオン、ブオォン、ブオォォ〜ン。
天空から、巨大なハエの群が飛んできた。
その大きさはカラスくらいだろうか。
「あれは、ルシファーの眷属・ベルゼブブよ」
リリスは、そう言うと、
右手の人差し指を天に掲げる。
「ここは、私に任せて」
キュウゥゥゥィィィイイイイイイィィィィィン。
彼女は指先から超音波を発したようだ。
バタ、バタバタ、バタ、バタ、バタバタ。
次々と地面に落ちたるベルゼブブ。
「感覚器官を破壊したのよ」
リリスは、そう言って、
足元で痙攣するベルゼブブを、
「もうコイツらは飛べないわ。後は死ぬだけ」
と、無慈悲に踏み潰す。
「さあ、帰りましょう」
「帰るって、どこへ?」
僕の問いに、リリスは微笑みを見せて答えた。
「私たちの帰る場所は一つしかないわ」
そうだ。今、僕の帰る場所は、
この古びたビル、反乱軍の拠点だけだ。
「さあ、手を繋ぎましょう」
「えっ、なぜ、君と手を?」
「私たちは、この新世界のアダムとイブよ」
と、リリスは意味深な発言をして、
右手を差し出す。
「だけれど、この焼け野原が新世界なのか?」
「滅びるものは滅び、新しい楽園が始まるの」
結局、僕はリリスと手を繋いで、
焼け野原を二人で歩いた。
この地獄絵図のような世界が僕たちの新世界で、
楽園なのだろうか?




