第Ⅲ幕 上空での戦い
遥か高い上空で僕は『殺戮の天使』と対峙した。
目の前に迫った彼女は無表情のまま、
ピカーン。
赤い目から閃光を放ち、
ゴオォォーッ。
僕の体を炎で包み込んだ。
「う、うあぁッ」
燃え上がる街の遥か上空で、
全身を焼かれる僕だが、
「戦え」
と、一三九が脳裏に語りかけてくる。
「どうやって戦えと」
「超能力を使うんだ」
突然のことで、これは無茶振りだろう。
「何の超能力を?」
「自分で、考えろ」
ここで突き放すのか?
だが、今、思ったのだが、
僕は炎に包まれても死んでいない。しかも、
かなり高い空に浮かんでいる。
「それが超能力だ。超能力で戦え」
一三九は僕に命じた。何という不条理だ。
僕は、この日、突然、住んでいる街を焼かれ、
「理由のわからないまま」
見ず知らずの男から、戦いを強制されている。
「いったい、何なんだよ!」
湧き上がるような怒りを覚えた僕は、
「だいたい、お前は、何者だ!」
目の前の殺戮の天使に憎しみをぶつけた。
「僕の街を燃やしやがってッ!」
その感情は衝撃波となり、
ジュバァンッ!
殺戮の天使を襲う。その凄まじい衝撃波は、
ドゴボオオオォォォォーンッ!
空間が歪むほどの威力だった。
殺戮の天使の美しい顔が歪み、体は引き裂かれ、
「ギャアァァーッ」
悲鳴をあげた彼女は、
空中で木っ端微塵に吹き飛んだ。
「か、勝ったのか、僕は」
こうして戦いの後、
高層ビルの屋上に降り降り立つ。
「よくやった。初陣にしては見事だ」
と、一三九の出迎え、握手を求めたのだが、
「僕を利用して、どうするつもりだよ!」
僕は声を荒げて、一三九の握手を無視した。
不条理なのは殺戮の天使だけではない。
この一三九という男も、僕にとっては同類だ。
「反乱なんてするから、街が焼かれたんだ」
僕は一三九を睨みつける。
「我々は、人類をルシファーの支配から解放する」
「そして次は、アンタらが支配者になるつもりか」
反乱軍もルシファーも僕には無関係だ。
奴らの権力闘争に巻き込まれ、
街は殺戮の天使の攻撃を受けた。
「街の人々は無事なのだろうか?」
いや、無事なはずはない。おそらく、皆、
「地獄のような業火に焼かれ、死んだ」
その後、僕は一人で焼け野原の街を歩く。
今朝まで暮らしていた家は灰になっていた。
そして通っていた学校も、通学路の公園も、
スーパーマーケットも、全てが焼失している。
「僕の家族や、幼馴染の明乃は‥‥‥」
殺戮の天使の炎で焼き殺されたのだろう。




