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リクの復活



---


空間が軋み、黒い波動が四方へ拡散する。

浮かび上がったリクの眼が、ゆっくりと開かれた。


だが、そこにあったのは――リクの面影ではなかった。


「……滅ぶべきは、進歩なき存在。地に縛られ、争いを繰り返す人類。もはや価値はない」


その声は確かにリクのもの。しかし、言葉には血も涙もなかった。


「お前が言っていることはリクの意思じゃないッ!」

カイが叫ぶ。だがリクの瞳は冷たく、オーダの笑みだけが答えだった。



「彼は見てきたのだよ、私の記憶を。人間がどれほど愚かに、いかに破壊を重ねてきたかをな……。もう一度問おう、カイ。果たして“救う価値”があるのか?」


リクの背後に、黒き次元の扉が開き始める。

それはオーダの技術とコラプサーの力、そしてリクの魔力が融合した“新世界の門”だった。


「……俺は、リクを……取り戻す!!」


断誓のカゲヨロイを纏ったカイが叫び、再び地を蹴る。

影を裂き、ノクスが続き、弓を構えたエルナが光の矢を放つ。


だが、リクの手が軽く振られただけで――

三人の攻撃は、すべて弾かれた。


「無駄だ。もはや俺は、“人”ではない」


黒い翼のような光が背中に広がる。

“進化”を名乗るこの力は、人の理を超えたものだった。


「お前たちが止まるなら、滅ぼす理由はない。だが進むのなら──力で止めるしかない」


地を砕き、空を裂く咆哮とともに、リクが動き出す。


かつての友を救うため、あるいは倒すため、カイたちは涙を飲みながら剣を抜いた。

運命の戦いが、始まる。



---




---


「見せてやろう。創造の力を」


リクの手が宙を走ると、空間に刻まれた“文字”が光を放った。

それはまるで魔法陣でも術式でもない、概念そのものを紡ぐような構築式。


「《絶対断層アブソリュート・レイヤー》」


突如、三人の間に不可視の壁がいくつも出現。斬撃も魔法も、すべての攻撃が空間ごと凍結されたかのように停止する。


「……次はこれだ。《重奏壊界カスケード・ブレイカー》」


頭上に無数の魔方陣が展開される。

そこから放たれたエネルギーの奔流は、一度に数十の属性を持ち、地形ごと塗り替えるように広がる。


「……創ってる……こいつ、自分の中にあるイメージを即座に“スキル化”している……!」

ノクスが呻くように言った。


「追いつかない……魔術でも、武術でもない……“概念操作”だ!」

エルナの弓が矢を放つよりも早く、空間ごと反転させられる。


「まだ、終わらない」


リクの周囲に、いくつもの自身の“分体”が生まれる。

それぞれが別のスキルを生成し、独自に動き始めた。


「《影縫結界》《因果改編》《記憶反射》《時喰の輪》……」


スキルはもはや、個々の魔法を越えていた。

時間、記憶、物理法則すらも塗り替えようとするその力は、まさに“創造主”そのもの。


「……っ!でも……!」


それでも、カイたちは立ち上がる。


「リクを……このままにはさせない!!」


次第に、三人の動きがリクの“創造”を読み始める。

ノクスが影でスキルの起点を切断し、エルナが複製した矢でリクの分体を狙撃。

そして、カイは――


「創造を断つのは、覚悟だ!」


――断誓のカゲヨロイが、再び閃光を放つ。



---


リクの手が宙をなぞるたび、空間が歪む。

今度は――


「《存在削除アニヒレイト・プロトコル》」


それは、“当たれば存在そのものが消滅する”という概念の塊だった。

誰もが反応しきれぬ一撃を放とうとする瞬間――


「……俺は、お前を止めるために、すべてを捨ててきた」


カイの足元に、光と影の紋章が広がった。

仙人たちの力――それは“鍵”として、カイに宿っていた。


「風よ、火よ、水よ、土よ……俺の中に宿りし仙なることわり、今ここに!」


四大の力が爆発的に解放される。


《仙環解放・四相顕現せんかんかいほう・しそうけんげん


カイの身体から蒼白の風が吹き荒れ、足元に紅蓮の炎が灯り、腕には水の紋が流れ、背中には大地の結晶が浮かぶ。


「……それが、仙人の力か……!」


リクの目が鋭くなり、新たなスキルを発動しようとする。


「ならば創ろう。《因果跳躍》《虚無支配》……!」


次元の論理すら逸脱しはじめたスキルが放たれる――が。


「行くぞ、断誓のカゲヨロイ……!」


両手の刃を構え、カイが疾走する。


風の力で速度を、火の力で攻撃を、水の力で回避と流れを、土の力で防御と重さを統合する――

それは、まさに“仙人の総力”と“決意”の融合体。


リクのスキルと、カイの刃が交差する。


「《零式・無刀解》ッ!!」


剣技を捨てた、想いの一撃。

ことわりことわりが衝突し、世界が震える。


空間が裂け、地形が崩れ、スキルの概念が砕け散っていく。


――そして、リクの動きが一瞬止まる。


「届いてくれ……!」


カイの声が、ただ一人の親友に向けて放たれた。








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